ゆかりごはんの縁結び -読書記録-

とにかく面白い小説が読みたい…!

2024年3月 面白かった本まとめ『成瀬は天下を取りにいく』他4作

どうも、読書記録ノート代わりにブログを書いている、ゆかりごはんです。

丁度月末ということもあり、本記事では、今月読んだ小説の中で面白かった作品、印象深かった作品、再読して良さを再確認した小説などを数冊紹介しようと思う。

ちなみに、僕が今月読んだ小説の冊数は15冊である。多くもなく少なくもなく…という何とも反応しづらい冊数なのだろうが、個人的にはかなり読んだ方だと思う。人生の中で最も小説を読んでいた頃の記録が年150冊かそこらだったため、このままのペースでいけば2024年は新記録を出せるかもしれない。まぁ、小説は楽しむことが最も重要であって、どれだけ読んだかなんてどうでも良いことではあるのだが。

そんな15冊の中から、今回は5冊ほど紹介したいと思う。ただし、僕は昔から新作にはあまり手を出さず、古本屋の100円コーナーに並んでるもので、表紙やタイトルに惹かれたものをまとめ買いして読むというスタイルである関係上、紹介する作品は旧作メインになると思う。そのあたりは、予めご了承いただきたい。

 

『成瀬は天下を取りにいく』宮島未奈

2020年、中2の夏休みの始まりに、幼馴染の成瀬がまた変なことを言い出した。
コロナ禍に閉店を控える西武大津店に毎日通い、中継に映るというのだが……。
M-1に挑戦したかと思えば、自身の髪で長期実験に取り組み、市民憲章は暗記して全うする。
今日も全力で我が道を突き進む成瀬あかりから、きっと誰もが目を離せない。
2023年、最注目の新人が贈る傑作青春小説!

若者を中心に曝売れし、2024年本屋大賞にもノミネートされた連作短編小説。この勢いのまま本屋大賞をもぎ取り、天下を取ってほしいと心から願っている。

いやぁ、本当に読んで良かったなぁ…。普段の僕の選書が悪いのだが、ここまで爽快で清々しい読後感を味わったのは久しぶりだ。

今作のレビューでは、超行動力主人公:成瀬あかりがフューチャーされがちであるが、成瀬を取り巻く周りのキャラたちも負けず劣らず魅力的である。特に、唯一の成瀬アンチキャラである同級生:大貫かえでがマジで良い。この子の捻くれた考え方と行動が、自分の学生時代と重なる部分もあり、非常に感情移入できた。

小説をあまり読んだことが無いという読書初心者にもおすすめの名作だと思うので、興味があれば是非読んでみてほしい。

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『夜市』恒川光太郎

何でも売っている不思議な市場「夜市」。幼いころ夜市に迷い込んだ祐司は、弟と引き換えに「野球選手の才能」を手に入れた。野球部のエースとして成長した裕司だったが、常に罪悪感にさいなまれていた――。

第12回日本ホラー小説大賞を受賞している『夜市』。実は、恒川光太郎作品は、同じく今月に読了した『スタープレイヤー』しか読んだことがないという状態で本作を読んだ。正直『スタープレイヤー』は個人的にはイマイチだったため、今作もあまり期待せずに読んだのだが、非常に面白い物語であったため紹介したい。

今作を一言で表すなら、「無機質」である。とにかく物語が平坦なのだ。特別盛り上がるシーンやハラハラするシーンは無く、ひたすらに不気味でどんよりとした雰囲気のまま、淡々と物語が進んでいく。冷たさを強く感じる作品である。しかし、それが今作の最大の魅力なのだ。

今作は1,2時間もあれば読めるくらいの短い小説ではあるが、物語の完成度は非常に高いため、手軽に高クオリティなホラー作品を読みたいと思っている人におすすめしたい。

 

夜は短し歩けよ乙女森見登美彦

「黒髪の乙女」にひそかに想いを寄せる「先輩」は、夜の先斗町に、下鴨神社の古本市に、大学の学園祭に、彼女の姿を追い求めた。けれど先輩の想いに気づかない彼女は、頻発する“偶然の出逢い”にも「奇遇ですねえ!」と言うばかり。そんな2人を待ち受けるのは、個性溢れる曲者たちと珍事件の数々だった。山本周五郎賞を受賞し、本屋大賞2位にも選ばれた、キュートでポップな恋愛ファンタジーの傑作。

山本周五郎賞受賞、本屋大賞2位、アニメ映画化と非常に華々しい経歴を持っているコメディー恋愛小説『夜は短し歩けよ乙女』。本当に面白い小説だった。

とにかく登場人物・世界観が全てイカれている(誉め言葉)。アホしかいない。それでも、黒髪乙女な後輩はものすごく愛らしく見えてくるし、全力で後輩の気を引こうとする先輩のことを応援したくなる。

文体も独特ではあるが、難しい言葉と簡易な言葉が入り乱れてリズム良く並んでいるため、読んでいて非常に心地よい。森見登美彦自身の本に対する教養も凄まじく、読んでいて、「へぇ」と思わず言ってしまう知識もたくさん得ることが出来た。

一癖も二癖もある魅力的なキャラクターたちが織りなすドタバタコメディ(登場キャラたちは皆真剣である)恋愛小説。最近笑ってないなぁと思っているそこのあなたにおすすめしたい。後悔はさせないから。

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『Strange Strange』浅井ラボ

「これが僕の真の力、なのか」秘められた力を使い、美少女たちと共に悪を滅ぼす少年・田尾君が直面した、とてつもなく凄惨な事態とは?
問題作「ぶひぶひ♡だらだら」をはじめ、彼と秘密を持つ彼女の心温まる愛の物語「人でなしと恋」など
全4篇でお届けする、浅井ラボの(ある意味で)ハラハラドキドキの連作短編撰。使用前に注意書きをよく読んでね!

悪趣味ここに極まれり!

一応ライトノベルという括りであり、全4篇で構成される短編小説である。本作の特徴としては、とにかくグロい。そして胸糞悪い。毒にはなっても薬にはならない要注意小説である。

とにかく殺戮/拷問シーンを書きたいという作者の欲が前面に押し出されており、それ以上もそれ以下もない。一般受けなど微塵も考えていない。カルト的人気を博すB級スプラッター映画のような小説だ。食人彼女との純愛を描いた「人でなしと恋」はグロテスクだけでなく美しさも内包しており、綺麗で感動できる名作ではあると思うが、他三作は意味もなくグロい。救いもへったくれもない。「ぶひぶひ♡だらだら」とかもうマジで二度と読みたくない。

そんな今作を、僕は何故だか嫌いになれない。むしろ愛おしく思う。間違ってもリアルの知り合いにはおススメできないし、正直読まなければ良かったと思う類の小説であるはずなのに…。

ちなみに、今作の表紙は、上半分だけみれば美形なキャラがこちらを見ているだけの無害を装ったイラストであるが、下半分(テーブルの下)はかなり血生臭いイラストとなっている。しかし、表紙の下半分は帯で隠れてしまうため、新品だと今作がスプラッター小説だと気づけないのである。非常に悪趣味な仕掛けだ。

血に塗れたスプラッター小説が読みたい!という方にはこれ以上ない名作だと思うので、是非読んでみてほしい。

 

『青の炎』貴志祐介

櫛森秀一は、湘南の高校に通う十七歳。女手一つで家計を担う母と素直で明るい妹との三人暮らし。その平和な家庭の一家団欒を踏みにじる闖入者が現れた。母が十年前、再婚しすぐに別れた男、曾根だった。曾根は秀一の家に居座って傍若無人に振る舞い、母の体のみならず妹にまで手を出そうとしていた。警察も法律も家族の幸せを取り返してはくれないことを知った秀一は決意する。自らの手で曾根を葬り去ることを…。完全犯罪に挑む少年の孤独な戦い。その哀切な心象風景を精妙な筆致で描き上げた、日本ミステリー史に残る感動の名作。

エンタメ界の帝王:貴志祐介による、語るまでもない傑作ミステリ小説。個人的にかなり気に入っている作品で、これまでに5周はしている。今月再読したのだが、やはり良い。面白い。切ない。まごうことなき傑作である。

もうとにかく何でも良いから読んだことない人は読んでください。お願いします。

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今月読んだ中で、紹介したい!と思った小説はこんなものかな。

それでは、また。