ゆかりごはんの縁結び -読書記録-

とにかく面白い小説が読みたい…!

2025年 最高の小説ランキングBest50(初読本のみ)

2025年振り返り

どうも、ゆかりごはんです!初めましての方は初めまして。

早速ですが、今年も「小説ランキングbest50」を書いていきたいと思います!2025年の読了本は205冊。昨年が丁度200冊だったので、今年は5冊上回る結果となりました。海外出張含め、仕事のタスク量が昨年と比較してとんでもないことになってましたが、読了冊数は何故か微増…。『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』という本が話題になってましたが、僕は働いているほうが読書時間が増えてしまうようです😅

今年の読了本はかなりレベルが高く、50冊全て自信をもってオススメできる傑作揃いとなってます。年末年始の暇つぶしにでも読んでいただけたら幸いです。

↓去年のbest50はこちらになります。お暇あれば是非。

yukari-gohan.hatenablog.com

 

50位:フラッガーの方程式/浅倉秋成

「物語の主人公になって、劇的な人生を送りませんか?」
平凡な高校生・涼一は、日常をドラマに変える《フラッガーシステム》のモニターになる。
意中の同級生佐藤さんと仲良くなりたかっただけなのに、生活は激変!
ツンデレお嬢様とのラブコメ展開、さらには魔術師になって悪の組織と対決!?
佐藤さんとのロマンスはどこへやら、システムは「ある意味」感動的な結末へと暴走をはじめる! 
伏線がたぐり寄せる奇跡の青春ストーリー。

あなたも物語の主人公になってみませんか?

深夜アニメの世界を現実で再現できる"フラッガーシステム"の主人公役に抜擢された男子高校生が、恋する同級生と恋仲になるために恋愛フラグを立てまくる青春コメディ作品。迷走した深夜アニメにありがちな奇天烈な展開が繰り広げられるが、ある瞬間を境に物語の歯車が狂い出し、奇跡の結末へと駆け抜ける。

前半はコメディ満載でゲラゲラ笑え、終盤は怒涛の伏線回収。愛する女性を救うために、全てを犠牲にしながら奮闘する主人公の姿に涙。"笑えて泣ける"を体現した傑作です。学生の頃に読んでたら、良くも悪くも本作に影響を受けまくってたかもしれない(笑)

 

49位:SICK 私のための怪物/澱介エイド

身を焦がす戦慄を力に、少女は恐怖を殺す。

「あなたを絶対に、ひとりぼっちにだけはさせないから」
少女はそう言って、幼い少年の手を取った。その約束が、いずれ最悪の形で破られてしまうとも知らずに――

〈ゾーン〉と呼ばれる精神世界に侵入できる異能を持つ叶音と逸流は、精神に巣食い恐怖症をもたらす概念生命体フォビアを殺す仕事を請け負っていた。彼女達の所に、視線恐怖症を患った少女が助けを求めにやってくる。
少女の〈ゾーン〉に潜った叶音が遭遇したのは、物語によって恐怖を育てる謎の奇術師。戦いの最中、奇術師は叶音に問いかける。
「あなたは目を背けていますね? おぞましい自分の過去から」
精神世界での激しい戦いは叶音の精神を摩り減らし、やがて彼女がひた隠しにしていた真実を暴き出していく。心が壊れ、正気を失い、戦いは絶望と恐怖にまみれた混沌の領域へと踏み込んでいく。

戦慄を力に変えて恐怖を殺す、ダーク・サイコアクション

これだからガガガはやめられねぇ!

とにかく描写がエグイ!人の精神に寄生する怪物を夢の中でぶちのめしていく作品なのだが、とにかく猟奇的な狂気がマシマシで、恐怖&絶望のオンパレード。拷問シーンに挿絵が入るなんて…。マジでイカれている。

敵が若干小物すぎるのが気にはなったが、そんなのもはや粗探しの域。デビュー作でこの完成度は素晴らしすぎる。こういうブッ尖り作品を何食わぬ顔で出版するガガガ文庫は、本当に最低で最高だと思う。ちなみに、澱介先生の2作目である『ファム・ファタールを召し上がれ』も死ぬほど面白いのでオススメです。

 

48位:堕天使拷問刑/飛鳥部勝則

中学生のタクマを待ち受けていたのは、魔術崇拝者の祖父の密室死、ある一族の女三人の斬首、「月へ行きたい」と呟く謎の少女……

ジャンル不明の極太(物理)作品

900頁を超える超大作でありながら、展開がスピーディーすぎていつの間にか読み終えてしまうオカルト風ミステリ。一応ミステリ作品の枠ではあるのだろうが、ミステリ以外のあらゆるジャンルの要素も盛り込まれており、とにかくカロリーが激高。おかずが霜降り黒毛和牛しかない幕の内弁当みたいな感じ。

本来なら箸休めの野菜等が欲しくなってしまうが、肉があまりにも美味すぎるが故に、最後までペロリと平らげることができてしまう。カルト的人気があるのも納得の癖強エンターテインメント作品でした。

 

47位:ハウスメイド/フリーダ・マクファデン

前科持ちのミリーが手に入れた、裕福な家庭でのハウスメイドの仕事。だが、この家は何かがおかしい。不可解な言動を繰り返す妻ニーナと、生意気な娘セシリア。夫のアンドリューはなぜ結婚生活を続けていられるのだろうか? ミリーは屋根裏部屋を与えられ、生活を始める。しかし、この部屋には……。そして、家族にまつわる真相が明かされるや、それまでに目にしたものすべてがひっくり返る。恐怖と衝撃のエンタメ小説。

こんなに読みやすい海外小説があるんですか!?

ハヤカワが激推ししており、今年何かと話題になった一冊。主要人物は5人しかおらず、かつ翻訳も違和感がないため、海外小説とは思えない読みやすさを誇る。

序盤は心苦しい描写が続くが、中盤から一気に物語が加速し、驚愕のラストへと駆け抜ける。情報の隠し方が抜群に上手く、作者に転がされる感覚が心地良かった。海外翻訳作品の入り口としてオススメ

 

46位:ユリゴコロ/沼田まほかる

ある一家で見つかった「ユリゴコロ」と題されたノート。それは殺人に取り憑かれた人間の生々しい告白文だった。
この一家の過去にいったい何があったのか?絶望的な暗黒の世界から一転、深い愛へと辿り着くラストまで、ページを繰る手が止まらない衝撃の恋愛ミステリー!

"異常"が"普遍"を求めた結果…

犯罪者の罪の独白が書かれた手記の真相を探るイヤミス作品。手記の内容が生々しく不気味でかなり怖かったが、主軸となる物語があまりにも面白過ぎて一気読み不可避。読後の余韻が凄過ぎて、しばらく放心状態になってしまった。

"異常"の権化であるサイコパスが、"普遍"を求めてもがき苦しんだ結果どうなるのかイヤミスではあるが、読後感は決して悪くなく、むしろ感動さえしてしまう。イヤミスが苦手な方にもオススメしやすい名作です。

 

45位:キッチン/吉本ばなな

唯一の肉親であった祖母を亡くし、祖母と仲の良かった雄一とその母(実は父親)の家に同居することになったみかげ。日々の暮らしの中、何気ない二人の優しさに彼女は孤独な心を和ませていくのだが……。

不朽の名作

良い文章を読んだ。本作に込められたメッセージを半分も理解できていないだろうけど、そんな感想が真っ先に思い浮かんだ。風景描写や心理描写が段違いに上手く、登場人物を理解できずとも共感させられてしまうパワーを持っている。

この本が人生の一冊になる人もたくさんいるんだろうな。人間の持つ温かさと冷たさを同時に感じられる名作です。読み終わった後は、美味しいカツ丼が食べたくなりました。

 

44位:壊れた少女を拾ったので/遠藤徹

ほおら、みぃつけた――。死体の山の中、わたくしはひとりの美しい少女と出会いました。もっともっと美しくするため、わたくしはノコギリをふるう。カルトホラーの奇才がおくる、恐懼の短編集!

変態さん向けのド級グロホラー短編集

生首を弁当箱にして売り捌く『弁頭屋』や、家電と恋をして妊娠させる『カデンツァ』など、全ての短編において設定がとにかく強烈。誰も異常を異常として認識しておらず、常識や倫理観が全く通用しない。

暴力描写やゴア描写はもちろんのこと、精神的ダメージを与えてくる展開も加勢してくるので、もはや正常な状態で読み切ることは不可能。異常に理由を求めず、ただただ理不尽で耽美な世界観に沈み込みたい変態にオススメ。

 

43位:翼ある闇 メルカトル鮎最後の事件/麻耶雄嵩

首なし死体、密室、蘇る死者、見立て殺人……。京都近郊に建つヨーロッパ中世の古城と見粉うばかりの館・蒼鴉城を「私」が訪れた時、惨劇はすでに始まっていた。2人の名探偵の火花散る対決の行方は。そして迎える壮絶な結末。島田荘司綾辻行人法月綸太郎、三氏の圧倒的賛辞を受けた著者のデビュー作。

麻耶雄嵩じゃなければ読むのやめてた

何やねんこれ…。デビュー作のくせにあまりにもイカれ散らかした作品。多重解決ミステリとアンチミステリが共存しており、捨てトリックの数が半端ない。自ら作り上げた本格ミステリの世界観をぶっ飛び論理で吹き飛ばす、安心と信頼の麻耶クオリティ。

真面目に読むのもヨシ!ツッコミながら読むのもヨシ!ある意味ではバランスがとれていると言っても良いのかもしれない。荒唐無稽な本格?ミステリを楽しみたいミステリ狂信者にオススメ。

 

42位:近畿地方のある場所について/背筋

情報をお持ちの方はご連絡ください

近畿地方のある場所にまつわる怪談を集めるうちに、恐ろしい事実が浮かび上がってきました。

令和ホラー小説ブームはここから始まった

正直舐めてました。クッッッッッッソ怖い。とにかく描写がリアルで恐ろしく、ずっと背中がゾワゾワ。本作のヒットを皮切りに多数のモキュメンタリーホラーが量産されたが、やはり原点である本作が断トツで一番怖い

本作で特にヤバかったのが袋とじ。深夜に心構えなしに開いてしまったため、マジで心臓止まるかと思った。ホラー界にその名を刻む傑作です。単行本と文庫版で若干内容が変わるので、どちらか片方しか読んだことない人は、両方読んでみると怪異についての理解が深まるのでオススメ。

 

41位:聖母/秋吉理香子

東京都藍出市で、幼稚園児の遺体が発見された。被害者は死後に性的暴行を加えられていた。事件のニュースを見た主婦・保奈美は、大切なひとり娘も狙われるのでは、と恐怖を覚える。警察は懸命に捜査を続けるが、犯人は一向に捕まらない。娘を守るため、母がとった行動とは。結末を知った時、世界は一変する。驚愕の長編サスペンス・ミステリー!

世界がひっくり返る読書体験をあなたに

はぁ~、何じゃこれは。読み終わった瞬間、思わずそう呟いてしまった。内容について何も書けないけれど、本当に凄い作品。読了後にタイトルがじわじわと効いてくる感覚、たまらない。

内容が内容だけに賛否両論はあるだろうが、エンタメミステリとしては満点の出来だと思う。本作をネタバレを踏む前に読めて本当に良かった。名作です。

 

40位:魔法使いの弟子たち/井上夢人

山梨県内で発生した致死率百パーセント近い新興感染症。生還者のウィルスから有効なワクチンが作られ拡大を防ぐが、発生当初の“竜脳炎”感染者で意識が戻ったのは、三名だけだった。その中の一人で、週刊誌記者として取材にきて感染した仲屋京介は、二人の生還者とともに病院内での隔離生活を続ける。やがて彼ら三名は、「後遺症」として不思議な能力を身につけていることに気づき始める。壮大なる井上ワールド、驚愕の終末―。

時代を先取りしすぎているSFミステリ

感染症から生還した3人の後遺症(超能力)の真実を探るSFミステリ作品。コロナパニックが起こる前に、この題材に着目しているのが凄すぎる。作者は未来視能力持ちですか?

ストーリーも人物像もかなり練りこまれており、最初から最後までエンターテインメントが詰め込まれた名作。オチは賛否ありそうだけれど、そこに至るまでの道中がバカみたいに面白いので余裕でお釣りが来る。世間的に高評価なのも納得。

 

39位:永劫館超連続殺人事件/南海遊

「私の目を、最後まで見つめていて」
そう告げた『道連れの魔女』リリィがヒースクリフの瞳を見ながら絶命すると、二人は1日前に戻っていた。
母の危篤を知った没落貴族ブラッドベリ家の長男・ヒースクリフは、3年ぶりに生家・永劫館(えいごうかん)に急ぎ帰るが母の死に目には会えず、葬儀と遺言状の公開を取り仕切ることとなった。
葬儀の参加者は11名。ヒースクリフ、最愛の妹、叔父、従兄弟、執事長、料理人、メイド、牧師、母の親友、名探偵、そして魔女。
大嵐により陸の孤島(クローズド・サークル)と化した永劫館で起こる、最愛の妹の密室殺人と魔女の連続殺人。そして魔女の『死に戻り』で繰り返されるこの超連続殺人事件の謎と真犯人を、ヒースクリフは解き明かすことができるのかーー
『館』x『密室』x『タイムループ』の三重奏(トリプル)本格ミステリ

館×密室×タイムリープの三重奏本格ミステリ

超絶面白かった。読む前は「"超"殺人事件ってなんだよw」と思っていたが、まごうことなき"超"だった。ただでさえ完成度の高い謎解きに、タイムリープも加わってとにかくヤバい(語彙力)。

特殊設定のルールや発生回数などの要素がかなり複雑で、難解すぎるという意見もあるだろうが、骨太ミステリが大好きな僕からすれば無問題。ご都合展開でも面白けりゃ問題なし。普通の本格ミステリに飽きてしまった酔狂なミステリ好きにこそオススメしたい。

 

38位:生殖記/朝井リョウ

とある家電メーカー総務部勤務の尚成は、同僚と二個体で新宿の量販店に来ています。
体組成計を買うため――ではなく、寿命を効率よく消費するために。
この本は、そんなヒトのオス個体に宿る◯◯目線の、おそらく誰も読んだことのない文字列の集積です。

まさかの〇〇〇が語り手!?

〇〇〇の視点から社会的マイノリティーを捉えた哲学書であり、"面白い"というよりは"興味深い"という言葉が似合う作品。読み易い論文って感じの作風であり、内容は非常にヘビーなのだが雰囲気は終始コミカル。

本作を読んで、やっぱり人間って面倒くさくてしんどい生き物だよなぁ~、と再確認。重めのテーマを扱いつつ、ラストは案外サッパリしていてモヤモヤを残さないのが僕好みでした。名作です。

 

37位:レモネードに彗星/灰谷魚

円城塔賞受賞作を含む、少し不思議でハイパーポップな傑作短編集!

「あなたが今思ったよりも、全然すごいよ」 円城 塔(作家)
新時代の才能、発掘! 円城塔賞受賞作「レモネードに彗星」を含む 少し不思議でハイパーポップな傑作短編集!
美しい叔母とは大きな窓ごしにしか対面できない。もう15年も。私が死んでからの15年。「レモネードに彗星」/世界への軽蔑を共有することで結ばれた二人の、数奇な運命。「純粋個性批判」/触れることのできない、破滅的に美しい彼女との予測不能な愛の物語。「新しい孤独の様式」など7篇収録
「安心して。私だって千年も生きるわけじゃない」

瑞々しさと苦々しさを兼ね備えたフレッシュな短編集

僕の感性にブッ刺さった日常SF短編集。手を伸ばせば届きそうで届かない人間関係をフレッシュに書き切っており、ポップな作風の中にひっそりと寂しさをにじませてくる感じが堪らなく大好き。

物語自体はあまり起伏がなく、どちらかと言えば純文学味の強い印象ではあるが、所々に垣間見える非凡な感性と文才に圧倒され続けた。本作Top短編は『純粋個性批判』。流行に対して悪口を言い合うことで繋がる友人関係の難しさを描いており、冷笑が蔓延る今のネット界隈に通ずる所がある気もする。

 

36位:火の粉/雫井脩介

「私は殺人鬼を解き放ってしまったのか?」元裁判官・梶間勲の隣家に、二年前に無罪判決を下した男・武内真伍が越してきた。愛嬌ある笑顔、気の利いた贈り物、老人介護の手伝い……。武内は溢れんばかりの善意で梶間家の人々の心を摑む。しかし梶間家の周辺で次々と不可解な事件が起こり……。最後まで読者の予想を裏切り続ける驚愕の犯罪小説!

火の粉どころではなく火の海レベル

とにかく展開がストレスフル。主人公:雪見以外の人間が全員クズ。しかも、全員リアルに居そうなクズなので、読んでいてめちゃくちゃイライラする。

それでも大筋の物語があまりにも面白すぎて、一度読み始めてしまえば最後、ページをめくる手が止まらなくなること間違いなし。人間の根源的な恐怖を鬼気迫る心理描写で書き表した傑作です。

 

35位:隻眼の少女/麻耶雄嵩

自殺する場所を求め寒村の温泉宿を訪れた大学生の種田静馬は、村の伝説の地で起こった少女の首切り事件に遭遇する。被害者は古から村を支配するスガル様の後継者で、九年後に起こると予言される大難事に備えるべく修行をしていた。犯人の罠により殺人犯と疑われた静馬を見事な推理で救った水干姿の十八歳の隻眼の少女の名は御陵みかげ。名探偵であった亡き母、御陵みかげの遺児で、母の名を継ぐべく、元刑事の父の手ほどきで各地で探偵としての修養を積んでいた最中だった。静馬は助手見習いとして、みかげと共に被害者の琴折屋敷へ向かうが、そこでは第二第三の殺人が待ち受けていた。三つ児の三姉妹、そして父を失いながらも難事件を解決したみかげ。だが、18年後に同じ現場で18年前を再現するような悪夢が……。絶品の超絶本格ミステリー。第64回日本推理作家協会賞、第11回本格ミステリ大賞をダブル受賞。

萌え

とにかく萌え。表紙にもなっている探偵:御陵みかげが萌えであるのはもちろんのこと、日本推理作家協会賞本格ミステリ大賞をダブル受賞という快挙を成し遂げた歴史的一冊であるはずなのに、ハッキリと賛否両論分かれており、一部のミステリマニアからブッ叩かれまくっていている本作そのものが愛おしくて萌え。

最初のほうは「麻耶作品にしてはまともだなぁ…」なんて思いながら読んでいたが、やはり麻耶は麻耶だった。ちくしょうめ。丁寧に積み上げてきた本格ミステリの世界観を自ら破壊し、何から何まで全てがド級にぶっ飛んでいる超絶問題作。やっぱりこの作者、イカれてるわ(誉め言葉)。

 

34位:あむんぜん/平山夢明

〈あむんぜんの頭の中身を見てみよう〉と、アックンに云われたのは体育祭が終わってすぐのことだった。――「あむんぜん」
“一発ウンゲロってみるか?”“うんげろって、なんですか?”――「千々石ミゲルと殺し屋バイブ」
アイドルヲタク・サブローが、己のすべてを懸けて“ヤブサカ69”の治安維持活動に励む!――「ヲタポリス」

この物語は絶望か、希望か。
全6話収録の短編集。

著者入魂、空前絶後の脳捻転小説。

👧ねぇママ、この本買って! 👩ダメ!頭が悪くなるから!!

上記見出しは、本作の帯に書かれている推薦文。おいおい、最高すぎるだろ。帯に惹かれて試しに読んでみたが、なるほど確かに、読めば読むほど頭が悪くなってしまい、真面目に生きようとしている自分自身がばかばかしく思えてしまう

内容としては、世の中をなめ腐った下劣味+エログロてんこ盛り。血液ブッシャー系のグロはもちろん、汚物系のグロ描写も鮮明に描かれていて、読後は本当に体調が悪くなった。正直言ってこんなの誰にもオススメできない。絶対に食事直後には読まないように。吐くよ。

 

33位:家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった/岸田奈美

笑えて泣ける岸田家の日々のこと

車いすユーザーの母、
ダウン症で知的障害のある弟、
ベンチャー起業家で急逝した父――

文筆家・岸田奈美がつづる、
「楽しい」や「悲しい」など一言では
説明ができない情報過多な日々の出来事。
笑えて泣けて、考えさせられて、
心がじんわりあたたかくなる自伝的エッセイです。

障がいをユーモア満載に描くエッセイ集

これまで読んできたエッセイ集の中でもトップクラスに好き。父は急逝、母は下半身不随、弟は知的障がい者。そんな愛する家族と過ごした日々を明るくユーモア満載に描いており、読んでいて心がじんわりと温かくなる。

障がいについて語ることはセンシティブだと叫ばれている昨今、ここまで真っ直ぐに障がいというテーマを扱っている本作は本当に素晴らしいと思う。笑えて泣けて楽しめて、それでいて人生の道標の1つになってくれるオススメの一冊。

 

32位:Wi-Fi幽霊/乙一・山白朝子

乙一&山白朝子の怪奇ホラー傑作選

乙一&山白朝子の初期~現在までの怖い作品ばかりを厳選収録した怪奇ホラーコクション企画。「夏と花火と私の死体」でデビューした乙一は、デビューから「死」を描いてきた。山白朝子は、怪談雑誌「幽」 の創刊時、デビューした怪談作家。今回は、ホラーを描き続ける作家二人の初のホラー文庫企画。ホラー文庫創刊30周年のフィナーレを飾る記念企画。作品のセレクトはホラー評論家&ミステリ評論家の千街晶之さん。本書刊行にあたり表題作となる中編「Wi-Fi幽霊」を書き下ろし。

乙一ファンにとっての宝石箱

至高。その一言に尽きる。ホラー小説界で史上最も面白い短編である『SEVEN ROOMS』が収録されている時点で勝確なのだが、その他の短編も抜群に面白く、史上屈指のホラー短編集に仕上がっている。

実は、乙一先生の別名義である山白朝子先生の作品は未読だったのだが、乙一名義の作品よりも悲しげな余韻を残すタイプのホラーで凄まじく僕好みだった。やっぱり乙一先生のホラー短編って、恐怖だけじゃない様々な感情を引き出してくれるから大好き。これからも応援し続けます。

 

31位:夏と冬の奏鳴曲/麻耶雄嵩

二十年前に死んだ美少女を偲び、孤島「和音(かずね)島」に集う男女を襲う惨劇。
今も彼女の影が支配する島で、雪が降りつもった夏の朝に、首なし死体が発見される。
雪密室を皮切りに島の均衡は崩れ、暴走が始まる。
ラストの大破局(カタストロフ)、メルカトル鮎(あゆ)のとどめの一言。

麻耶ァ!何してくれとるんじゃワレェ!!!

もう知らん。何やねんこれ。ふざけやがって。終盤まで真面目に考察しながら読んでいた僕が馬鹿だった。館・首無し死体・密室。強固に組み上げた本格ミステリの世界観を、バカミス旋風で遥か彼方へ吹き飛ばす。

解決編で本作以上に笑いと虚無感が同時に襲ってくる作品はそうそう無いと思う。まさに「平成の奇書」の称号に相応しい、超絶ド級の劇薬本にして賛否両論な超絶大傑作。ここまでカルト的人気を博しているのも納得です。

 

30位:偽りの春 神倉駅前交番 狩野雷太の推理/降田天

この”おまわりさん”からは逃げられない。日本推理作家協会賞受賞作!

老老詐欺グループを仕切っていた光代は、メンバーに金を持ち逃げされたうえ、『黙っていてほしければ、一千万円を用意しろ』と書かれた脅迫状を受け取る。要求額を用立てるために危険な橋を渡った帰り道、へらへらした警察官に声をかけられ――。第71回日本推理作家協会賞(短編部門)を受賞した表題作「偽りの春」をはじめ、“落としの狩野”と呼ばれた元刑事の狩野雷太が5人の容疑者と対峙する、心を揺さぶるミステリ短編集。

何気ない会話にご用心

犯人視点で描かれている倒叙ミステリ短編集。警察官・狩野が登場すればチェックメイト。何気ない会話から徐々に嘘を詰められていくハラハラドキドキ感がハンパない。

この作品のポイントは、犯人たちにも同情の余地があるところ。犯罪行為に手を染めているので逮捕されるべきなんだけど、どの犯人も憎めきれなくて救いを求めたくなってしまう。ミステリとしての側面はもちろん、人間ドラマ要素も完璧で、切ない話から胸糞な話まで、さまざまなタイプの短編を楽しめるオススメの一冊。

 

29位:などらきの首/澤村伊智

雨の日にだけ、体育館に幽霊が出る――。 小学六年生の美晴は、学校に伝わる心霊めいた噂通りに体育館のキャットウォークから飛び降りる白い少女を目撃する。白い少女の正体は何か、何故彼女は飛び降りるのか。姉・琴子に対抗するため、美晴は真相究明に挑むが!?(受賞作「学校は死の匂い」)

「などらきさんに首取られんぞ」祖父母の住む地域に伝わる“などらき”という化け物。刎ね落とされたその首は洞窟の底に封印され、胴体は首を求めて未だに彷徨っているという。しかし不可能な状況で、首は忽然と消えた。僕は高校の同級生の野崎とともに首消失の謎に挑むが……。 (表題作「などらきの首」)

琴子姉さん、マジ格好良いッス

『ぼぎわんが、来る』でお馴染みの比嘉シリーズ3作目。長編かと思えばまさかの短編集。過去の登場人物たちが続々出てくるスピンオフ的な立ち位置の一冊で、過去作を読んでいることが条件ではあるが、ホラー短編集として至高の出来。

澤村先生お得意の、人間の執着や欲望を怪異に落とし込む構成があまりにも素晴らしい。特に、『居酒屋脳髄談義』が今まで読んだホラー短編の中でベスト5に入るくらい心にブッ刺さった。比嘉姉さん、最高に格好良いです

 

28位:あぶない叔父さん/麻耶雄嵩

寺の離れで「なんでも屋」を営む俺の叔父さん。家族には疎まれているが、高校生の俺は、そんな叔父さんが大好きだった。鬱々とした霧に覆われた町で、次々と発生する奇妙な殺人。事件の謎を持ちかけると、優しい叔父さんは、鮮やかな推理で真相を解き明かしてくれる――。精緻な論理と伏線の裏に秘された、あまりにも予想外な「犯人」に驚愕する。ミステリ史上に妖しく光り輝く圧倒的傑作。

真にあぶない人間は麻耶雄嵩自身である

ドン引き必死の超バカミス短編集。叔父さんがホントのマジで激ヤバすぎて笑うしかない。叔父さんの陰に隠れてはいるが、叔父さん全肯定botの主人公も大概ヤバい。マジでやばい奴しか出てこない。

予想の遥か斜め上(下?)をいくイカれた真相がツボにはまり、ゲラゲラ笑いながら最後まで存分に楽しめた。叔父さんは本当に危ない人でしたけど、本当に危ない人間なのは、こんな劇薬作品を本格ミステリの枠組みで仕上げてしまう麻耶雄嵩自身だと思います。

 

27位:玩具修理者/小林泰三

これは、悪夢か現実か? 国内ホラー史に鮮烈な衝撃を与えた不朽の名作!

玩具修理者はなんでも直してくれる。
どんな複雑なものでも。たとえ死んだ猫だって。
壊れたものを全部ばらばらにして、奇妙な叫び声とともにあっという間に組み立ててしまう。

ある暑すぎる日、子供のわたしは過って弟を死なせてしまった。
親に知られずにどうにかしなくては。
わたしは弟を玩具修理者のところへ持っていくが……。

これは悪夢か現実か。
国内ホラー史に鮮烈な衝撃を与えた第2回日本ホラー小説大賞短編賞受賞作。

短編にして強烈な読書体験を味わえる劇薬作品

伝説のホラー短編と名高い『玩具修理者』を収録したホラー短編集。かの有名な漫画作品『HUNTER×HUNTER』の敵:ネフェルピトーの念能力の元ネタにもなっており、カルト的人気を博している劇薬作品。

ページ数はかなり少ないのだが、生理的嫌悪を催す描写の連続で読み応えは十分。伏線も多数散りばめられており、全てのピースがピタッとハマる感覚が気持ち良い。忘れられない強烈な読書体験を味わいたい酔狂な読書好きにオススメしたい傑作。

 

26位:湘南人肉医/大石圭

食べることで得られる、女性との一体感、エクスタシー。

湘南で整形外科医として働く小鳥田優児は、神の手と噂されるほどの名医。数々の難手術を成功させ、多くの女性を見違えるほどの美人に変貌させていたが…。

カニバリズム孤独のグルメ

タイトル通り。カニバリズム美容外科医の日常グルメ小説。人肉料理しか出てこないのだが、食事の描写があまりにも情緒的で、思わず一口食べてみたくなる。いや、食べないけれども。

半端なくグロいのだが全く怖くなく、むしろ美しいとすら感じてしまう。共感や感動といった感情は全く湧いてこないのに、主人公の異常な日常が永遠に続いて欲しいと切に願わされてしまう。大石圭先生の凄まじい筆力を味わえる傑作にして、あまりにも変態すぎる奇書。グロ好きな方以外は絶対に読まないでください。

 

25位:紫色のクオリア/うえお久光

うえお久光×綱島志朗のタッグで贈る少し不思議な日常系ストーリー!

自分以外の人間が“ロボット”に見えるという紫色の瞳を持った中学生・毬井ゆかり。 クラスでは天然系(?)少女としてマスコット的扱いを受けるゆかりだが、しかし彼女の周囲では、確かに奇妙な出来事が起こっている……ような?

ハードSFラノベの最高到達点

クッッッッッッソ面白い。SF、百合、タイムリープ、グロ、哲学などの様々な要素がギュウギュウに詰めこまれており、余りにもエンタメに溢れすぎている。量子力学や哲学思想といった難解な要素を上手くラノベに落とし込んでおり、「なんかよくわからんけどバカ面白ぇ!!」と脳が叫び始めること間違いなし。

ライトノベルというジャンルの枠を飛び越えて、SFファンの間ではバイブルのように扱われている一冊であり、2025年に重版・復刊も決定した大傑作なので、ラノベだからといって忌避している読者がいれば、是非本作を手に取って認識を改めてほしいと心から願っている。

 

24位:未来図と蜘蛛の巣/矢部嵩

鬼才、覚醒。
矢部嵩の前では、すべてが平等だ。

二十五編の物語。
表題作「未来図と蜘蛛の巣」及びそのシリーズ(講談社「tree」で連載)に加え、既発表の掌編と書き下ろしを収録。

矢部嵩の小説に説明は不要。
矢部ワールドに足を踏み入れたが最後、あなたはそこから出られない。

矢部嵩先生、本当にありがとう

もうたまらん。心の底から崇拝しているホラー作家:矢部嵩先生の最新作にして、奇怪なアイデアと不安定な文体を駆使しながら、人間の持つ希望と絶望を書き起こした超絶大傑作。

一般受けは絶対にしない人を選ぶ作風ではあるが、万人に刺さるメッセージ性を間違いなく有している。前作『〔少女庭国〕』から11年、矢部嵩先生の新刊を手に取って読めること以上に嬉しいことは無い。矢部嵩先生、こんな傑作を書いてくれてありがとう。そして頼む、矢部嵩ファンもっと増えてくれ

 

23位:化石少女と七つの冒険/麻耶雄嵩

この学園は呪われている!? 白雪にまみれ赤いロープで手首を結び合った三生徒の死体、男子の制服で死んでいた女子生徒……良家の子女が集う京都の名門高校で、またまた相次ぐ怪事件に、名探偵まりあの血が再び騒ぐ。神舞まりあは、自分以外の部員一人だけという零細古生物部を率いる化石オタクのお嬢様。そして、誰にも認めてもらえない女子高生探偵だ。これまた誰にも見向きもされない古生物部に、なぜか加入してきた怪しい一年生。むりやりお嬢様のワトソン役にされ続けてきた男子部員が抱え込んだ黒い秘密。その上、新たな生徒探偵まで登場。いかがわしさ倍増の果てに、絶対予測不能の結末が!ミステリ通をのけぞらせた、これが危なすぎる学園ミステリだ!

学園ミステリの皮を被った特級呪物本

ぐはぁっ…!!!油断したっ…!!!一作目のコミカルさはどこへやら、全ての歯車が狂い出し衝撃的なオチへと収束する。キャラ造形は全員ラノベっぽいのに、事件の真相や展開が余りにも悲壮的であり、そのギャップが堪らなく好き。

特に最終話が激ヤバで、事件の真相が判明した瞬間、直接頭をぶん殴られるくらいの衝撃を受けた。こんな特級呪物本を「学園ミステリ」として世に放つとは…。麻耶雄嵩め、なんて性格が悪いんだ。個人的には、麻耶雄嵩作品の中で一番好きな作品です。

 

22位:砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない A Lollypop or A Bullet /桜庭一樹

どこにも行く場所がなく、そしてどこかに逃げたいと思っていた。そんな13歳の二人の少女が出会った。リアリストの山田なぎさと不思議系転校生の海野藻屑。すべては生きるために、生き残っていくために――。

砂糖でできた弾丸では子供は世界と戦えない

直木賞作家:桜庭一樹先生が受賞以前に出版していたラノベ文芸であり、終始暗い雰囲気が漂う鬱小説。題名に"砂糖菓子"とあるが全く甘くなく、現実の苦い部分が凝縮されている。

貧困・虐待・引きこもり。子供がどれだけ現状の悲惨さを世間に訴えようが、実弾ほどの衝撃がなければ誰も気に留めてくれない。砂糖でできた弾丸では、子供は世界と戦えない。実弾を持たない者たちの悲しみと孤独と絶望が詰め込まれた大傑作。

 

21位:まず良識をみじん切りにします/浅倉秋成

「とにかくヘンな小説をお願いします」
そんな型破りな依頼に応えるべく、炒めて煮込んで未知の旨味を引き出した傑作集。
憎き取引先への復讐を計画する「そうだ、デスゲームを作ろう」、集団心理を皮肉った「行列のできるクロワッサン」、第76回日本推理作家協会賞ノミネートの『ファーストが裏切った』など、日々の違和感を増殖、暴走させてたどり着いた前人未到の五編。

これも浅倉秋成。いや、これこそが浅倉秋成。

「とにかくヘンな小説をお願いします」という依頼に全力で応えた怪作

「常識」から逸脱した人間たちの空回りを楽しむ短編集。「とにかくヘンな小説をお願いします」という依頼に全力で応えた作品と表明するだけあって、本当にヘンな短編しか収録されていない

ちょっぴりホラー要素もありつつ、皮肉とユーモアに溢れており、読んでる間は終始腹が千切れるくらい笑い転げていた。同調圧力に抗おうとする主婦を描いた『行列のできるクロワッサン』がたまらなく好き。浅倉先生、こういう作品も書けるんだなぁ。

 

20位:ババヤガの夜/王谷晶

お嬢さん、十八かそこらで、なんでそんなに悲しく笑う――。暴力を唯一の趣味とする新道依子は、腕を買われ暴力団会長の一人娘を護衛することに。拳の咆哮轟くシスターハードボイルド! 

英国推理作家協会賞・ダガー賞受賞作

圧倒的バイオレンス描写で駆け抜けるミステリ作品。200ページほどしか無い作品なのだが、エンタメの密度が飽和状態で、次々と襲い来るエンタメ度MAXの展開に脳汁がブシャブシャと湧き出てくる。

息をつかせぬ疾走感に最高のクライマックス。構成・キャラ・描写・結末、全てが至高で、ダガー賞受賞も納得の超絶大傑作。バイオレンス描写が苦手な人でも、大筋の物語の面白さに引っ張られる形で最後まで読めてしまうと思う。是非読んでみてください。

 

19位:さくらのまち/三秋縋

二度と戻らないつもりでいた桜の町に彼を引き戻したのは、一本の電話だった。

高砂澄香が自殺しました」

澄香――それは彼の青春を彩る少女の名で、彼の心を欺いた少女の名で、彼の故郷を桜の町に変えてしまった少女の名だ。
澄香の死を確かめるべく桜の町に舞い戻った彼は、かつての澄香と瓜二つの分身と出会う。
あの頃と同じことが繰り返されようとしている、と彼は思う。
ただしあの頃と異なるのは、彼が欺く側で、彼女が欺かれる側だということだ。

人の「本当」が見えなくなった現代の、痛く、悲しい罪を描く、圧巻の青春ミステリー!

隣にいる親友は"本物"か"サクラ"か

僕の青春を彩った神作家・三秋縋先生の6年振りの書下ろし長編にして、悲痛で残酷な青春ミステリ作品。自殺指数の高い人間を踏み止まらせるための"サクラ"制度が蔓延る社会が舞台となっており、自分を救ってくれた親友が"本物"なのか"サクラ"なのかを突き止めていく。

あまりにも救いのない展開の連続に、胸がキリキリと締め付けられる。人を救うはずの"サクラ"制度で崩れていく人間関係。読者を物語に引き込む力が並外れている三秋先生の才能を、直に浴びることのできる大傑作。

 

18位:丘ルトロジック 沈丁花桜のカンタータ/耳目口司

神楽咲高校に入学した俺は、「丘研」の入部案内を見て直感した、これぞ〈風景〉を愛する俺のための部活だと! 代表と意気投合し早速入部。だが、丘研の正体は代表の野望に奉仕する「オカルト研究会」であった!!

クレイジー&バイオレンスラノベの最高峰

間違いなく過小評価されている作品。ラノベ界屈指の神傑作にして、頭のネジがぶっ飛んだ奇人しか登場しない最低最悪な物語。奇人どもの内輪ノリだけで話が完結しているならまだしも、奇人どもが一般人を巻き込んでテロリズム作戦を実行するという、倫理観をゴミ箱にダンクシュートした展開が繰り広げられる。

しかも、一辺倒なクレイジー描写のみでは終わらず、各キャラが何故奇人と化してしまったのかについての回想描写や、あっと驚く伏線回収など、読者を最初から最後まで全力で楽しませたいという執念が滲み出ている。ラノベ好きな方は必読の一冊。

 

17位:隣のずこずこ/柿村将彦

「村を壊します。あなたたちは丸呑みです。ごめんね」巨大な狸とともにやってきたあかりさんはそう告げた。村を焼き、村人を呑み込む〈権三郎狸〉の伝説は、古くからこの矢喜原村に語り継がれている。あれは、ただの昔話ではなかったのか――。中学3年生の住谷はじめは戸惑いながらも抗おうとするが。恩田陸萩尾望都森見登美彦が絶賛した、日本ファンタジーノベル大賞2017受賞作!

村を壊します。あなたたちは丸呑みです。ごめんね

化け狸により1ヶ月後の死が確定した村人たちの、狂気的で快楽的な日常を描く不条理ディストピアホラー作品。物凄~く変な小説で、絶望に染まった村人たちがやりたいことをやるだけなのにめちゃくちゃ怖い。

読了後は誰かと本作について語り合いたい衝動に駆られること間違いなしなのだが、そこまで有名作では無い上に人を選ぶ奇書よりな作風のため、中々語り合える相手に巡り合えないのがムズムズする。作者の長編が本作しか出版されていないのも悲しい。次回作があれば絶対に読ませていただきます。

 

16位:お梅は呪いたい/藤崎翔

古民家の解体中に発見された謎の日本人形。それはかつて戦国大名を滅亡させた呪いの人形お梅だった! 興味本位の底辺ユーチューバーに引き取られたお梅は、早速彼を呪い殺そうとするが、500年のブランクは長すぎた!? 呪いが効かないどころか、お梅の心霊動画がバズってしまい……果たしてお梅は無事に現代人を呪い殺せるのか。笑いと涙のオカルトハートフルコメディ!

日本人形版「ちゃっきゐ」、ここに爆誕

呪いの人形:お梅が現代人を不幸にしようと奮闘するオカルトコメディ作品。とにかくお梅がめちゃくちゃ可愛い。呪っている相手が次々と幸せになり、地団駄を踏んで悔しがるお梅が可哀そうで可愛い。猫に襲われるたびに瘴気を全力で振り撒きながら暴れ回るシーンも愛くるしすぎて最高。

全編通してゲラゲラと笑え、最終章でホロリと泣ける。伏線回収もあり、読み応えも十分。ここ最近読んだコメディ作品の中でトップクラスに面白かった。万人に全力でオススメできる大傑作です。

 

15位:独白するユニバーサル横メルカトル/平山夢明

タクシー運転手である主人に長年仕えた一冊の道路地図帖。彼が語る、主人とその息子のおぞましい所行を端正な文体で綴り、日本推理作家協会賞を受賞した表題作。学校でいじめられ、家庭では義父の暴力に晒される少女が、絶望の果てに連続殺人鬼に救いを求める「無垢の祈り」。限りなく残酷でいて、静謐な美しさを湛える、ホラー小説史に燦然と輝く奇跡の作品集。

どういうオーダーをすればこんなイカした表紙が出来上がるの?

タイトルから表紙から内容から、全てが余りにも意味不明でぶっ飛びすぎているバイオレンスグロ短編集。半端ないグロ描写で読む人は選ぶのだが、かの名誉ある賞である日本推理作家協会賞受賞作なだけあって、面白さに関しては間違いない完成度を誇る。

全編鬼畜ではあるのだが、ふとした瞬間に垣間見える人間の儚さにハッとさせられる。やっぱり、平山夢明作品って暴力の中に人間の美しさが混ぜ込まれてて大好き。無理はしてほしくないけれども、グロ耐性のある方は是非チャレンジしてみてほしい。

 

14位:彼女は死んでも治らない/大澤めぐみ

沙紀ちゃんはいつも殺されがちな最高にかわいい女の子。わたしは普通じゃないレベルで彼女のことが好きだから、凶悪な犯人をなんどでも見つけ出してやる! と、四六時中息巻く神野羊子は、高校に入学早々、校内で蓮見沙紀の死体を発見。彼女の命を救うため、すかさずお得意の推理を巡らせる―。個性的なキャラクターと唯一無二の文体が織りなす超絶コージーミステリー!

彼女はすぐ殺される。でも、犯人を当てれば生き返る。

ミステリの皮を被ったアンチミステリ作品にして、キャラ・展開・文体の全てがイカれた特級呪物本。まず冒頭1ページで彼女が首無し逆さ吊り死体になります。嘘のように聞こえるかもしれませんが本当です。信じてください。

饒舌な女子高生の思考を全て垂れ流したような文体で、とにかく情報過多。構成も壊れていて、メタミステリのメタをしてさらにメタをしてメタをして…。なんか知らない間にメタメタメタメタミステリになるのだが、最後は爽やかに終わるのがズルい。ズルいというか訳わからん。何でこんな作品を読んで感動しているんだ、僕は。大傑作です。

 

13位:牛家/岩城裕明

あるゴミ屋敷の清掃をすることになった特殊清掃員。清掃期間は二日間。清掃は順調に進んでいたが……いてはいけないもの、片付けられない部屋、様相を変え続ける内装……これは夢か現実か……!?

狂気と理不尽を具現化した怪作

日本ホラー大賞佳作を受賞した『牛家』と、書下ろし短編『瓶人』の2編を収録したホラー短編集。両編ともに生理的嫌悪描写マシマシで、文章の軽やかさと特級グロ描写のギャップが癖になる

ただ、グロ一辺倒の作品では断じてなく、クスッとつい笑ってしまうシーンも差し込まれており、読後感は決して悪くない。特に、2編目の『瓶人』は話の大筋がわかりやすく、丁寧な前振りからの終盤のドタバタ感が物凄くエンタメしていて楽しかった。こういう倫理観がバグってる作品、好きなんだよなぁ。

 

12位:恐怖小説キリカ/澤村伊智

ホラー小説の新人賞を獲得し、僕は出版に向けて準備をはじめた。隣には支えてくれる最愛の妻・キリカ。順風満帆な日々が続くと思われたが、友人の一人が「作家とは人格破綻者である」「作家は不幸であるべき」と一方的な妄想を僕に押し付け、嫌がらせをはじめる。ストーカー行為、誹謗中傷の手紙、最悪の贈り物。やがて不幸は、僕とキリカのとある「秘密」を暴き出すが――。

貴志祐介ファンは必読です。

正直言ってズルい作品。読んだ人なら伝わると思うんだけどさ…、貴志祐介信者の僕があのシーンを読んで興奮しないわけないじゃない…。もうあのシーンに出会えただけで、この作品を読んでよかったと心の底から言える。

ただ、あのシーンだけでこんな上位になったわけでは断じてなく、本作はホラー小説として至高の完成度を誇る。著者本人が『ぼぎわんが、来る』で大賞を受賞した時の話から物語が始まり、著者自身の回顧録なのか創作ホラー作品なのか分からないままに物語が進行していくので、序盤から居心地悪くて最高だった。最後にこれだけは言いたい。本作はとんでもない傑作です。大傑作です。超絶大傑作です。だから許しt………。

 

11位:異常/エルヴェ・ル・テリエ

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あらすじすら検索厳禁!

異常。ただその一言に尽きる奇抜な作品。絶対的な"異常"が全てを包み込み、そこに理屈など差し込む余地もない。本作はあらすじすら読まずに本編を読み始めることを公式が推奨しているため、今回の紹介ではあらすじを伏せさせていただきます。

睡眠を削るほど夢中になったのだが、何が面白かったのかと聞かれると一切答えられない。少なくとも、僕は本作の持つ圧倒的な異常さを言葉で表現しきるほどの語彙力を持ち合わせていない。ただ、傑作であることは間違いないし、読んでよかったと心から言える。気になる人はネタバレをくらう前にさっさと読むべし。

 

10位:小説/野﨑まど

五歳で読んだ『走れメロス』をきっかけに、内海集司の人生は小説にささげられることになった。
一二歳になると、内海集司は小説の魅力を共有できる生涯の友・外崎真と出会い、二人は小説家が住んでいるというモジャ屋敷に潜り込む。
そこでは好きなだけ本を読んでいても怒られることはなく、小説家・髭先生は二人の小説世界をさらに豊かにしていく。
しかし、その屋敷にはある秘密があった。

小説とは何か。小説を読むことに意味はあるのか。

天才:野﨑まどが、「小説とは何か」という問いに小説という形で挑んだ哲学的SF小説。相変わらず尖った内容ではあるが、内包するメッセージは極めてシンプル。「なぜ小説を読むのか」について野﨑まどが提示してくれる答えは、シンプルで真理的で天晴れ。

小説をただただ消費し、創作側に回れないことに対する後ろめたさを常日頃感じている読書好きの全ての人に読んでほしい大傑作。世の読書好きたちを全肯定してくれる終盤が本当に大好き。締めの一行も神。大傑作です。

 

9位:杉森くんを殺すには/長谷川まりる

――「杉森くんを殺すことにしたの」
高校1年生のヒロは、一大決心をして兄のミトさんに電話をかけた。ヒロは友人の杉森くんを殺すことにしたのだ。そんなヒロにミトさんは「今のうちにやりのこしたことをやっておくこと、裁判所で理由を話すために、どうして杉森くんを殺すことにしたのか、きちんと言葉にしておくこと」という2つの助言をする。具体的な助言に納得したヒロは、ミトさんからのアドバイスをあますことなく実践していくことにするが……。

傷ついた心を、取りもどす物語

悩める全ての学生に読んでほしい児童書

物騒なタイトルからは全く想像できないほど、優しくて心苦しくて前向きになれる作品。何故杉森くんを殺したいのか、その理由を淡々と主人公が整理していく描写から始まるのだが、話が進むにつれて不穏さが漂い始め、主人公の抱える痛みと闇が徐々に明らかとなる。

どうしようも出来ない怒りや悲しさを抱えながら、自分自身が壊れてしまわないように妥協点を見つけ出す。頭の中では分かっていても、実際に自分が主人公の立場に置かれたらそんなこと可能なのだろうか。主人公の葛藤と決断を前にして、僕の心は激しく揺すぶられ、とてつもない感動に包まれた。悩める学生だけでなく、心にモヤモヤを抱えて生きている大人にも読んでほしい大傑作。

 

8位:ガダラの豚/中島らも

アフリカにおける呪術医の研究でみごとな業績を示す民族学学者・大生部多一郎はテレビの人気タレント教授。彼の著書「呪術パワー・念で殺す」は超能力ブームにのってベストセラーになった。8年前に調査地の東アフリカで長女の志織が気球から落ちて死んで以来、大生部はアル中に。妻の逸美は神経を病み、奇跡が売りの新興宗教にのめり込む。大生部は奇術師のミラクルと共に逸美の奪還を企てるが…。超能力・占い・宗教。現代の闇を抉る物語。まじりけなしの大エンターテイメント。日本推理作家協会賞受賞作。

狂気と呪術に塗れた異色冒険エンターテインメント

究極の大長編にして、徹夜確定の睡眠破壊本にして、「面白いは正義」を体現した極上のエンターテインメント作品。宇宙一面白い小説である『新世界より』に勝るとも劣らない完成度を誇っており、ドーパミンが抑えきれなくなる合法麻薬のような作品である。

全三巻という物量に尻込みしてしまうかもしれないが、安心してほしい。一度ページを捲ってしまえば最後、あなたは本作に洗脳され、正気に戻った頃には最後のページに辿り着いていることだろう。そういう呪術がこの本には込められている。読まなきゃ損ですよ、本当に。

 

7位:エレファントヘッド/白井智之

本格ミステリ大賞受賞の鬼才が仕掛ける、空前絶後の推理迷宮。

精神科医の象山は家族を愛している。だが彼は知っていた。どんなに幸せな家族も、たった一つの小さな亀裂から崩壊してしまうことを――。やがて謎の薬を手に入れたことで、彼は人知を超えた殺人事件に巻き込まれていく。

謎もトリックも展開もすべてネタバレ禁止!
前代未聞のストーリー、尋常ならざる伏線の数々。
多重解決ミステリの極限!

時間遡行×並行世界×本格ミステリ

トンデモ設定、容赦のないエログロ、畳み掛ける多重推理。狂気を煮詰めた大胆な世界観の中に繊細な伏線が散りばめられており、終盤で完膚なきまでに叩きのめされる。マジで何食ってたらこんなイカれた本格ミステリを思いつくのだろうか

余りにも酷過ぎる悪趣味な展開がノンストップで繰り広げられるため、序盤は常軌を逸した不快感が込み上げてくるが、その倫理観の欠如がクセになり、中盤からは心地良さすら感じるようになる。絶対に読書初心者にはオススメ出来ない癖強変態作品だが、本格ミステリ好きは必読の超絶大傑作。

 

6位:アリス殺し/小林泰三

大学院生・栗栖川亜理は、最近不思議の国に迷い込んだアリスの夢ばかり見ている。ある日ハンプティ・ダンプティが墜落死する夢を見た後大学に行ってみると、玉子という綽名の男が屋上から転げ落ちていた。次に見た夢の中でグリフォンが生牡蠣で窒息死すると、現実でも牡蠣を食べた教授が急死。そして不思議の国では、三月兎と頭のおかしい帽子屋が犯人捜しに乗り出していたが、なんとアリスが最重要容疑者に……。悪夢的メルヘンが彩る驚愕の本格ミステリ!

悪夢×メルヘン×本格ミステリ

クッッッッッッソ面白い。人を不快にする描写を書かせれば右に出る者はいない変態作家:小林泰三先生が紡ぎ出す、『不思議の国のアリス』の不条理な世界観をベースとした殺人事件ミステリなんて面白くない訳がない。

全編通して繰り広げられる意味の通じない堂々巡りな会話に辟易してしまうかもしれないが、そこで本作を見限ってしまうのは余りにももったいない。後半に差し掛かると物語は急激に加速し、半端ないグロテスク描写を撒き散らしながら衝撃のラストシーンへと収束する。原作『不思議の国のアリス』を予習していなくても楽しめるので、敬遠せずに読んでほしい大傑作。

 

5位:キャンプをしたいだけなのに 雪中キャンプ編/山翠夏人

死にかけたにもかかわらず、またソロキャンプをしようとする斉藤ナツに周囲は呆れていた。行くなら安全な場所へ、と紹介されたキャンプ場で出会ったのは、寡黙な老人、謎の少女、不審な動画配信者。ここ、本当に大丈夫か?
不安に駆られる中、懐かしい人物と再会を果たすが……なんだか様子がおかしい。
過去と恐怖が交差し、怪異と殺人鬼が入り乱れる!
最後まで先が読めないノンストップサバイバルホラー

シュールでポップでヒトコワな傑作ホラーミステリ

大傑作ホラー小説『キャンプをしたいだけなのに』の続編にして、数多のホラーミステリを過去に置き去りにした究極の神本。幽霊も殺人鬼も当たり前のように登場する血みどろ作品だが、コメディとホラーとミステリのバランスが絶妙で、ニヤニヤしながら最後まで楽しく読めてしまう。

前作も感じたのだが、やっぱり本作の魅力の大半は主人公:ナツにあると思う。どれだけ窮地に立たされても決して諦めずに、全力で命を燃やして立ち向かうナツの強さに憧れを抱かざるを得ない。ハラハラドキドキする描写、思わず涙が零れてしまう展開、鮮やかで見事な伏線回収。最後までエンタメたっぷりで非の打ち所がない超絶大傑作。ホラー小説初心者にも全力でオススメしたい。

 

4位:ようこそ、ロバの目の世界へ。/岩城裕明

ハイパーシュール&ハートフルな幽霊奇譚!

幽霊と呼ぶにはあまりに奇天烈な“何か”が見える僕が、夏休みに巻き込まれたとんでもない事件とは?ちょっとシュールで最高に心が温まる友情全開ファンタジー

さぁ、微笑ましくも悍ましい非日常の世界へ

今年最大の伏兵にして、僕の感性にブッ刺さった大傑作非日常ホラー。軽妙な文体で紡がれるのは、"奴ら"が見えてしまう少年の夏休みを軸とした非日常の世界。焦点の合わない不安定な展開が繰り広げられるが、岩城先生お得意のハイセンスな語り口により、ストレス無くサラッと最後まで読めてしまう。

めちゃくちゃ怖いのに、思わず笑ってしまうという奇妙な読書体験を味わえる、唯一無二の大傑作。生理的嫌悪を催す描写や猟奇的なグロ描写もあるにはあるが、それ以上にコミカルな雰囲気が全体を覆っているので、ホラーが苦手な人でも楽しめるんじゃないかな。単行本は入手が難しいため、kindle版でどうぞ。

 

3位:Y田A子に世界は難しい/大澤めぐみ

世界は難しくて、ときどき不思議で愛おしい。
ありえないほど賑やかな日常で、人型ロボット・瑛子が踏み出す大きな一歩。
突き抜けるほどハイテンションで、
ちょっぴりセンスオブワンダーな青春AI家族小説!

自我を宿したAI内蔵人型ロボット・瑛子は、わけあって和井田家に居候中。家族の勧めで高校に入学し、目に映る景色が変わっていく。孤独な少女・風香との出会いや、いつもなにかと騒がしい家族との日々。友情とか親子とか、検索しても正解のない世界を、ロボットならではのフリースタイルで瑛子は突き進む。鬼才のエッセンス全開のハイテンション青春AI家族小説!

AIだって青春を謳歌したい!

まず言わせてほしい。本作は青春小説の頂点に君臨する超傑作であり、人間になりたいと願うAIに襲い来る残酷な現実をストレートに書ききった究極の神本である。ロボットが周囲の人々と触れ合う中で、自分の不完全さを自覚する過程が鮮明に描かれる激重作品ではあるが、AI女子高生:和井田瑛子のノリが奇天烈なアッパー系であることが幸いし、爆笑必死のドタバタ青春コメディ作品に仕上がっている。

ロボット視点から見ると、不条理で非効率なことだらけな人間社会。友達を作ってみたり、アルバイトをしてみたり、部活動でバレエに挑戦してみたり…。不器用ながらに"女子高生"らしさを身に着けようと奮闘する瑛子の姿に、特大級の笑いと感動が押し寄せる。全編通して未来に対する希望と羨望に満ち溢れており、最後まで晴れやかで暖かな雰囲気に包まれている超絶大傑作。これまでも、そしてこれからも、普通で退屈で魅力的な日々を大切にして生きていこう。

 

2位:保健室登校/矢部嵩

転入生の彼女は、非常な疎外感を味わっていた。級友は間近に迫った旅行の話でもちきりなのだ。だが、待ちに待った出発の日、転入生が見た恐るべき光景とは? 普通の学校生活が恐るべき異世界へと変わる瞬間を描く。

気持ち悪さが癖になる、問題作揃いのホラー短編集

まず目次の時点で異常。『血まみれ運動会』だの『殺人合唱コン(練習)』だの、普通に生きていれば目にするはずのない単語の組み合わせが並んでいる。そして、舞台となる中学校の名前が「人殺し中学校」とかいう悪ふざけ甚だしいクソみたいな名前であることが判明した瞬間、僕はこの読書体験が素晴らしいものになることを確信した。

とにもかくにも登場人物が全員バグり散らかしており、最高に不条理で理不尽でグロテスク。常に誰かしらゲボを吐いているし。駅子、床子、テレコムさんとかいうキラキラネームの枠に収まらない変な名前の奴らしかいないし。とにかく訳が分からん。そんな無茶苦茶やる作風のくせに、所々ハッとさせられる趣深いセリフが飛び出してくるのがズルい。ホラー小説ファンは必読の奇書にして、矢部嵩先生の唯一無二の世界観を堪能できる神傑作。

 

1位:わたしはあなたの涙になりたい/四季大雅

これは、涙で始まり、涙で終わる物語。

全身が塩に変わって崩れていく奇病「塩化病」。その病で母親を亡くした少年・三枝八雲は、小学校の音楽室でひとりの少女と出会った。
美しく天才的なピアノ奏者であるその少女の名は、五十嵐揺月。鍵盤に触れる繊細なその指でいじめっ子の鼻を掴みひねり上げ、母親の過剰な期待に応えるべく人知れず努力する。さまざまな揺月の姿を誰よりも近いところから見ていた八雲は、我知らず彼女に心惹かれていく。
小学校を卒業し、ますます美しく魅力的に成長した揺月は、人々の崇拝と恋慕の対象となっていった。高校に進学する頃、すでにプロのピアニストとして活躍していた揺月はイタリアへと留学してしまう。世界を舞台にする揺月と、何者でもない自分との間にある圧倒的な差を痛感した八雲は、やがて小説を書き始める。
揺月との再会はある日唐突に訪れた――その再会が、自分の運命を大きく変えるものになることをその時の彼は知る由もなかった。

これは、涙で始まり、涙で終わる物語。

小学館ライトノベル大賞で5年ぶりの大賞に選ばれた作品であり、僕的今年No.1の座に輝いた至高の神本。四季大雅先生、これほどまでに美しくも悍ましい物語を書いてくれてありがとうございます。心の底から感謝の念をお伝えしたい所存であります。

本作の特徴は、最初から最後まで予想外なことが一切起こらないことである。何を言ってるんだ?と思ったそこのあなた。本作のあらすじを目にしたとき、ある程度予想した展開があると思います。それがそっくりそのまま書かれています。本当です。本作は、最初から最後までテンプレ通りの展開しかありません。

では、なぜ本作が今年No.1作品と成り得たか。それは、本作は人の死を「物語」という商品として消費してしまう大衆の愚かさを、「テンプレ通りに人が死ぬ物語」を通して読者に訴えかけることに挑戦した、余りにも狂気じみた一冊であるからだ。作者が抱いているであろう安易なコンテンツ化への嫌悪感がパンッパンに詰め込まれた、超絶ド級の爆弾である。

そんなドロドロとしたグロテスクな感情を鮮明に描きつつも、全体としては溢れんばかりの"優しさ"に包まれており、本作を読んだ人間の背中を後押ししてくれるような美しく素敵な作品に仕上がっている。本作以上に、優しさと不気味さが共存している作品を僕は知らない。四季大雅先生は本物の天才だ

なんか小難しく紹介文を書いてしまったため、まるで複雑で難解な作品であるかのように思われるかもしれないが、決してそんなことはないので安心してほしい。本作の大筋は人生賛歌であり、あくまでも幸福に生きることの素晴らしさを説いてくれる作品であるため、生きることに理由を見いだせずに、無気力感に苛まれながら日々を過ごしている人にこそ読んでほしいと思う。生きる希望と頑張る勇気をもらえますよ。

 

過去記事

貴志祐介全作品ランキングとかやってます。

yukari-gohan.hatenablog.com

貴志祐介 全作品ランキング

エンタメ界の頂点に君臨せし神作家

貴志祐介、それは大傑作しか生みださない正真正銘の化け物作家である。

『黒い家』『天使の囀り』『クリムゾンの迷宮』といった傑作ホラー小説を連発する傍ら、『悪の教典』といったサスペンス作品や『硝子のハンマー』を始めとするミステリ作品、さらにはSF大長編である超絶大傑作『新世界より』など、あらゆるジャンルで黙々と大傑作のみを生みだし続けている。

そんな貴志祐介先生を神と崇め奉っているブログ主が、畏れ多くも全貴志祐介作品をランキング形式で紹介していきたいと思う。

 

ランキング発表

先に断っておくが、本ランキングは小説を対象にしており、エッセイである『極悪鳥になる夢を見る』と小説指南書『エンタテインメントの作り方』はランキングから除外してある。ただ、どちらの作品もバカみたいに面白いので、貴志祐介ファンなら必ず読むべし。

 

19位 罪人の選択

2年半の沈黙を破り、満を持して世に放つ貴志祐介ワールド全開の作品集。
最新SF「赤い雨」は、パンデミックが起きたときあらわになる人間の本性を描いた、今読むべき一作。
表題作は、著者自身が「ここまで強いテンションを維持した作品は、書いたことがありません」と断言する手に汗握るミステリー。
人間の愚かさが絶望で世界を塗りつぶすとき、希望が一筋の光となって未来を照らし出す。

SF短編を中心に収録した、4編からなる異色短編集。正直言って、傑作揃いの貴志祐介作品の中では、断トツのドべ評価である。

1編目の「夜の記憶」は難解すぎて理解不能だし、残りの短編も明らかにページ数が足りてない。特に、4編目の「赤い雨」なんて設定を練りすぎて、世界観の説明だけでほとんど全てのページを消費してしまっている。設定は面白かっただけに、あまりにももったいない。

"貴志祐介作品は長編であればあるほど面白い"という過激思想を持つ僕にとって、なんか全体的に残念な感じの作品だなぁという印象がどうしても拭えなかった。「呪文」「赤い雨」あたりは、長編でリメイクしてくれませんかね…?

 

18位 兎は薄氷に駆ける

ある嵐の晩、資産家の男性が自宅で命を落とす。
死因は愛車のエンジンの不完全燃焼による一酸化炭素中毒。
容疑者として浮かんだ被害者の甥、日高英之の自白で事件は解決に向かうと思われたが、それは15年前の殺人事件に端を発する壮大な復讐劇の始まりだった――。

警察・検察、15 年前の事件の弁護も担当した本郷、
事件調査を請け負う垂水、恋人の千春……。

それぞれの思惑が交錯し、誰が味方で誰が敵なのか分からなくなる中、事件は意外な方向に二転三転していく――。

父の冤罪をすすぐため、青年は身命を賭して復讐を誓った。
――
最後に暴かれるのは誰の嘘なのか!?
稀代のストーリーテラーが満を持して放つ、現代日本の“リアルホラー”!

あらすじで"リアルホラー"と書かれてはいるが、ホラーというより社会派ミステリに近い作風の長編小説。法廷シーンに重点を置いており、貴志作品にしては珍しいタイプの作品である。

かなり分厚くて重厚な作品ではあるが、面白すぎるが故にぶっ通しで読んでしまうこと間違いなし。特に、逆転裁判を思わせる激熱の法廷バトルは一見の価値あり。

ただ、連載物であった影響か、尻切れトンボに終わってしまっているのがマイナスポイント。でもなぁ…これ以上話を広げても蛇足になっちゃう気がするしなぁ…。

 

17位 我々は、みな孤独である

探偵・茶畑徹朗(ちゃばたけ・てつろう)の元にもたらされた、
「前世で自分を殺した犯人を捜してほしい」という不可思議な依頼。
前世など存在しないと考える茶畑と助手の毬子だったが、
調査を進めるにつれ、次第に自分たちの前世が鮮明な記憶として蘇るようになる。
果たして犯人の正体を暴くことはできるのか? 誰もが抱える人生の孤独――死よりも恐ろしいものは何ですか。
鬼才がいま描く、死生観とは。著者7年ぶり熱望の傑作長篇。

小説の枠を超え、もはや哲学書の域にまで達している激ヤバ作品。

序盤は普通のミステリっぽい作風なのだが、徐々にSF要素が追加されていき、終盤はスピリチュアルアクセル全開。また、全貴志作品の中でもトップレベルにバイオレンス色が強く、グロ描写が苦手な人には間違ってもおススメできない。

間違いなく賛否別れる問題作ではあるけれども、個人的には嫌いになれない迷作。ただ、もう一度読むかと言われれば、多分読まないと思う(笑)。

 

16位 鍵のかかった部屋

元・空き巣狙いの会田は、甥が練炭自殺をしたらしい瞬間に偶然居合わせる。ドアにはサムターン錠がかかったうえ目張りまでされ、完全な密室状態。だが防犯コンサルタント(本職は泥棒!?)の榎本と弁護士の純子は、これは計画的な殺人ではないかと疑う(「鍵のかかった部屋」)。ほか、欠陥住宅の密室、舞台本番中の密室など、驚天動地の密室トリック4連発。あなたはこの密室を解き明かせるか!?

防犯探偵シリーズ3作目にして、密室事件のみを扱った本格ミステリ短編集。2012年には嵐の大野くん主演でドラマ化もされており、名前だけなら聞いたことある方も多いんじゃないだろうか。

防犯探偵シリーズは本作含めて4作出ており、その中ではトリックが全体的に若干微妙な気がするので、低めの順位となってしまった。とはいえ、本格ミステリが苦手な僕でも夢中になって読み進めてしまうほど抜群に面白いので、ミステリ好きの方は是非手に取ってみてほしい。

 

15位 十三番目の人格ISOLA

賀茂由香里は、人の強い感情を読みとることができるエンパス。
あどけない少女千尋多重人格障害に胸を痛める。
やがて十三番目の人格・ISOLA・の出現に、彼女は身も凍る思いがした。

貴志祐介先生のデビュー作にして、第3回日本ホラー小説大賞佳作を受賞したホラー小説。デビュー作なだけあって、若干間延びしたり展開が雑だったりする部分もあるが、全体としてみればかなり高品質なホラー作品に仕上がっている。

特に、心理学やオカルト現象についての造詣の深さに関しては、デビュー作である本作から遺憾なく発揮されており、オカルト好きの僕にとってはたまらない作品である。ただ、それ故にオカルト感やファンタジー感が強いため、純粋なホラーを好む人にとってはイマイチかもしれない。

 

14位 さかさ星

呪われよ 子々孫々の果てるまで

戦国時代から続く名家・福森家の屋敷で起きた一家惨殺事件。死体はいずれも人間離れした凄惨な手口で破壊されており、屋敷には何かの儀式を行ったかのような痕跡が残されていた。福森家と親戚関係の中村亮太は、ある理由から霊能者の賀茂禮子と共に屋敷を訪れ、事件の調査を行うことになる。賀茂によれば、福森家が収集した名宝・名品の数々が実は恐るべき呪物であり、そのいずれか一つが事件を引き起こしたという。賀茂の話を信じきれない亮太だったが、呪物が巻き起こす超常的な事象を目にしたことで危機を感じ始める。さらに一家の生き残りの子供たちにも呪いの魔の手が……。一家を襲った真の呪物は? そして誰が何のために呪物を仕掛けたのか? 数百年続く「呪い」の恐怖を描く、待望の長編ホラー。

呪いをテーマとしており、特級呪物がこれでもかと大量に登場するホラー長編。

貴志作品特有の過剰なまでの裏付けによって語られる、呪物一つ一つに関するエピソードを読んでるだけでも面白いのに、それらの能力を軸に二転三転する展開がハチャメチャで非常に楽しい。ここ最近の貴志作品の中ではトップクラスで面白いと思う。

ただ、二部作ということもあって本作内では完結しておらず、まだ解決してない大きな謎も残されているので、とりあえずこのあたりの順位に入れておくことにした。

 

13位 雀蜂

雪の山荘に閉じ込められた小説家の安斎を突如襲う、凶悪なスズメバチの群れ。安斎は山荘を生きて出られるのか。最後明らかになる驚愕の真実とは!? ノンストップ・サバイバルホラー、文庫書き下ろしで登場!

貴志作品の中で圧倒的に低評価の数が多く、駄作だのごみ箱に捨てただの暖炉にくべただの、あまりにも言われたい放題で可哀そうな作品。個人的には結構好きなんだけどなぁ。

確かに、あのとってつけたようなオチは正真正銘のゴミだ。『雀蜂』擁護派の僕ですら、あまりにもヘボすぎるあのオチは許していない。ただ、それを帳消しにできるほどのユーモラスでパワフルなvs蜂バトルが中盤まで展開されていることも確かなのである。

現状の手持ちの中で最適解を探し、次の部屋に進めば新たな障壁とアイテムが立ち並ぶ。完璧だと思っていた作戦に穴があったり、数の暴力に負けそうになったり、思わぬ展開で一気に形勢逆転したり…。まるでバイオハザードを始めとするサバイバルゲームをそのまま小説に書き起こしたような作風で、非常にドキドキハラハラする作品に仕上がっている。

世間の低評価を信じ込んで本作を読むのを避けている人には、是非これを機に手に取ってみてほしいと切に願う。中盤まではマジで面白いから。中盤までは。

 

12位 ミステリークロック

犯人を白日のもとにさらすために――防犯探偵・榎本と犯人たちとの頭脳戦。

様々な種類の時計が時を刻む晩餐会。主催者の女流作家の怪死は、「完璧な事故」で終わるはずだった。そう、居あわせた榎本径が、異議をとなえなければ……。表題作ほか、斜め上を行くトリックに彩られた4つの事件。

防犯探偵シリーズ4作目。文庫版では『ミステリークロック』と『コロッサスの鉤爪』の二冊に分割して出版されている。

貴志ミステリの集大成ともいえる作品となっており、トリックに気合が入りすぎているせいか、推理パートを読んでもあまり理解できた気がしない。特に、表題作の「ミステリークロック」とか、ご丁寧に解説図までつけて説明してくれているのに、何のことやらサッパリ分からない。僕の頭がもう少し賢ければ…ふがいない限りである。

それでも、「ゆるやかな自殺」や「コロッサスの鉤爪」は物凄く面白かったので、個人的にはかなり評価の高い一冊となっている。ミステリ愛好家の方は、是非本作の高難易度な謎に挑んでみてほしい。

 

11位 秋雨物語

生きながら、地獄に堕ちるということ――。恐るべき新シリーズ始動!

失踪した作家・青山黎明が遺した原稿。それは彼を長年悩ませる謎の転移現象の記録だった。転移に抵抗する青山だったが、更なる悪夢に引きずり込まれていく(「フーグ」)。ある呪いを背負った青年の生き地獄、この世のものとは思えないある絶唱の記録など、至高のホラー4編による絶望の連作集。『黒い家』『天使の囀り』『悪の教典』……いくつもの傑作を生み出した鬼才・貴志祐介が10年以上にわたり描き続けた新シリーズが遂にベールを脱ぐ。

不思議ワールド全開のオカルトSFチックな短編4編を収録した短編集。

『罪人の選択』とは異なり、本作はコンパクトな設定を上手く短編へ落とし込んでいるため、まるで世にも奇妙な物語のようにサクッと楽しめる満足度の高い短編集となっている。

個人的に大好きなのは、2編目の「フーグ」。丁寧にフラグを立てておいてからの、あの衝撃のオチは笑ってしまった。他の短編も読み易い上に完成度は相当高いので、貴志祐介初心者におススメしたい一冊。

 

10位 狐火の家

『硝子のハンマー』の興奮再び! 防犯探偵・榎本が4つの密室に挑む!

長野県の旧家で、中学3年の長女が殺害されるという事件が発生。突き飛ばされて柱に頭をぶつけ、脳内出血を起こしたのが死因と思われた。現場は、築100年は経つ古い日本家屋。玄関は内側から鍵がかけられ、完全な密室状態。第一発見者の父が容疑者となるが……(「狐火の家」)。表題作ほか計4編を収録。

防犯探偵シリーズ2作目。表題作「狐火の家」や「黒い牙」がシリーズを通してトップレベルに好きな短編なため、防犯探偵シリーズの短編集としては一番上の順位に置くことにした。

また、ポンコツ役を担っている自称美人弁護士・純子の天然っぷりが丁度良い塩梅なのも加点要素。本作以降の純子は擁護できないレベルのアホアホちゃんになってしまうので、個人的にはまだ知性をかろうじて残している本作の純子が一番好み。

 

9位 梅雨物語

貴志祐介が描くホラーミステリの極北 。あなたの罪が、あなたを殺す。

・命を絶った青年が残したという一冊の句集。元教師の俳人・作田慮男は教え子の依頼で一つ一つの句を解釈していくのだが、やがて、そこに隠された恐るべき秘密が浮かび上がっていく。(「皐月闇」)
・巨大な遊廓で、奇妙な花魁たちと遊ぶ夢を見る男、木下美武。高名な修験者によれば、その夢に隠された謎を解かなければ命が危ないという。そして、夢の中の遊廓の様子もだんだんとおどろおどろしくなっていき……。(「ぼくとう奇譚」)
・朝、起床した杉平進也が目にしたのは、広い庭を埋め尽くす色とりどりの見知らぬキノコだった。輪を描き群生するキノコは、刈り取っても次の日には再生し、杉平家を埋め尽くしていく。キノコの生え方にある規則性を見いだした杉平は、この事態に何者かの意図を感じ取るのだが……。(「くさびら」)

想像を絶する恐怖と緻密な謎解きが読者を圧倒する三編を収録した、貴志祐介真骨頂の中編集。

半端なく面白い幻想ミステリ短編集。貴志作品の短編集の中ではブッチギリの完成度を誇っており、貴志祐介ファンなら楽しめること間違いなし。

どの短編も抜群に最高なのだが、特に最後の短編「くさびら」があまりにも至高すぎる。キノコに関する蘊蓄もさることながら、ホラーの中にしっとりとした優しさもあって、貴志作品としては異例の泣ける作品に仕上がっている。

 

8位 硝子のハンマー

エレベータに暗証番号、廊下に監視カメラ、隣室に役員。厳戒なセキュリティ網を破り、社長は撲殺された。凶器は。殺害方法は。弁護士純子は、逮捕された専務の無実を信じ、防犯コンサルタント榎本の元を訪れるが--

見えない殺人者の、底知れぬ悪意。異能の防犯探偵が挑む、究極の密室トリック!「青の炎」から4年半、著者初の本格ミステリ
日曜の昼下がり、株式上場を目前に、出社を余儀なくされた介護会社の役員たち。エレベーターには暗証番号。廊下には監視カメラ、有人のフロア。厳重なセキュリティ網を破り、自室で社長は撲殺された。凶器は。殺害方法は。すべてが不明のまま、逮捕されたのは、続き扉の向こうで仮眠をとっていた専務・久永だった。青砥純子は、弁護を担当することになった久永の無実を信じ、密室の謎を解くべく、防犯コンサルタント榎本径の許を訪れるが―。

防犯探偵シリーズ1作目にして、シリーズ唯一の長編小説。推協賞受賞作なだけあって、本格ミステリとして異常な完成度を誇る本作であるが、それに加えて社会派の側面も併せ持っており、そこらの凡庸なミステリ小説を置き去りにした最強の娯楽推理小説となっている。

ストーリーがあまりにも重厚で面白すぎるため、僕のような本格ミステリが苦手な人でも全く問題ない。読んだこと無い人は、変にネタバレに触れる前にさっさと読んでしまうことを強くおススメする。

 

7位 黒い家

顧客の家に呼ばれ、子供の首吊り死体の発見者になってしまった保険会社社員・若槻は、顧客の不審な態度から独自の調査を始める。それが悪夢の始まりだった。第4回日本ホラー小説大賞受賞。

もう今更語ることも憚られるほど有名な超大傑作ホラー小説。第4回日本ホラー小説大賞受賞作にして、最も怖いホラー小説として多くの人が推している作品。

この作品の優れている部分は、現実で遭遇し得るレベルの狂人の怖さを克明に描いていることである。黒い家に到着したあたりからの怒涛の狂気の畳みかけに、冷や汗が止まらなくなること間違いなし。

もう人怖系ホラーで本作以上の作品が出てくることはまずないと思う。それほどまでに完成されつくした至極の一冊。マジで怖いので、ホラーが苦手な人にはオススメできない。

 

6位 ダークゾーン

「戦え。戦い続けろ」将棋プロ棋士の卵・塚田は、赤い異形の戦士と化した十七人の仲間と共に、闇の中で目覚めた。謎の廃墟を舞台に開始された青い軍団との闘い。敵として生き返る「駒」、戦果に応じた強力化など、奇妙なルールのもと、現実世界との繋がりが見えぬまま続く七番勝負。それは、まるで異次元の将棋だった。頭脳戦、心理戦、そして奇襲戦。コンクリートの要塞“軍艦島"で繰り広げられる地獄のバトル。これは神の仕掛けか、悪魔の所業か。エンターテインメント界の鬼才が、圧巻の世界観で贈る最強長編!

頭脳バトル系エンタメの最高到達点。将棋やチェスを始めとしたシミュレーションゲームが好きなら、絶対に読むべき超絶大傑作である。

本作には取って付けたような物語が一応存在しているのだが、正直言ってその部分はどうでもよい。本作の魅力は、頭から火が出そうなほど白熱する命懸けのボードゲームにある。

これまでの恋人や友人を駒として行うボードゲームをひたすら繰り返すだけなのに、ここまで激熱な展開に持っていけるのは、貴志先生の驚異的な筆力があってこそ。軍艦島が舞台というのも、中二心をくすぐられて最高である。

 

5位 クリムゾンの迷宮

藤木はこの世のものとは思えない異様な光景のなかで目覚めた。視界一面を覆う、深紅色の奇岩の連なり。ここはどこだ?傍ら携帯用ゲーム機が、メッセージを映し出す。「火星の迷宮へようこそ。ゲームは開始された」

面白い。アホほど面白い。もう本当にマジで面白い。デスゲーム系作品の頂点に君臨する超絶大傑作。25年前の作品とは思えないほどの完成度を誇っており、一度読み始めたが最後、もうページを捲る手を止めることは不可能である。

少々グロいため人を選ぶかもしれないが、無理してでも読む価値はある。だって、とんでもなく面白いんだから。面白いは正義なのだ。さぁ読め。今すぐ読め。

 

4位 悪の教典

とびきり有能な教師がサイコパスだったとしたら、その凶行は誰が止められるのか――ピカレスクの輝きを秘めた戦慄のサイコ・ホラー

愛すべきサイコパス:ハスミンが大暴れする殺戮スプラッタサスペンス作品。幼気な中学1年生だった僕の読書癖をぶち壊し、読書沼へと叩き込んだ元凶である。

上下巻に分かれている大長編であり、じんわりと恐怖を与えてくる上巻と、ジャンプの打ち切り漫画を思わせるほどの急展開を迎える下巻のバランスが最高すぎる。"先生が生徒を殺す"というだけでタブーなのに、クラスの生徒全員皆殺しとかいうイカれた展開に、スタンディングオベーション間違いなしである。

映画もパンチがあって面白いが、ハスミンの内面をしっかりと描いている小説版が一番好き。映画を観たことがある人も、改めて小説版を手に取ってみてほしい。

 

3位 青の炎

秀一は湘南の高校に通う17歳。女手一つで家計を担う母と素直で明るい妹の三人暮らし。その平和な生活を乱す闖入者がいた。警察も法律も及ばず話し合いも成立しない相手を秀一は自ら殺害することを決意する。

犯人視点から描かれる倒叙ミステリにして、痛々しさと切なさを併せ持った青春クライム小説。貴志作品としては珍しく万人受けする内容なので、読書初心者にも笑顔でおススメできる超絶大傑作。

切なくも儚い骨太ストーリーが面白いのはもちろんのこと、高校生である主人公が入り浸っていた秘密基地ガレージが、読了当時中学2年生だった僕の中二心にぶっ刺さり、そのシーンだけ擦り切れるくらい読んだ覚えがある。いつの時代も秘密基地は男のロマンである。

 

2位 天使の囀り

北島早苗は、ホスピスで終末期医療に携わる精神科医
恋人で作家の高梨は、病的な死恐怖症だったが、新聞社主催のアマゾン調査隊に参加してからは、人格が異様な変容を見せ、あれほど怖れていた『死』に魅せられたように、自殺してしまう。
さらに、調査隊の他のメンバーも、次々と異常な方法で自殺を遂げていることがわかる。
アマゾンで、いったい何が起きたのか?高梨が死の直前に残した「天使の囀りが聞こえる」という言葉は、何を意味するのか?
前人未到の恐怖が、あなたを襲う。

バイオホラーの最高到達点にして、思わず吐きそうになるほどのエグイ描写が連発される、有害図書スレスレの特級呪物本。良い意味で、絶対に映像化してほしくない不快小説。

タイトル、設定、描写力、オチ、全てが至高で最高の超絶大傑作なので、全人類に読んでほしいと心の底から思っているのだが…。半端なくグロくて人を選ぶことも重々承知しているので、無理強いはできない。囀りハラスメントで訴えられたりしたら、たまったもんじゃない。グロ耐性に自信がある人は必ず読むべし。

 

1位 新世界より

ここは汚れなき理想郷のはずだった。
1000年後の日本。伝説。消える子供たち。
著者頂点をきわめる、3年半ぶり書き下ろし長編小説!

子供たちは、大人になるために「呪力」を手に入れなければならない。一見のどかに見える学校で、子供たちは徹底的に管理されていた。
いつわりの共同体が隠しているものとは――。何も知らず育った子供たちに、悪夢が襲いかかる!

宇宙一面白い小説。長い?分厚い?読み切れるか不安?御託はええからはよ読めや。そんな不安など杞憂であったことを実感すること間違いなしである。

僕はこれまで15年ほど読書を続けているが、いまだに本作を超えるほどの快感を味わえる作品に出会えていない。それほどまでに大傑作であり、僕が貴志祐介先生を信仰する理由の全てである。

中学生の頃の僕は、本作が小説界の頂点に君臨すべき作品だと信じてやまない過激派だったため、候補作にすら選ばなかった直木賞と、6位などという中途半端な順位に沈めた本屋大賞のことが許せず、読書仲間内でキレ散らかしていた。その怒りの程度はどれほどかと言えば、大賞受賞作の不買運動をクラスで呼び掛けるほどであった。完全に黒歴史である。(ちなみにその年の大賞受賞作は、湊かなえ先生の『告白』だったはず)

大人しい少年だった僕の性格を捻じ曲げるほどの強大なパワーを持つ作品なので、皆さんも是非そのパワーの前に打ちひしがれて欲しい。

 

どれから読んでも面白い

こうしてつらつらと感想を書き連ねてきたが、結局のところ貴志祐介先生は大傑作しか生みださないので、言ってしまえばどれから読んでも間違いなく面白いのである。

ただ、作風の幅が広いため、人によって好き嫌いが分かれる作品があることも事実。何から読んだら良いのか分からないという人のために、本ブログ記事が少しでも助けになれば幸いである。

 

2025年1月 読書記録&おススメ本まとめ

どうも、ゆかりごはんです。

今月の読了本は25冊(初読本24+再読本1冊)でした。いや、多いな。自分でもちょっと引いてます。でも、僕の住んでいる地域ではドカ雪が降り続いているので、家に引きこもって読書するぐらいしかやることがないんですよね~。ウィンタースポーツの練習でもしようかな。

読んだ本は以下の通りです。特に面白かった作品に関しては、簡単な感想も書いてます。本選びの参考にでもしていただけると幸いです。

 

評価★★★★★

保健室登校/矢部嵩

評価★★★★☆

魔眼の匣の殺人/今村昌弘

阿修羅ガール/舞城王太郎

SICK/澱介エイド

殺人依存症/櫛木理宇

残酷依存症/櫛木理宇

密室殺人ゲーム王手飛車取り/歌野晶午

恋する寄生虫/三秋縋

なめらかな世界と、その敵/伴名練

堕天使拷問刑/飛鳥部勝則

小説/野﨑まど

ずうのめ人形/澤村伊智

万事快調〈オール・グリーンズ〉/波木銅

評価★★★☆☆

監禁依存症/櫛木理宇

天久鷹央の推理カルテ/知念実希人

今日はいぬの日/倉狩聡

探偵AIのリアル・ディープラーニング/早坂吝

眼球堂の殺人 -The Book-/周木律

クラスで浮いてる宇良々川さん/四季大雅

おやすみ人面瘡/白井智之

評価★★☆☆☆

ほうかごがかり/甲田学人

無限大ガール/森絵都

なんで死体がスタジオに!?/森バジル

忌録:documentX/阿澄思惟

評価★☆☆☆☆

カフネ/阿部暁子

 

保健室登校/矢部嵩

転入生の彼女は、非常な疎外感を味わっていた。級友は間近に迫った旅行の話でもちきりなのだ。だが、待ちに待った出発の日、転入生が見た恐るべき光景とは? 普通の学校生活が恐るべき異世界へと変わる瞬間を描く。

評価:★★★★★

今月断トツNo.1の大傑作。「血まみれ運動会」「殺人合唱コン(練習)」といった、矢部嵩先生特有のおふざけアクセル全開で、目次の時点でワクワクが止まらなかった。そして、舞台となる中学校の名前が「人殺し中学校」とかいうクソふざけた名前であることが判明した瞬間、僕はこの読書体験が素晴らしいものになることを確信した。

とにかく登場人物が全員バグり散らかしていて、最高に不条理で唐突でグロデスク。冗談抜きで、常に誰かしらゲボ吐いてるし。テレコムさんとかいうキラキラネームの枠に収まらない名前の奴も出てくるし。訳がわからん。そんな無茶苦茶やる作風の癖に、たま~にハッとさせられる深いセリフが飛び出してくるのがズルい。絶対に人に薦められないけれど、最高に最低で最強に面白い超絶大傑作でした。新刊早く出てくれ―!

 

ずうのめ人形/澤村伊智

オカルト雑誌で働く藤間が受け取った、とある原稿。読み進めていくと、作中に登場する人形が現実にも現れるようになり……。迫りくる死を防ぐために、呪いの原稿の謎を解け。新鋭が放つ最恐ミステリ!

評価:★★★★☆

超大人気ホラーシリーズ:比嘉姉妹シリーズの2作目。呪いが理不尽なのはもちろんのこと、呪いを振りまく人間の醜悪さも際立っており、完成度が高いホラー作品だったので大満足!

前作と比べて、ホラー要素は若干下回っていたが、都市伝説を解明するミステリ要素が興味深く、物語として純粋に面白かった。オチに関しては、笑ったらダメなんだろうけど爆笑した。人形ちゃん、とんでもないことやらかし過ぎだろw

 

魔眼の匣の殺人/今村昌弘

その日、神紅大学ミステリ愛好会の葉村譲と剣崎比留子を含む九人が、人里離れた班目機関の元研究施設“魔眼の匣”を訪れた。その主であり、予言者として恐れられている老女は、来訪者に「あと二日のうちに、この地で四人死ぬ」と告げた。施設と外界を結ぶ唯一の橋が燃え落ちた後、予言が成就するがごとく一人が死に、閉じ込められた葉村たちを混乱と恐怖が襲う。さらに客の一人である女子高生も予知能力を持つと告白し――。残り48時間、二人の予言に支配された匣のなかで、葉村と比留子は生き残って謎を解き明かせるか?! ミステリ界を席捲した『屍人荘の殺人』シリーズ第2弾。

評価:★★★★☆

お見事としか言いようのない傑作本格ミステリ。超能力がある前提で紡がれる緻密で論理的なトリックは素晴らしいし、物語の構成も完璧。最後に全てが繋がった瞬間、身体が震え、脳が快楽物質に溺れる感覚が襲ってきた。いやぁ、ヤバすぎるよこの作品。

個人的には、前作『屍人荘の殺人』の時よりも剣崎さんに人間味が出ていて、感情移入しやすいのもgood。最初の方とか、完全にギャグキャラですよね?続きもすでに購入済み。読むのが楽しみ!

 

小説/野﨑まど

五歳で読んだ『走れメロス』をきっかけに、内海集司の人生は小説にささげられることになった。
一二歳になると、内海集司は小説の魅力を共有できる生涯の友・外崎真と出会い、二人は小説家が住んでいるというモジャ屋敷に潜り込む。
そこでは好きなだけ本を読んでいても怒られることはなく、小説家・髭先生は二人の小説世界をさらに豊かにしていく。
しかし、その屋敷にはある秘密があった。


読むだけじゃ駄目なのか。
それでも小説を読む。
小説を読む。
読む。
宇宙のすべてが小説に集まる。

評価:★★★★☆

天才作家・野﨑まどが、「小説とは何か」という問いに小説という形で挑んだ哲学的SF小説。相変わらず尖った内容ではあるんだけど、内包するメッセージは凄くシンプル。「なぜ小説を読むのか」野﨑まどが論理を突き詰めて求め出した、小説愛好家たちを全肯定してくれる答えに感動が止まらなかった。最後の1行が大好き。

 

殺人依存症/櫛木理宇

息子を六年前に亡くした捜査一課の浦杉は、その現実から逃れるように刑事の仕事にのめり込む。そんな折、連続殺人事件が勃発。捜査線上に、実行犯の男達を陰で操る一人の女の存在が浮かび上がる。彼女は一体何者なのか――。息をするように罪を重ねる女と、最愛の家族を失い死んだように生きる刑事。二人が対峙した時、衝撃の真実が明らかになる。

評価:★★★★☆

ただひたすらに胸糞悪い小説。タイトルのインパクトに反してグロさは控え目なんだけれども、被害者が全員子供であり、かつ死体の凄惨な描写も淡々と記述されるので、子供好きな方は絶対に読んではいけない。最後のオチとか、やるせなさ過ぎて溜息が出た。気分が落ち込むこと間違いなし。

今のところ、『残酷依存症』『監禁依存症』とシリーズが続いており、当然のように全て胸糞なので、耐性のない方は注意。ただ、そういうのが大丈夫な方は読んで損しない名作だと思うので、是非手に取ってみてはいかがでしょうか。

 

阿修羅ガール/舞城王太郎

アイコは金田陽治への想いを抱えて少女的(ガーリッシュ)に悩んでいた。その間に街はカオスの大車輪! グルグル魔人は暴走してるし、同級生は誘拐されてるし、子供たちはアルマゲドンを始めてるし。世界は、そして私の恋はどうなっちゃうんだろう? 東京と魔界を彷徨いながら、アイコが見つけたものとは――。三島由紀夫賞受賞作。

評価:★★★★☆

目から摂取する劇薬。本作を読むだけで、簡単にオーバードーズする感覚が味わえる。思春期特有の不安定な感情を全身で浴びるような作風であり、リズム感のみを重視した意味のない文章の羅列はもはやアートの域。読書という行為に高尚な価値を求める人が手に取ったが最後、発狂して地面をのたうち回り、本作をゴミ箱にダンクシュートしてしまうこと間違いなし。本作に三島由紀夫賞を与えた審査員たちよ、よくぞやってくれた。

 

万事快調〈オール・グリーンズ〉/波木銅

主人公は北関東の“クソ田舎”の工業高校に通う朴秀美。
地元の閉塞感や機能不全を起こした家族に絶望し、
ヒップホップとSF小説を心の逃げ場としていた彼女は、
ある出来事を機に〈大麻の種〉を入手する。
これがあれば今の状況から逃げ出せるかもしれない――。
そう考えた朴は似たような境遇のクラスメイトたちと、
学校の屋上で大麻を育て売り捌く計画を始める。
はじめは順調に思えた彼女たちの“ビジネス”だが、
危険は静かに迫り――。

若さの衝動とセンス溢れるユーモアが炸裂する、
青春小説の新たなマスターピース爆誕!

評価:★★★★☆

退屈な田舎暮らしの日常を破壊するべく、捻くれたJK3人が学校の屋上で大麻を栽培する青春犯罪小説。なぜなのかはわからないけれど、読んでいて元気になれる作品。犯罪に手を染めている時点で、行きつく先は絶望しか無いのだが、JKたちの「まぁ、なんとかなるっしょ」マインドが爽快で、ウジウジと小さなことに悩んでいる自分が馬鹿らしく思えた。取り扱っている題材が尖っているためかなり人を選ぶが、刺さる人にはぶっ刺さる名作です。

 

堕天使拷問刑/飛鳥部勝則

中学生のタクマを待ち受けていたのは、魔術崇拝者の祖父の密室死、ある一族の女三人の斬首、「月へ行きたい」と呟く謎の少女……

評価:★★★★☆

ジャンル不明の極太(物理)小説。900ページを超えるボリュームと装丁の美しさにより、Xではかなり話題になっていた作品で、僕も興味があったので手に取ってみた。その実、あらゆるジャンルが詰め込まれておりカロリー激高で、まるでおかずが肉だらけの幕の内弁当みたいな小説だった。本来ならば箸休めの野菜やお新香が欲しくなるが、肉の味が上手すぎるが故に、最後まで楽しんで完食できた。カルト的人気が出るのも納得の名作です。

 

今月は以上。来月もよろしく。

 

2024年 最高の小説ランキングbest50(初読本のみ)

どうも、ゆかりごはんです。

2024年の読了本はちょうど200冊。その中で、個人的に面白かった初読本を50冊ほど紹介したいと思います。年末の暇つぶしにでも読んでいただけたら幸いです。

 

50位 ハサミ男/殊能将之

美少女を殺害し、研ぎあげたハサミを首に突き立てる猟奇殺人犯「ハサミ男」。3番目の犠牲者を決め、綿密に調べ上げるが、自分の手口を真似て殺された彼女の死体を発見する羽目に陥る。自分以外の人間に、何故彼女を殺す必要があるのか。「ハサミ男」は調査をはじめる。精緻にして大胆な長編ミステリの傑作! 【2005年公開映画「ハサミ男」原作】(講談社文庫)

連続美少女殺人鬼、通称・ハサミ男の正体は
鋭利に磨かれたハサミを死体の首につきたてる殺人鬼。通称・ハサミ男がねらった美少女が殺された。しかも、ハサミ男の手口で――。圧倒的知力に満ちた傑作長編。

 

日本中を震撼させた伝説のミステリ長編作品が50位にランクイン。間違いなく傑作ではあるのだが、今年の読了作品はかなりレベルが高かったため、50位という結果に。

「どんでん返し」が凄い作品と聞いていたので、全てを疑いながら読み進めていたのだが、見事にひっくり返された。いやぁ、やられたなぁ。可能な限り情報を入れずに読んでほしい傑作ミステリ

 

49位 手作り雑貨ゆうつづ堂/植原翠

祖母が大切にしていた鉱物の本に触れると――パワーストーンに宿る精霊が見えるように!?

「一瞬で私の心を晴れやかにしてくれるおばあちゃんはきっと、魔法使いだ!」

小さい頃から祖母が営む手作り雑貨店が好きで、いつか祖母のように想いのこもった雑貨を作ってみたいと思っていた詩乃。
念願叶って大手雑貨メーカーの商品開発部に就職した。
しかし、とある事情で会社を辞めることにした彼女は、気分転換のために自身の原点である祖母のお店『手作り雑貨 ゆうつづ堂』に行くことにした。
そこで、祖母が大切にしていた鉱物の本をレジカウンターで見つけてページをめくると――パワーストーンに宿る精霊が見えるように!?
想いのこもったパワーストーンには精霊が宿り、“小さな一歩を後押ししてくれる”。

パートナーになった白水晶の精霊・フクと共に、祖母の大事なお店を守っていくあたたかな物語

 

仕事を辞めて祖母の雑貨屋を切り盛りする女性が、お客様や天然石の精霊たちと触れ合うことで成長していく、ハートフルストーリー。とにかく精霊たちがキュートでチャーミング。読んでいるだけで、汚れ切った心が洗われていく感覚が味わえる

仕事で疲れた人、心が荒み切った人、何か嫌なことがあって落ち込んでいる人、そんな人こそ手に取ってみてほしい。文句なしの名作です。おススメ。

 

48位 アガシラと黒塗りの村/小寺無人

「裏山の神社で見つかった古文書を解読してくれ」
親友から依頼を受け出向いた先は、巨人伝説の残る奇妙な村だった…


古文書オタクの黒木鉄生は、大学時代の親友・八重垣志紀に頼まれ、村で発見された「沼神文書」と呼ばれる古文書を解読するために巨人伝説が残る農村を訪れた。村に到着したその夜、セイタカ様と呼ばれる巨大な地蔵の前で、議会議員の息子・島田光男が殺害された。さらに2日後には、こしかけ山と呼ばれる場所で八重垣の義妹・咲良の幼馴染が首を吊った状態で見つかる。
「沼神文書」の解読作業を進める黒木は、村と村人の秘密、2人の死の真相に迫ることになり…。第2回黒猫ミステリー賞受賞! 一気読み必至の民俗伝承ミステリー。

 

黒猫ミステリー賞を受賞した傑作民俗学ミステリ小説が48位にランクイン。デビュー作とは思えない完成度を誇り、民俗学ミステリの入り口としておススメしたい、文句なしの傑作。

理性では理解し難い風習にゾワゾワとした違和感、まさに民俗学ミステリでしか味わえない感覚。あぁ、たまらない。コーラを片手に本作を読むことを強くおススメします

 

47位 黒牢城/米澤穂信

祝 第166回直木賞受賞!

本能寺の変より四年前、天正六年の冬。織田信長に叛旗を翻して有岡城に立て籠った荒木村重は、城内で起きる難事件に翻弄される。動揺する人心を落ち着かせるため、村重は、土牢の囚人にして織田方の智将・黒田官兵衛に謎を解くよう求めた。事件の裏には何が潜むのか。戦と推理の果てに村重は、官兵衛は何を企む。デビュー20周年の集大成。『満願』『王とサーカス』の著者が辿り着いた、ミステリの精髄と歴史小説の王道。

 

あの天才ミステリ作家・米澤穂信先生が描く時代劇ミステリ小説が面白くない訳がない。時代小説を読むのは本作が初めてだったのだが、とにかくストーリーが面白すぎて、古風な文体も全く苦にならないまま一気読みしてしまった

今年は米澤穂信先生の作品を多く読了したため、この後のランキングで何度も「米澤穂信」の名前が登場するのだが、どうか勘弁願いたい。だって、この先生が書いた小説って超面白いんだもん…。仕方ないよ。

 

46位 でぃすぺる/今村昌弘

『屍人荘の殺人』の著者が仕掛ける
ジュブナイル×オカルト×本格ミステリ

小学校最後の夏休みが終わった。小学校卒業まであと半年。
ユースケは、自分のオカルト趣味を壁新聞作りに注ぎ込むため、“掲示係”に立候補する。この地味で面倒だと思われている掲示係の人気は低い。これで思う存分怖い話を壁新聞に書ける!……はずだったが、なぜか学級委員長をやると思われたサツキも立候補する。

優等生のサツキが掲示係を選んだ理由は、去年亡くなった従姉のマリ姉にあった。
マリ姉は一年前の奥神祭りの前日、グラウンドの真ん中で死んでいた。現場に凶器はなく、うっすらと積もった雪には第一発見者以外の足跡は残されていなかった。犯人はまだ捕まっていない。

捜査が進展しない中、サツキはマリ姉の遺品のパソコンの中に『奥郷町の七不思議』のファイルを見つける。それは一見地元に伝わる怪談話を集めたもののようだったが、どれも微妙に変更が加えられている。しかも、『七不思議』のはずなのに六つしかない。

マリ姉がわざわざ『七不思議』を残したからには、そこに意味があるはず。
そう思ったサツキは掲示係になり『七不思議』の謎を解こうとする。ユースケはオカルト好きの観点から謎を推理するが、サツキはあくまで現実的にマリ姉の意図を察しようとする。その二人の推理を聞いて、三人目の掲示係であるミナが冷静にジャッジを下す……。

死の謎は『奥郷町の七不思議』に隠されているのか? 三人の“掲示係”が挑む小学校生活最後の謎。
こんな小学6年生でありたかった、という思いを掻き立てる傑作推理長編の誕生です。

 

小学生であるが故の行動制限がある中で、マリ姉の死の謎を明らかにすべく事件の闇に切り込んでいく3人組にハラハラドキドキさせられた作品。『七不思議』を解き明かしていく過程も楽しめたし、予想の裏の裏をかいた結末も見事。

僕はあまり本格系のミステリ作品が得意ではないのだけれど、今村昌弘先生のミステリ作品は何故か楽しんで読めてしまう。不思議だ…。

 

45位 滅びの園/恒川光太郎

ある日、上空に現れた異次元の存在、<未知なるもの>。
それに呼応して、白く有害な不定形生物<プーニー>が出現、無尽蔵に増殖して地球を呑み込もうとする。
少女、相川聖子は、着実に滅亡へと近づく世界を見つめながら、特異体質を活かして人命救助を続けていた。
だが、最大規模の危機に直面し、人々を救うため、最後の賭けに出ることを決意する。
世界の終わりを巡り、いくつもの思いが交錯する。壮大で美しい幻想群像劇。

 

最高に面白い伝説級のSF群像劇小説。単巻で読みやすいにもかかわらず、内容はかなりハードなSFであり、極太なプロットを簡潔にまとめ切った恒川先生の手腕には惚れ惚れするばかりである。

恒川光太郎先生といえば、日本ホラー小説大賞受賞作である『夜市』が最も有名で人気だとは思うのだが、個人的には本作のような異世界SF作品の方が好み。SF初心者にもおススメ。

 

44位 ひゃっか!全国高校生花いけバトル/今村翔吾

かるた、書道、なぎなた、次は……生け花!
花を愛する女子高生・春乃と大衆演劇の花形・山城貴音のコンビが頂点を狙う!
シリーズ累計30万部突破「羽州ぼろ鳶組」で大注目の著者が贈る青春ドラマ!

都内に住む普通の高校二年生、大塚春乃。彼女は昨年の「全国高校生 花いけバトル」決勝を見て以降、この大会に出ることが目標になっていた。香川に住む花屋だった祖母を喜ばせたい一心で始めた生け花だったが、祖母の地元で行われるこの大会で活躍する姿を見せられれば、大好きだった祖父が亡くなり落ち込む祖母を元気づけられると思ったのだ。
しかし、高校生にとってはマイナーで敷居の高い「生け花」をやってくれる友人はなかなかおらず、二人一組での出場が義務付けられているため、春乃はそこから躓いてしまう。そんな中、参加者を捜していた春乃の前に現れた転校生・山城貴音。父が大衆演劇の座長だという彼は、その修業で華道を習っており、春乃が勉強を教える代わりに大会に出てくれるというのだが……。
高校生たちの花にかける純粋な思いがきらめく、極上の青春小説。

 

近頃、『イクサガミ』シリーズで大注目されている直木賞作家・今村翔吾による、熱血青春生け花ストーリー。花の描写が丁寧で美しく、文章から美麗な生け花作品が次々と飛び出してくる。

もちろん、青春物語としても至高の完成度を誇っており、日本一を目指す男女コンビの熱意と成長と愛情に心が震える極上のエンタメ小説。万人におススメできる傑作。読んでない方は是非手に取ってみてほしい。

 

43位 成瀬は天下を取りにいく(成瀬シリーズ)/宮島未奈

2020年、中2の夏休みの始まりに、幼馴染の成瀬がまた変なことを言い出した。
コロナ禍に閉店を控える西武大津店に毎日通い、中継に映るというのだが……。
M-1に挑戦したかと思えば、自身の髪で長期実験に取り組み、市民憲章は暗記して全うする。
今日も全力で我が道を突き進む成瀬あかりから、きっと誰もが目を離せない。
2023年、最注目の新人が贈る傑作青春小説!

 

今更紹介するのも憚られるほどの大ヒット小説。本屋大賞を見事受賞し、文字通り天下を取った成瀬シリーズが43位にランクイン。

世間では、成瀬の変人的な魅力にスポットが浴びせられがちだが、個人的には島崎が本シリーズのMVPだと思っている。2作目『成瀬は信じた道をいく』もめちゃくちゃ面白いので、1作目しか読んでいない方は2作目も読むべし

 

42位 私のクラスの生徒が、一晩で24人死にました。/日向奈くらら

教室で起こる猟奇殺人。五感を恐怖で震わせる衝撃のホラーサスペンス登場!

二年C組の問題の多さには、呆れますね――教頭の言葉が突き刺さる。また私のクラスの生徒が行方不明になった。これでもう四人だ。私はその失踪にあの子が関係しているのではないかと恐れている。宮田知江。ある時から急に暗い目をするようになった女生徒だ。私は彼女の目が恐い。でもそんなことは、これから始まる惨劇に比べれば些細なこと。なぜなら私は、夜の教室で生徒24人が死ぬ光景を目にすることになるのだから……。
イチゴミルク好きという著者が描く、一通のメールから始まる死の連鎖。
「リング」「らせん」の鈴木光司氏推薦――「この恐ろしさは、ねっとりしている 鈴木光司
新しいホラーサスペンス「嫌ホラー」誕生。

 

タイトルに偽りなし。マジでいきなり生徒が24人死ぬところから始まる、超絶イカれたホラーサスペンス小説。先に言っておくが、万人受けは絶対にしない。

正直言って真相はかなり無理があり、矛盾も多々見受けられるため、好き嫌い別れる迷作ではあるのだろうが、疾走感のあるグロ描写が大好きな僕にとってはたまらない作品だった。

 

41位 この素晴らしき世界/東野幸治

真面目でど天然な愛すべき西川きよし師匠。ダウンタウン浜田さんに耳たぶをいじられるほんこんさん。何もかもが用意周到、嫉妬が原動力の山里亮太君。本気で客にキレてるのになぜか許されるメッセンジャー黒田君。突然渡米、スケールのでかいバカっぷりで突き進むピース綾部君。「水曜日のダウンタウン」で話題の還暦バイト芸人リットン調査団。常にどこかふざけてる女・ガンバレルーヤよしこホノルルマラソンで驚異的なリタイアをしたトミーズ健さん。やることすべて無茶苦茶、乱だらけの極楽とんぼ加藤
……吉本歴30年超の「日本一心のない司会者」が、底知れぬ芸人愛と悪い笑顔で、吉本(と元吉本)芸人31人をいじり倒す!

 

下劣で腹黒な芸人:東野幸治の視点から芸人の生き様をまとめた、抱腹絶倒必至の最強娯楽エッセイ。関西育ちで芸人好きな僕の感性にぶっ刺さる超絶爆笑本。

芸人という皮を被った異常者たちが織り成すイカれたエピソードの数々に、僕の腹筋はなすすべもなく崩れさった。とにかく笑いたい人におススメ

 

40位 硝子の塔の殺人/知念実希人

雪深き森で、燦然と輝く、硝子の塔。
地上11階、地下1階、唯一無二の美しく巨大な尖塔だ。
ミステリを愛する大富豪の呼びかけで、
刑事、霊能力者、小説家、料理人など、
一癖も二癖もあるゲストたちが招かれた。
この館で次々と惨劇が起こる。
館の主人が毒殺され、
ダイニングでは火事が起き血塗れの遺体が。
さらに、血文字で記された十三年前の事件……。
謎を追うのは名探偵・碧月夜と医師・一条遊馬。
散りばめられた伏線、読者への挑戦状、
圧倒的リーダビリティ、そして、驚愕のラスト。
著者初の本格ミステリ長編、大本命!

 

完成度が異次元の本格ミステリ小説。ミステリ好きのミステリ好きによるミステリ好きのための小説であり、隙あらば超有名ミステリ作品の小ネタが挟まってくる。

トリックは自力で解けたため、「こんなもんかぁ」と思っていたら、最後で見事にひっくり返され驚愕。本格ミステリが苦手な僕でも超絶楽しめたので、普段ミステリ小説を読まない人にもおススメしたい。文句なしの傑作。

 

39位 ヨモツイクサ/知念実希人

「黄泉の森には絶対に入ってはならない」
人なのか、ヒグマなのか、禁域の森には未知なる生物がいる。
究極の遺伝子を持ち、生命を喰い尽くすその名は――ヨモツイクサ。

北海道旭川に《黄泉の森》と呼ばれ、アイヌの人々が怖れてきた禁域があった。
その禁域を大手ホテル会社が開発しようとするのだが、作業員が行方不明になってしまう。
現場には《何か》に蹂躙された痕跡だけが残されてた。
そして、作業員は死ぬ前に神秘的な蒼い光を見たという。

地元の道央大病院に勤める外科医・佐原茜の実家は黄泉の森のそばにあり、
7年前に家族が忽然と消える神隠し事件に遭っていて、今も家族を捜していた。
この2つの事件は繋がっているのか。もしかして、ヨモツイクサの仕業なのか……。

本屋大賞ノミネート『ムゲンのi』『硝子の塔の殺人』を超える衝撃
医療ミステリーのトップランナーが初めて挑むバイオ・ホラー!

 

知念先生の作品が連続でランクイン。北海道を舞台とした旋律のバイオホラー作品であり、グロい!怖い!キモイ!がぎゅうぎゅうに詰め込まれた大満足な一冊

構成も巧みで、ラスト付近のある1ページで脳が震えるほどの衝撃を受けた。これは天晴。グロ耐性があり、刺激に飢えている人に超おススメ。

 

38位 満願/米澤穂信

死にたい人たちのあいだで、随分評判らしいのよ。

磨かれた文体と冴えわたる技巧。この短篇集は、もはや完璧としか言いようがない――。驚異のミステリー3冠を制覇した名作。

「もういいんです」人を殺めた女は控訴を取り下げ、静かに刑に服したが……。鮮やかな幕切れに真の動機が浮上する表題作をはじめ、恋人との復縁を望む主人公が訪れる「死人宿」、美しき中学生姉妹による官能と戦慄の「柘榴」、ビジネスマンが最悪の状況に直面する息詰まる傑作「万灯」他、「夜警」「関守」の全六篇を収録。史上初めての三冠を達成したミステリー短篇集の金字塔。山本周五郎賞受賞。

はい出ました。米澤穂信作品の中でもかなり人気のある、最強で最高のミステリ短編集。もうね、これを読まずにミステリ短編は語れませんよ。マジで面白い。

ただ、個人的には『柘榴』という短編だけ少し苦手なので、総合順位としては38位となってしまった。女性同士のドロドロ話って、胸が苦しくなるからちょっと苦手なんですよね…。

 

37位 失はれる物語/乙一

乙一の里程標(マイルストーン)として屹然と立つ短篇集!

事故で全身不随となり、触覚以外の感覚を失った私。ピアニストである妻は私の腕を鍵盤代わりに「演奏」を続ける。絶望の果てに私が下した選択とは? 珠玉7作品に加え書き下ろしの「ウソカノ」を収録!

 

切なさの余韻を感じさせる短編集。すべての話において、決定的な何かが失われていく。とにかく切なくて、読んでいて苦しい。だけれども、読後感は決して悪くなく、心が何かで満たされた感覚が残る

短編とは思えないほどの満足感が得られる傑作短編集。乙一作品の入り口として、本作を強くおススメしたい。

 

36位 ZOO/乙一

何なんだこれは。

 

連続乙一作品。あらすじはなぜかコピペできなかったので、帯に書いてある書評から持ってきた。正直何を読まされているのか途中でわからなくなるのだが、とにかくめちゃくちゃ面白い

グロい話から笑える話、感動できる話からサイコパスによる奇行話まで、ありとあらゆるジャンルの短編が詰め込まれており、乙一先生の才能が余すことなく発揮されている傑作短編集。読まなきゃ損。

 

35位 かにみそ/倉狩聡

それは聡明で無垢で愛おしい、蟹。日本ホラー小説大賞優秀賞受賞の話題作!

全てに無気力な20代無職の「私」は、ある日海岸で小さな蟹を拾う。
それはなんと人の言葉を話し、小さな体で何でも食べる。
奇妙に楽しい暮らしの中、私は彼の食事代のため働き始めることに。
しかし私は、職場で出来た彼女を衝動的に殺してしまう。
そしてふと思いついた。
「蟹……食べるかな、これ」。
すると蟹は言った。
「じゃ、遠慮なく……」
捕食者と「餌」が逆転する時、生まれた恐怖と奇妙な友情とは。
話題をさらった「泣けるホラー」。

 

日本ホラー小説大賞優秀賞を受賞した中編ホラー小説。図書館で表紙を見かけて一目惚れした作品。

表紙はかわいらしいが、内容はかなりシリアスでグロテスク。だけれども、漂う雰囲気は切なくて物悲しく、ラストは少しホロリと来る。ホラーが苦手な人でも間違いなく楽しめる傑作ホラー

 

34位 冷蔵庫のように孤独に

14歳の時、ピアノを嫌っていた美咲が出逢ったのは、老齢の父と住むピアノの先生だった。彼女は、発想記号を理解する時は空き地に捨てられた冷蔵庫を思い浮かべればいいと不思議なことを言う。ピアノを好きになる美咲だが、先生には暗い過去があるようで……

 

1枚の冷蔵庫の写真から始まる、温かくも切ないヒューマンドラマミステリ。表紙も綺麗で美しく、部屋に飾りたくなる小説。

心理描写がとにかく繊細で、過去の自分を抱えながら、前に一歩踏み出そうとする主人公の姿に感動。冷蔵庫を軸としたミステリ要素も見事。自分らしく生きることの大切さを学べる作品であり、多くの人に手に取ってほしい大傑作。

 

33位 バスタブで暮らす/四季大雅

22歳女子、実家のバスタブで暮らし始める。

「人間は、テンションが高すぎる」ーー

磯原めだかは、人とはちょっと違う感性を持つ女の子。
ちいさく生まれてちいさく育ち、欲望らしい欲望もほとんどない。物欲がない、食欲がない、恋愛に興味がない、将来は何者にもなりたくない。できれば二十歳で死にたい……。

オナラばかりする父、二度のがんを克服した母、いたずら好きでクリエイティブな兄、ゆかいな家族に支えられて、それなりに楽しく暮らしてきたけれど、就職のために実家を離れると、事件は起こった。上司のパワハラに耐えかね、心を病み、たった一ヶ月で実家にとんぼ返りしてしまったのだ。

逃げ込むように、こころ落ち着くバスタブのなかで暮らし始めることに。マットレスを敷き、ぬいぐるみを梱包材みたいに詰め、パソコンや小型冷蔵庫、電気ケトルを持ち込み……。さらには防音設備や冷暖房が完備され、バスルームが快適空間へと変貌を遂げていく。

けれど、磯原家もずっとそのままというわけにはいかなくて……。

このライトノベルがすごい!2023」総合新作部門 第1位『わたしはあなたの涙になりたい』の【四季大雅×柳すえ】のコンビで贈る、笑って泣ける、新しい家族の物語。

 

タイトルも表紙も僕好みすぎるラノベ作品。上司のパワハラに心を壊された主人公が、実家のバスタブの中で暮らし始める物語。

自分らしく生きることの重要性、家族や友達の大切さを学べる温かい作品であり、現代社会に生きづらさを感じている人のもとにこそ届いてほしい小説。気になる方は、是非手に取ってみてほしい。

 

32位 恋に至る病/斜線堂有紀

僕の恋人は、自ら手を下さず150人以上を自殺へ導いた殺人犯でした――。

やがて150人以上の被害者を出し、日本中を震撼させる自殺教唆ゲーム『青い蝶』。
その主催者は誰からも好かれる女子高生・寄河景だった。
善良だったはずの彼女がいかにして化物へと姿を変えたのか――幼なじみの少年・宮嶺は、運命を狂わせた“最初の殺人”を回想し始める。
「世界が君を赦さなくても、僕だけは君の味方だから」
変わりゆく彼女に気づきながら、愛することをやめられなかった彼が辿り着く地獄とは?
斜線堂有紀が、暴走する愛と連鎖する悲劇を描く衝撃作!

 

自殺教祖サイトを運営する殺人鬼を彼女に持つ男の葛藤を描いた物語。題材としてはありがちではあるのだが、とにかく話の転がし方が上手で、読者の判断に委ねるラストも本作品においては最高と言わざるを得ない

実は本作が初斜線堂先生作品であり、これを機に他の作品も何冊か読んだのだが、本作が断トツで一番面白かった。やっぱりミステリアスでサイコパスな女性って良いよね…。

 

31位 〔少女庭国〕/矢部嵩

卒業式会場に向かっていた中3の羊歯子は――暗い部屋で目覚めた。隣に続くドアには貼り紙が。“下記の通り卒業試験を実施する。ドアの開けられた部屋の数をnとし死んだ卒業生の人数をmとする時、n-m=1とせよ”。ドアを開けると同じく寝ていた中3女子は無限に目覚め、中3女子は無限に増えてゆく……。

 

ここに来て、ようやく矢部嵩先生の作品がランクイン。超絶ド級の問題作を生み出し続ける唯一無二の天才作家が繰り出す、地獄を体現した最高で最低の超絶劇薬本

少女たちが生き延びるには、協力し合うしか道は残されていない。しかし、食料や道具は"少女"で補うしかない訳で…。文体も独特で読みづらく、暴力描写も最高にグロいが、読んでいる間は快楽物質がドパドパ出てくる不思議な作品。おススメは…できないかも笑

 

30位 夜は短し歩けよ乙女/森見登美彦

「黒髪の乙女」にひそかに想いを寄せる「先輩」は、京都のいたるところで彼女の姿を追い求めた。二人を待ち受ける珍事件の数々、そして運命の大転回とは? 山本周五郎賞受賞、本屋大賞2位の傑作、待望の文庫化!

 

偏屈でどうしようもない大学生を書かせたら右に出るものはいない天才作家・森見登美彦先生が織り成す、キュート?でポップ?な全力おバカ恋愛小説

訳の分からないキャラたちが、訳の分からない世界観で、訳の分からない行動を取る、訳の分からない作品であり、頭の中を訳のわからないエンタメ成分で満たしたいという欲求をお持ちの方に全力でおススメしたい作品。

 

29位 屍人荘の殺人/今村昌弘

神紅大学ミステリ愛好会会長であり『名探偵』の明智恭介とその助手、葉村譲は、同じ大学に通う探偵少女、剣崎比留子とともに曰くつきの映画研究部の夏合宿に参加することに。合宿初日の夜、彼らは想像だにしなかった事態に遭遇し、宿泊先の紫湛荘に立て籠りを余儀なくされる。全員が死ぬか生きるかの極限状況のもと、映研の一人が密室で惨殺死体となって発見されるが、それは連続殺人の幕開けに過ぎなかった。――たった一時間半で世界は一変した。究極の絶望の淵で、探偵たちは生き残り謎を解き明かせるのか?! 予測不可能な奇想と破格の謎解きが見事に融合する、第27回鮎川哲也賞受賞作。

 

『でぃすぺる』に続いて、2作目の今村昌弘作品がランクイン。今村昌弘作品の原点にして、最高にエンタメしている本格?ミステリ小説。

超絶危機的な状況で推理を披露しているシーンで笑ってしまうが、トリックや構成は見事としか言いようがない。有栖川有栖先生が絶賛したのも頷ける超傑作。できればネタバレなしで読んでほしいが…もう難しいだろうなぁ。

 

28位 かがみの孤城/辻村深月

学校での居場所をなくし、閉じこもっていた“こころ”の目の前で、ある日突然部屋の鏡が光り始めた。 輝く鏡をくぐり抜けた先にあったのは、城のような不思議な建物。 そこにはちょうど“こころ”と似た境遇の7人が集められていた―― なぜこの7人が、なぜこの場所に。 すべてが明らかになるとき、驚きとともに大きな感動に包まれる。 生きづらさを感じているすべての人に贈る物語。

 

もはや貫禄すら感じる名作家・辻村深月先生の代表作。面白すぎて、次の日は会社の会議で進捗報告義務があったにもかかわらず、徹夜で読み切らされてしまった罪深き傑作

ちなみに、本作はかなり世間の評価が高く、あたかも万人受けするかのように宣伝されてはいるが、その実かなり人を選ぶ作品であると僕は思っている。いじめにトラウマがある人は、途中で読むのが辛くなるかも…。

 

27位 誰が勇者を殺したか/駄犬

勇者は魔王を倒した。同時に――帰らぬ人となった。

 魔王が倒されてから四年。平穏を手にした王国は亡き勇者を称えるべく、数々の偉業を文献に編纂する事業を立ち上げる。
 かつて仲間だった騎士・レオン、僧侶・マリア、賢者ソロンから勇者の過去と冒険話を聞き進めていく中で、全員が勇者の死の真相について言葉を濁す。
「何故、勇者は死んだのか?」
 勇者を殺したのは魔王か、それとも仲間なのか。
 王国、冒険者たちの業と情が入り混じる群像劇から目が離せないファンタジーミステリ。

 

今年のラノベ界の顔と言っても良い傑作ライトノベル。旅の仲間の証言を基に、勇者の死の真相を暴いていく人情ミステリ作品。

人間不信の天才たちが、才能0だが超努力家な勇者にほだされて心を通わせていく過程に涙した。王道に弱いんだ、僕は…。ちなみに、後書きに書かれている作者の思いも激熱なので、是非最後まで読んでほしい。

 

26位 俺ではない炎上/浅倉秋成

外回り中の営業部長・山縣泰介に緊急の電話が入った。「とにかくすぐ戻れ!」どうやら泰介が「女子大生殺害犯」であるとされて、すでに実名、写真付きでネットに素性が晒され、大炎上しているらしい。
SNSで犯行を自慢していたそうだが、そのアカウントが誤認されてしまったようだ。誤解はすぐに解けるだろうと楽観視していた泰介だが、成りすましは実に巧妙で誰一人として無実を信じてくれない。会社も、友人も、家族でさえも……。
ほんの数時間にして日本中の人間が敵になり、誰も彼もに追いかけられる中、泰介は必死の逃亡を続ける。

 

今最も勢いのある作家・浅倉秋成先生が紡ぎだす、身に覚えのない殺人の犯人に仕立て上げられた男と、彼を取り巻く事件関係者たちが織り成す群像ミステリ作品。

テンポ/構成/キャラ/伏線、全てがハイレベルでエンタメ成分マシマシの超絶傑作。想像の遥か上を行く真相ではあるが、無理筋に思わせない作者の筆力に脱帽するしかない。

 

25位 六人の嘘つきな大学生/浅倉秋成

成長著しいIT企業「スピラリンクス」が初めて行う新卒採用。最終選考に残った六人の就活生に与えられた課題は、一カ月後までにチームを作り上げ、ディスカッションをするというものだった。全員で内定を得るため、波多野祥吾は五人の学生と交流を深めていくが、本番直前に課題の変更が通達される。それは、「六人の中から一人の内定者を決める」こと。仲間だったはずの六人は、ひとつの席を奪い合うライバルになった。内定を賭けた議論が進む中、六通の封筒が発見される。個人名が書かれた封筒を空けると「●●は人殺し」だという告発文が入っていた。彼ら六人の嘘と罪とは。そして「犯人」の目的とは――。

 

連続浅倉秋成。豪華キャストで実写映画化もしている傑作エンタメ就活ミステリ作品。多面的な人間を一面だけで判断してしまう、人間の愚かさを逆手に取った展開が特徴で、極上のエンタメ成分を摂取できる。

この先生が書く小説って、とにかくプロットが緻密で、ネタバレをくらわずに初見で読んだ時の衝撃が半端ないので、興味のある人はネタバレをくらう前に今すぐ読んでほしい。

 

24位 むらさきのスカートの女/今村夏子

近所に住む「むらさきのスカートの女」と呼ばれる女性のことが、気になって仕方のない〈わたし〉は、彼女と「ともだち」になるために、自分と同じ職場で働きだすように誘導し……。

『こちらあみ子』『あひる』『星の子』『父と私の桜尾通り商店街』と、唯一無二の視点で描かれる世界観によって、作品を発表するごとに熱狂的な読者が増え続けている著者の最新作。

第161回芥川賞受賞作。

 

芥川賞受賞作にして、テンポが良くスラスラ読める純文学。正直言って意味は全然わからないのだが、なぜか文章から目が離せなくなり、気づけば最後まで読まされてしまった。

基本的にヤバ目の人しか出てこないので、イカれた人物たちがワチャワチャやってるのを遠くから眺めたい人におススメ。…そんな人いるのか?後半に載っている作者のエッセイも超面白いので必読。

 

23位 ミリは猫の瞳のなかに住んでいる/四季大雅

これは「僕」が「君」と別れ、「君」が「僕」と出会うまでの物語だ。

★第29回電撃小説大賞《金賞》受賞作★
読書メーターOF THE YEAR2023-2024 ライトノベル部門第2位☆

瞳を覗き込むことで過去を読み取り追体験する能力を持つ大学生・紙透窈一(かみすきよういち)。退屈な大学生活の最中、彼は野良猫の瞳を通じて、未来視の能力を持つ少女・柚葉美里(ゆずのはみり)と出会う。
猫の瞳越しに過去の世界と会話が成立することに驚くのもつかの間、『ミリ』が告げたのは衝撃的な『未来の話』。

「これから『よーくん』の周りで連続殺人事件が起きるの。だから『探偵』になって運命を変えて」
調査の過程で絆を深める二人。ミリに直接会いたいと願う窈一だったが……
「そっちの時間だと、わたしは、もう――」

死者からの手紙、大学の演劇部内で起こる連続殺人、ミリの言葉の真相──そして、嘘。
過去と未来と現在、真実と虚構が猫の瞳を通じて交錯する、新感覚ボーイミーツガール!

デビュー作『わたしはあなたの涙になりたい』(小学館ガガガ文庫刊)は『このライトノベルがすごい!2023』(宝島社刊)新作部門1位を獲得。
超大型新人が電撃小説大賞の看板を引っ提げて繰り出す衝撃作!

 

『バスタブで暮らす』で先ほど紹介した四季大雅先生が送る、電撃小説大賞受賞作。恋愛要素とミステリ要素が混ぜ合わされ、緻密なプロットと衝撃の展開で味付けされた極上の大傑作ラノベ

世間では賛否両論ある作品らしいのだが、僕はかなり楽しめた作品であり、ラノベだからと敬遠してはもったいない作品の筆頭である。一風変わった恋愛ミステリ作品を読みたい方は必読。

 

22位 可燃物/米澤穂信

余計なことは喋らない。上司から疎まれる。部下にもよい上司とは思われていない。しかし、捜査能力は卓越している。葛警部だけに見えている世界がある。
群馬県警を舞台にした新たなミステリーシリーズ始動。

群馬県警利根警察署に入った遭難の一報。現場となったスキー場に捜査員が赴くと、そこには頸動脈を刺され失血死した男性の遺体があった。犯人は一緒に遭難していた男とほぼ特定できるが、凶器が見つからない。その場所は崖の下で、しかも二人の周りの雪は踏み荒らされておらず、凶器を処分することは不可能だった。犯人は何を使って〝刺殺〟したのか?(「崖の下」)

榛名山麓の〈きすげ回廊〉で右上腕が発見されたことを皮切りに明らかになったばらばら遺体遺棄事件。単に遺体を隠すためなら、遊歩道から見える位置に右上腕を捨てるはずはない。なぜ、犯人は死体を切り刻んだのか? (「命の恩」)

太田市の住宅街で連続放火事件が発生した。県警葛班が捜査に当てられるが、容疑者を絞り込めないうちに、犯行がぴたりと止まってしまう。犯行の動機は何か? なぜ放火は止まったのか? 犯人の姿が像を結ばず捜査は行き詰まるかに見えたが……(「可燃物」)

連続放火事件の“見えざる共通項”を探り出す表題作を始め、葛警部の鮮やかな推理が光る5編。

 

「このミステリーがすごい!」第1位、「ミステリが読みたい!」第1位、「週刊文春ミステリーベスト10」第1位と、ミステリーランキングで見事三冠に輝いた傑作ミステリ短編集。

大掛かりなトリックや仰々しい演出は一切登場せず、静かに淡々と描かれる警察たちの奮闘劇は重厚で骨太。現実的なトリックなのに、完全に意識の外からやられる感覚が堪らない。最高の読書体験が味わえること間違いなし。

 

21位 DINER ダイナー/平山夢明

ほんの出来ごころから携帯闇サイトのバイトに手を出したオオバカナコは、凄惨な拷問に遭遇したあげく、会員制のダイナーに使い捨てのウェイトレスとして売られてしまう。 そこは、プロの殺し屋たちが束の間の憩いを求めて集う食堂だった―― ある日突然落ちた、奈落でのお話。

 

魅力的な殺し屋たちが織り成す、拷問と殺戮に塗れた極上のエンタメ小説藤原竜也主演で実写映画化もされている超人気作品。

しょっぱなからグロアクセル全開で、文体もかなり癖があるため、かなり人を選ぶ作品であるのは間違いない。ただ、僕の好みにはドストライク。大変美味しい絶品だった。読了後、ハンバーガーが食べたくなる。

 

20位 地雷グリコ/青崎有吾

ミステリ界の旗手が仕掛ける本格頭脳バトル小説!

射守矢真兎(いもりや・まと)。女子高生。勝負事に、やたらと強い。
平穏を望む彼女が日常の中で巻き込まれる、風変わりなゲームの数々。罠の位置を読み合いながら階段を上ったり(「地雷グリコ」)、百人一首の絵札を用いた神経衰弱に挑んだり(「坊主衰弱」)。次々と強者を打ち破る真兎の、勝負の先に待ち受けるものとは――ミステリ界の旗手が仕掛ける本格頭脳バトル小説、全5篇。

 

今年最も話題になったであろう超絶傑作本格頭脳バトル小説。誰もが知っている遊びをベースとしたゲームが展開され、ルールの裏をかいてかいてかきまくる熱い攻防戦に心を震わされた。

直木賞受賞とまではいかなかったが、数多のランキングを独占しており、その面白さは折り紙付き。幼少期からライアーゲームカイジを見て育ってきた僕世代にはたまらない大傑作。なんで本作が本屋大賞にノミネートすらされなかったのか、いまだに疑問に思っている。これだから本屋大賞は…(小声)

 

19位 塞王の楯/今村翔吾

どんな攻めをも、はね返す石垣。
どんな守りをも、打ち破る鉄砲。
「最強の楯」と「至高の矛」の対決を描く、究極の戦国小説!

越前・一乗谷城織田信長に落とされた。
幼き匡介(きょうすけ)はその際に父母と妹を喪い、逃げる途中に石垣職人の源斎(げんさい)に助けられる。
匡介は源斎を頭目とする穴太衆(あのうしゅう)(=石垣作りの職人集団)の飛田屋で育てられ、やがて後継者と目されるようになる。匡介は絶対に破られない「最強の楯」である石垣を作れば、戦を無くせると考えていた。両親や妹のような人をこれ以上出したくないと願い、石積みの技を磨き続ける。

秀吉が病死し、戦乱の気配が近づく中、匡介は京極高次(きょうごくたかつぐ)より琵琶湖畔にある大津城の石垣の改修を任される。
一方、そこを攻めようとしている毛利元康は、国友衆(くにともしゅう)に鉄砲作りを依頼した。「至高の矛」たる鉄砲を作って皆に恐怖を植え付けることこそ、戦の抑止力になると信じる国友衆の次期頭目・彦九郎(げんくろう)は、「飛田屋を叩き潰す」と宣言する。

大軍に囲まれ絶体絶命の大津城を舞台に、宿命の対決が幕を開ける――。

 

『黒牢城』とともに直木賞に輝いた、最強の楯・石垣職人と最強の矛・鉄砲職人による誇りをかけた戦を描いた激熱時代小説。

500ページを超えるボリュームにもかかわらず、全く飽きさせないその筆力は流石としか言いようがない。終盤の展開には思わず涙を流してしまった…。やっぱり王道って最高だ!全人類に読んでほしい超絶傑作。

 

18位 白夜行/東野圭吾

愛することは「罪」なのか。それとも愛されることが「罪」なのか。
1973年、大阪の廃墟ビルで質屋を経営する男が一人殺された。容疑者は次々に浮かぶが、結局、事件は迷宮入りしてしまう。被害者の息子・桐原亮司と、「容疑者」の娘・西本雪穂――暗い眼をした少年と、並外れて美しい少女は、その後、全く別々の道を歩んでいくことになるのだが、二人の周囲に見え隠れする、幾つもの恐るべき犯罪の形跡。しかし、何も「証拠」はない。そして十九年の歳月が流れ……。伏線が幾重にも張り巡らされた緻密なストーリー。壮大なスケールで描かれた、ミステリー史に燦然と輝く大人気作家の記念碑的傑作。

 

犯罪者の内面は一切描かずに、周囲の人々の視点から事件の真相と犯罪者の異常性を書き表したノワール小説。恥ずかしながら初めての東野圭吾作品であったのだが、めちゃくちゃ面白かった。

800ページを超える分量から放たれる物語は、まさに芸術そのもの。薄暗い白夜の中を彷徨う犯罪者の逃避行に心を震わされる。文句なしの超絶大傑作。

 

17位 春季限定いちごタルト事件(小市民シリーズ)/米澤穂信

そしていつか摑むんだ、あの小市民の星を。

小市民を目指す小鳩君と小山内さんのコミカル探偵物語

小鳩くんと小佐内さんは、恋愛関係にも依存関係にもないが互恵関係にある高校1年生。きょうも2人は手に手を取って清く慎ましい小市民を目指す。それなのに2人の前には頻繁に奇妙な謎が現れる。消えたポシェット、意図不明の2枚の絵、おいしいココアの謎、テスト中に割れたガラス瓶。名探偵面をして目立ちたくないというのに、気がつけば謎を解く必要に迫られてしまう小鳩くんは果たして小市民の星を掴み取ることができるのか? 新鋭が放つライトな探偵物語

 

アニメ化もされている名作ミステリ作品・<小市民>シリーズが16位にランクイン。同著者の代表作『氷菓』シリーズに似た作風ではあるが、こちらのシリーズの方が話が重めであり、大抵の加害者は逮捕されてしまうし、基本的にバッドエンドである

本シリーズで個人的に一番好きな作品は『秋季限定栗きんとん事件』。放火というド級の重犯罪を取り扱っており、結末を含めて僕好みの傑作だった。本シリーズは既に完結しており、今年で全て読み終えたので、来年はアニメを楽しんでいこうと思っている。

 

16位 紗央里ちゃんの家/矢部嵩

祖母が風邪で死んだと知らされた小学5年生の僕。叔母夫婦の家からは従姉の紗央里ちゃんの姿も消え、叔母たちの様子はどこかおかしい。僕はこっそり家中を探し始める。第13回日本ホラー小説大賞長編賞受賞。

 

来た来た来たぁ!超絶ド級の問題作にして、最高で最低で上品で下品な特級呪物本。ただ従姉の紗央里ちゃんの家に主人公が訪れるだけの作品なのに、めちゃくちゃ怖いしめちゃくちゃグロい。

出てくる奴らが全員狂人であり、文体も独特で気味悪く、最初から最後まで異常たっぷり。日常と非日常の境界線を破壊する、不気味でクレイジーな世界観にどっぷりと浸りたい人におススメ

 

15位 タイタン/野﨑まど

今日も働く、人類へ

至高のAI『タイタン』により、社会が平和に保たれた未来。
人類は≪仕事≫から解放され、自由を謳歌していた。
しかし、心理学を趣味とする内匠成果【ないしょうせいか】のもとを訪れた、
世界でほんの一握りの≪就労者≫ナレインが彼女に告げる。
「貴方に≪仕事≫を頼みたい」
彼女に託された≪仕事≫は、突如として機能不全に陥った
タイタンのカウンセリングだった――。

アニメ『バビロン』『HELLO WORLD』で日本を震撼させた
鬼才野﨑まどが令和に放つ、前代未聞の超巨大エンターテイメント。

 

鬼才・野﨑まど先生の作品が満を持してランクイン。野﨑先生が本作で扱うテーマは「仕事とは何か」。心理学者がAIとのカウンセリングに取り組み、不具合を修正しようと試みる中で、「仕事」の定義がどんどん深掘りされていく。

もちろん、大筋のストーリーも重厚で面白く、SF初心者でも間違いなく楽しめるであろう大傑作となっている。野﨑まど先生の作品の中では一番とっつきやすい作品かもしれないので、初めての野﨑まど作品としてもおススメしたい

 

14位 ぼぎわんが、来る/澤村伊智

幸せな新婚生活を営んでいた田原秀樹の会社に、とある来訪者があった。取り次いだ後輩の伝言に戦慄する。
それは生誕を目前にした娘・知紗の名前であった。原因不明の怪我を負った後輩は、入院先で憔悴してゆく。
その後も秀樹の周囲に不審な電話やメールが届く。一連の怪異は、今は亡き祖父が恐れていた“ぼぎわん”という化け物の仕業なのか?
愛する家族を守るため秀樹は伝手をたどり、比嘉真琴という女性霊媒師に出会う。
真琴は田原家に通いはじめるが、迫り来る存在が極めて凶暴なものだと知る。はたして“ぼぎわん”の魔の手から、逃れることはできるのか……。

“あれ”からは決して逃れられない――。綾辻行人貴志祐介宮部みゆきら絶賛の第22回日本ホラー小説大賞〈大賞〉受賞作!

 

綾辻行人貴志祐介宮部みゆきといった大先生たちが絶賛した、日本ホラー小説大賞受賞作。デビュー作にして、実写映画化も果たした大ヒットホラー小説。

前半は"ぼぎわん"の恐怖に叩きのめされ、後半では激熱能力バトルに興奮しっぱなし。ホラーをエンタメに昇華させた能汁出まくりの超絶傑作であり、ホラーが苦手な方にもできれば読んでほしい作品。ちなみに、本シリーズはまだ本作しか読めていないので、来年以降に続きを読んでいきたいと思っている。

 

13位 氷菓(古典部シリーズ)/米澤穂信

大人気シリーズ第一弾! 瑞々しくもビターな青春ミステリ!

何事にも積極的に関わらないことをモットーとする奉太郎は、高校入学と同時に、姉の命令で古典部に入部させられる。
さらに、そこで出会った好奇心少女・えるの一言で、彼女の伯父が関わったという三十三年前の事件の真相を推理することになり――。
米澤穂信、清冽なデビュー作!

 

今更語るまでもない、米澤穂信先生の鮮烈なデビュー作。京都アニメーションでアニメ化もされた超人気作ではあるが、原作はいまだに完結しておらず、多数の氷菓難民を生み出している罪深きミステリシリーズ

どの作品も異常なまでに面白いのだが、一番好きな作品を選ぶとすれば『クドリャフカの順番』である。文化祭を舞台とした連続盗難事件の謎を追いつつ、古典部4人の群像劇を高レベルで書ききった大傑作であり、『氷菓』で止まっている人は本作までは絶対に読んでほしい。

 

12位 GOTH/乙一

連続殺人犯の日記帳を拾った森野夜は、未発見の死体を見物に行こうと「僕」を誘う……人間の残酷な面を覗きたがる者〈GOTH〉を描き本格ミステリ大賞に輝いた乙一出世作

 

本格ミステリ大賞を受賞した乙一先生の出世作にして、問題だらけの劇薬小説。謎の行動力を見せるサイコパスと、猟奇的事件の犯人たちとの心理戦を描いた連作短編集。

短編の完成度は極上であり、どんでん返し/叙述トリック/伏線回収、何でもござれ。異常者vs異常者。作者vs読者。さぁ、君も一緒に乙一の掌の上で踊ろうじゃないか

Goth: Volumen Unico

Goth: Volumen Unico

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11位 姑獲鳥の夏(百鬼夜行シリーズ)/京極夏彦

この世には不思議なことなど何もないのだよ――古本屋にして陰陽師(おんみょうじ)が憑物を落とし事件を解きほぐす人気シリーズ第1弾。東京・雑司ヶ谷(ぞうしがや)の医院に奇怪な噂が流れる。娘は20箇月も身籠ったままで、その夫は密室から失踪したという。文士・関口や探偵・榎木津(えのきづ)らの推理を超え噂は意外な結末へ。

 

もう今更紹介する意味もないであろう、読む鈍器と呼ばれるほど極太な怪奇ミステリシリーズ。個人的には1作目の『姑獲鳥の夏』が一番好み。

本シリーズを一文で表すと、「壮大で重厚な超絶怒涛バカミス作品」である。とんでもないバカミスではあるのだけれど、伏線と物語の緻密さが正気の沙汰ではなく、骨太で極上のエンタメ小説に仕上がっている。

キャラ小説としての側面も兼ね備えており、出てくるキャラが皆個性的で、あなたにも推しができること間違いなし。まだ本シリーズに触れていない人は、『姑獲鳥の夏』だけでも良いので読んでみてほしいと思う。

 

10位 向日葵の咲かない夏/道尾秀介

夏休みを迎える終業式の日。先生に頼まれ、欠席した級友の家を訪れた。きい、きい。妙な音が聞こえる。S君は首を吊って死んでいた。だがその衝撃もつかの間、彼の死体は忽然と消えてしまう。一週間後、S君はあるものに姿を変えて現れた。「僕は殺されたんだ」と訴えながら。僕は妹のミカと、彼の無念を晴らすため、事件を追いはじめた。あなたの目の前に広がる、もう一つの夏休み。

 

ついにベスト10に突入。道尾秀介先生の代表作であり、言わずと知れた大ベストセラー小説。全体的に雰囲気は暗くテーマも重めだが、内容が面白すぎてページを捲る手が止まらなかった。

所々違和感があって、「これどういう事?」と思いながら読み進めていたら、終盤で全ての謎が繋がってびっくり仰天!すげぇぇぇぇぇ!一筋縄ではいかないラストも僕好みで最高だった。問答無用の超絶大傑作。

 

9位 最後にして最初のアイドル/草野原々

“バイバイ、地球――ここでアイドル活動できて楽しかったよ。"

第4回ハヤカワSFコンテスト特別賞
第48回星雲賞(日本短編部門)
第27回暗黒星雲賞(ゲスト部門)
第16回センス・オブ・ジェンダー賞(未来にはばたけアイドル賞)

SFコンテスト史上初の特別賞&「神狩り」以来42年ぶりにデビュー作で星雲賞を受賞し、SF史に伝説を刻んだ実存主義ワイドスクリーン百合バロックプロレタリアートアイドルハードSFの表題作をはじめ、ガチャが得意なフレンズたちが宇宙創世の真理へ驀進する「エヴォリューションがーるず」、異能の声優たちが銀河を大暴れする書き下ろし声優スペースオペラ「暗黒声優」の3篇を収録する、驚天動地の草野原々1st作品集!

 

表紙詐欺な超展開グロ百合ハードSF作品。スケールは宇宙時空を超え、トンデモ理論で大風呂敷を広げに広げ、最終的には爽快に丸く収まり綺麗に着地する。ナニコレ。最高すぎるだろ。

とてつもなくグロいし、設定もぶっ飛びすぎて取っ付きにくいので、間違いなく人を選ぶ作品だが、僕のような倫理観をかなぐり捨てたエンタメ作品を追い求める読書中毒者にとっては至極の一冊。本作を面白いと思える人と、お酒を交わしながら感想会をしたい。

 

8位 魔女の子供はやってこない/矢部嵩

ある日へんてこなステッキを拾った縁で、キュートな魔女と友達になった小学生の夏子。だが2人が良かれと思ってしたことが、次々血みどろ事件に発展していき──。ホラー界の鬼才が放つ、世紀の問題作!

 

あらすじで既に「世紀の問題作」と書かれているが、まさしくその通りであり、恐らく今まで僕が読んできた小説の中で最もイカれている作品である。かろうじてホラー小説という体裁をとってはいるが、その実遊び心満載のナンセンス作品であり、笑って良いのかわからないような下品でグロいブラックユーモアが連発される。

そんなポップでキュートでシュールでグロテスクな変態向けのプリキュアではあるのだが、全編を通して伝えたいメッセージは真っすぐでシンプルであり、心にスッと入ってきて謎の感動を引き起こす。無茶苦茶やっているようで伏線回収は完璧にこなしており、ラストの風呂敷の畳み方は見事。異常に完成度の高い作品である。

余談ではあるのだが、『地雷グリコ』でその名を轟かせた青崎有吾先生も本作を推薦しており、特に本作の4話目を世界一怖い小説作品として挙げている。個人的にも4話目が一番好きなので、とりあえずその話だけ読んでみるのもありかも。いや、やっぱり全編読んで。

 

7位 777(殺し屋シリーズ)/伊坂幸太郎

殺し屋シリーズ最新作。世界で最も不運な殺し屋、ふたたび!!

あの世界で一番不運な殺し屋が、また騒動に巻き込まれる――。『マリアビートル』では新幹線から降りられなかったが、今度は東京の超高級ホテルから出られない……!?

伊坂幸太郎、2年ぶりの完全書き下ろし。殺し屋シリーズ最新作。

 

待ってました!超人気作家・伊坂幸太郎先生による殺し屋シリーズ最新作『777』がついにランクイン。もうね、大好き、このシリーズ。殺し屋たちがドンパチぶつかり合う痛快小説であり、エンタメ度が高すぎて、読んでいるだけで快楽物質がドピュドピュ出てくる

抜群のハラハラ感と疾走感はこれまで同様素晴らしい。それに加え、本作はラストの小粋な演出が最高なのだ。正直言って、終わり方はこれまでのシリーズで一番好きかもしれない。まだ本シリーズに触れていない人は、『グラスホッパー』から読み始めてみることを強くおススメする。(『マリアビートル』から読むのはダメ!)

 

6位 儚い羊たちの祝宴/米澤穂信

夢想家のお嬢様たちが集う読書サークル「バベルの会」。夏合宿の二日前、会員の丹山吹子の屋敷で惨劇が起こる。翌年も翌々年も同日に吹子の近親者が殺害され、四年目にはさらに凄惨な事件が。優雅な「バベルの会」をめぐる邪悪な五つの事件。甘美なまでの語り口が、ともすれば暗い微笑を誘い、最後に明かされる残酷なまでの真実が、脳髄を冷たく痺れさせる。米澤流暗黒ミステリの真骨頂。

 

もう何作このランキングにランクインしたか分からない天才作家・米澤穂信先生における、ホラーミステリ短編集の最高到達点。「脳髄を冷たく痺れさせる」という売り文句通り、心の底から震え上がる短編5編を収録している。

ひたすらにゾクゾクする描写が連発され、オチで全てがひっくり返る。これほどまでに極上の文学作品を5編も堪能できるなんて、なんと贅沢な一冊であろうか。読んだこと無い人は、今すぐ本作を手に取るべきである。

 

5位 [映]アムリタ(アムリタシリーズ)/野﨑まど

『バビロン』『HELLO WORLD』の鬼才・野崎まどデビュー作再臨!

芸大の映画サークルに所属する二見遭一は、天才とうわさ名高い新入生・最原最早がメガホンを取る自主制作映画に参加する。
だが「それ」は“ただの映画”では、なかった――。
TVアニメ『正解するカド』、『バビロン』、劇場アニメ『HELLO WORLD』で脚本を手掛ける鬼才・野崎まどの作家デビュー作にして、電撃小説大賞にて《メディアワークス文庫賞》を初受賞した伝説の作品が新装版で登場!
貴方の読書体験の、新たな「まど」が開かれる1冊!

 

天才・野﨑まどのデビュー作にして、ライトノベルの皮を被った超絶ド級の劇薬シリーズが5位にランクイン。とにかく読んで、としか言いようがないネタバレ厳禁/ジャンル不明の大傑作であり、記憶を消してもう一度読み直したいシリーズの筆頭である。

今年のベスト5に入った作品なのだから、まだまだ紹介文を書きたい気持ちはあるのだが、もう何を書いてもネタバレになってしまうので、何も書くことが思いつかない…。本当に後悔はさせないので、とにかく読んでほしい。

 

4位 涼宮ハルヒの憂鬱(涼宮ハルヒシリーズ)/谷川流

「ただの人間には興味ありません。この中に宇宙人、未来人、異世界人、超能力者がいたら、あたしのところに来なさい。以上」高校入学早々ぶっ飛んだ挨拶をかましたえらい美人、涼宮ハルヒ。誰もが冗談だと思うこの言葉が大マジだったことを、俺はのちに身をもって知ることになる。ハルヒと出会ってしまったことから、気づけば俺の日常は非日常になっていて!?ライトノベルの金字塔が、豪華解説つきで襲来!

 

ライトノベルにして一時代を築いた、平成オタクのバイブル的な作品。もちろん名前は聞いたことはあったのだが、内容を全く知らないまま一作目を読了。そして無事ハルヒワールドにドはまりし、二か月かけて既刊を全て制覇してしまった。あぁぁ、ハルヒロスだぁぁ…。

読む前はほのぼの日常系作品かと思っていたのだが、その実ゴリゴリのド級ハードSF作品で驚愕した。構成も素晴らしいし、キャラも個性的で愛着が湧くし、タイトルも完璧。長門Love。読まず嫌いしていた過去の自分をぶん殴りに行きたい。朝比奈さん、タイムスリップの準備をよろしくお願いします。

本シリーズで最も面白い作品は、間違いなく『涼宮ハルヒの消失』である。4作目にして、これまで積み上げてきた伏線を全て惜しみなく開放した集大成なので、面白くない訳がない。映画の方はまだ見れていないので、これから見るのが楽しみである。

 

3位 プロジェクト・ヘイル・メアリー/アンディ・ウィアー

地球上の全生命滅亡まで30年……。
全地球規模のプロジェクトが始動した!

グレースは、真っ白い奇妙な部屋で、たった一人で目を覚ました。ロボットアームに看護されながらずいぶん長く寝ていたようで、自分の名前も思い出せなかったが、推測するに、どうやらここは地球ではないらしい……。断片的によみがえる記憶と科学知識から、彼は少しずつ真実を導き出す。ここは宇宙船〈ヘイル・メアリー〉号――。
ペトロヴァ問題と呼ばれる災禍によって、太陽エネルギーが指数関数的に減少、存亡の危機に瀕した人類は「プロジェクト・ヘイル・メアリー」を発動。遠く宇宙に向けて最後の希望となる恒星間宇宙船を放った……。

『火星の人』で火星の、『アルテミス』で月での絶望的状況でのサバイバルをリアルに描いた著者が、人類滅亡の危機に立ち向かう男を描いた極限のエンターテインメント。

 

現代SF小説の最高到達点。エンタメ濃度が高すぎて、脳が快楽物質に溺れる感覚を味わえる至高の海外SF小説

もちろん大筋のストーリーも面白すぎるのだが、何と言っても研究員たちの試行錯誤が詳細に描かれているのが僕好みで最高。僕自身も大学・大学院ともに物理化学を専攻してきたゴリゴリの理系なので、演算や検証を繰り広げるシーンがぶっ刺さり。もうたまらん。

とにかく言えるのは、こんなにも素晴らしい小説をネタバレなしで読めた自分は、本当に幸せ者だと思う。SFを普段読まない人も一度は読むべき超絶傑作。映画化も楽しみ。

 

2位 人生を変えたコント/霜降り明星せいや

せいや霜降り明星)の17年来の夢、叶う! 半自伝小説ついに完成!!

ある朝、机がひっくり返っていた。
いじめは急にはじまった。
それでもイシカワは高校を休まなかった。
奪われかけた青春を
コントで取り返す文劇祭(ぶんげきさい)、まもなく開演!!

どん底から這い上がった人のほうが絶対に強い!」

僕が一番大好きな漫才師・霜降り明星M-1チャンピオンになる前から応援していたコンビであり、今でもラジオは毎週欠かさず聞いているし、ユーチューブも霜降りチューブはもちろん、粗品チャンネルもイニミニチャンネルも欠かさず視聴している。そんな僕の憧れの芸人・せいやが放つ、自身が高校生の時に体験したいじめをテーマとした半自伝小説が本作『人生を変えたコント』である。

本作ではとにかくいじめの描写が胸糞悪く、いじめによって崩壊していく自身のメンタルや家族の描写が本当に苦しい。だからこそ、ラストの文化祭で放った「人生を変えたコント」の威力が凄まじい。ラストシーンを読んでいるとき、笑いながら泣いている自分に気づいた。こんなにも感情を表に出しながらのめり込めた小説は初めてである。

せいや本人は「学生の課題図書として採用されたい」と言っていたが、本当に課題図書としてこれ以上の本はないと言えるレベルの大傑作である。もちろん、霜降り明星を知らない大人の人が読んでも楽しめることは僕が保証する。超絶おススメ作品。

 

1位 エヴァーグリーン・ゲーム/石井仁蔵

「王様のブランチ」で紹介後、大評判!!
【選考委員、絶賛の嵐! 第12回ポプラ社小説新人賞受賞作!!】
世界有数の頭脳スポーツであるチェスと出会い、その面白さに魅入られた4人の若者たち。
64マスの盤上で、命を懸けた闘いが繰り広げられる――!

「勝つために治せよ、絶対に」
小学生の透は、難病で入院生活を送っており、行きたかった遠足はもちろん、学校にも行けず癇癪を起してしまう。そんなとき、小児病棟でチェスに没頭する輝と出会う――。
<年齢より才能より、大事なものがある。もうわかってるだろ?>
チェス部の実力者である高校生の晴紀だが、マイナー競技ゆえにプロを目指すかどうか悩んでいた。ある日、部長のルイに誘われた合コンで、昔好きだった女の子と再会し……?
「人生を賭けて、ママに復讐してやろう。」
全盲の少女・冴理は、母からピアノのレッスンを強要される日々。しかし盲学校の保健室の先生に偶然すすめられたチェスにハマってしまい――。
「俺はただ、チェスを指すこの一瞬のために、生きている。」
天涯孤独の釣崎は、少年院を出たのち単身アメリカへわたる。マフィアのドンとチェスの勝負することになり……!?

そして、彼らは己の全てをかけて、チェスプレイヤー日本一を決めるチェスワングランプリに挑むことに。
チェスと人生がドラマティックに交錯する、熱い感動のエンターテイメント作!

来た来たぁ!今年ベストNo.1小説!エンタメ成分MAX!ガチで面白い!最高!うおおおぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!

ふぅ…。少し興奮してしまった。落ち着こう落ち着こう。本作は、チェスに人生を救われてきた4人の若者たちが、文字通り命を懸けて日本一を決める全国大会に挑む熱血物語である。本作の素晴らしい点を挙げればキリがないのだが、あえて1つ挙げるとすれば、登場人物にめちゃくちゃ感情移入できる点である。主人公となる4人の若者は以下のような事情を抱えている。

・200万人に1人の難病を抱えた男子小学生

・いじめを止めようとして報復にあった男子高校生

・生まれつき全盲で、母親から見捨てられた少女

・少年院を出て、アメリカのマフィアグループに属する男性

そして、彼らが生きる支えとしているもの、それが「チェス」なのである。

1章から4章までは、1人ずつ彼らの人生を緻密に描いていき、5章で全員がチェスワングランプリで激突する。彼らが背負っているものを考えると、本当に全員に勝ってほしい。そう思わざるを得ない。しかし、勝負の世界は甘くない。すべての試合において、ちゃんと勝敗は決する。最後は誰が勝つのか、緊迫感や興奮や緊張が頭の中でグチャグチャになり、読んでいる間は脳汁が止まらなかった。

「チェスってあんまり興味ないんだよねぇ~」というそこのあなた、前知識など必要ないからさっさと本作を読むのだ。本当に面白い創作物の前では、ゲームの知識の有無などどうでも良いことだ。それは『ヒカルの碁』が証明している。安心して本作を手に取ってほしい。今年はこんな傑作に出会えて本当に幸せだ。

 

今年は以上。来年もよろしくお願いします。

2024年 9月 読書記録&おすすめ本

どうも、ゆかりごはんです。

最近寒くなってきましたねぇ。半袖か長袖か迷う時期。個人的には一番好きな季節、秋の到来である。食欲の秋、スポーツの秋、そして読書の秋。今年の秋はたくさん本を読んでいきたいと意気込んではいるが、なぜか仕事や行事がパンパンに詰まっており、読書に割く時間があまり確保できなそう…。読みたい本はたくさんあるのに…。

まぁ、そんな独り言はさておき、読書記録がてら今月の読了本をまとめていきたいと思う。今月読了したのは、以下の17作である。読んだ順で書いてます。

 

夏に溺れる/青葉寄

アリアドネの声/井上真偽

名探偵のはらわた/白井智之

ヨモツイクサ/知念実希人

世界でいちばん透きとおった物語/杉井光

文鳥夢十夜/夏目漱石

アガシラと黒塗りの村/小寺無人

ツミデミック/一穂ミチ

魍魎の匣/京極夏彦

名探偵のいけにえ/白井智之

リアル鬼ごっこ/山田悠介(再読)

涼宮ハルヒの憂鬱/谷川流

シライサン/乙一

少女星間漂流記/東崎惟子

新世界より/貴志祐介(再読)

塞王の楯/今村翔吾

涼宮ハルヒの溜息/谷川流

 

↓以下、今月のおススメ作品です。読んだことない作品があれば、是非読んでみてください。

 

塞王の楯/今村翔吾

【第166回直木賞受賞作】

どんな攻めをも、はね返す石垣。
どんな守りをも、打ち破る鉄砲。
「最強の楯」と「至高の矛」の対決を描く、究極の戦国小説!

越前・一乗谷城織田信長に落とされた。
幼き匡介(きょうすけ)はその際に父母と妹を喪い、逃げる途中に石垣職人の源斎(げんさい)に助けられる。
匡介は源斎を頭目とする穴太衆(あのうしゅう)(=石垣作りの職人集団)の飛田屋で育てられ、やがて後継者と目されるようになる。匡介は絶対に破られない「最強の楯」である石垣を作れば、戦を無くせると考えていた。両親や妹のような人をこれ以上出したくないと願い、石積みの技を磨き続ける。

秀吉が病死し、戦乱の気配が近づく中、匡介は京極高次(きょうごくたかつぐ)より琵琶湖畔にある大津城の石垣の改修を任される。
一方、そこを攻めようとしている毛利元康は、国友衆(くにともしゅう)に鉄砲作りを依頼した。「至高の矛」たる鉄砲を作って皆に恐怖を植え付けることこそ、戦の抑止力になると信じる国友衆の次期頭目・彦九郎(げんくろう)は、「飛田屋を叩き潰す」と宣言する。

大軍に囲まれ絶体絶命の大津城を舞台に、宿命の対決が幕を開ける――。

最強の矛vs最強の楯 互いの誇りをかけた激熱バトル、開幕!

最強の楯・石垣職人と最強の矛・鉄砲職人による誇りをかけた戦を描いた激熱時代小説。石垣職人にスポットを当てた時代小説ということで、読む前は「なんかあんまり盛り上がりが無さそうだなぁ」なんてふざけたことを考えていた。本当に大馬鹿のうつけ者である。

正直言って、本作は今月読んだ本の中では断トツで面白かった作品である。本当に興奮しすぎて体が終始震えていたし、最終盤の激熱展開で涙を流して泣いた(ガチ)。本を読んで泣いたのは久しぶりだ…。それほどまでに心を揺さぶる超絶大傑作。全人類に読んでほしいと本気で思っている。超おススメ本。

 

魍魎の匣/京極夏彦

箱を祀る奇妙な霊能者。箱詰めにされた少女達の四肢。そして巨大な箱型の建物――箱を巡る虚妄が美少女転落事件とバラバラ殺人を結ぶ。探偵・榎木津、文士・関口、刑事・木場らがみな事件に関わり京極堂の元へ。果たして憑物(つきもの)は落とせるのか!?日本推理作家協会賞に輝いた超絶ミステリ、妖怪シリーズ第2弾。

本作でも京極堂の蘊蓄は健在! 至高で究極のバカミス作品!

もう今更語ることもない程の超有名シリーズの二作目。1000ページ超えのレンガ本にもかかわらず、文体が滑らかでスルスル読めるため全く苦にならない。京極堂の蘊蓄エンジンは本作でも絶好調。ペラペラと訳の分からないことを喋り続けていると思いきや、全てが伏線として機能しており、不気味で狂気的な四つの事件が一点に収束していく。あぁ~、読んでいて気持ちいぃ…。

本作は、前作『姑獲鳥の夏』よりも構成が練られており、バカミス成分は抑えめ。まぁ、終盤のトンデモ展開には思わず笑ってしまったけど(笑)。あらゆるエンタメ要素をギュギュっと一つの匣に詰め込んだ、史上最高の娯楽作品。読んだことないけど興味のある人は、絶対に読んだ方が良いよ!超絶面白いので。

 

涼宮ハルヒの憂鬱/谷川流

「ただの人間には興味ありません。この中に宇宙人、未来人、超能力者がいたら、あたしのところに来なさい。以上」。入学早々、ぶっ飛んだ挨拶をかましてくれた涼宮ハルヒ。そんなSF小説じゃあるまいし……と誰でも思うよな。俺も思ったよ。だけどハルヒは心の底から真剣だったんだ。それに気づいたときには俺の日常は、もうすでに超常になっていた――。第8回スニーカー大賞〈大賞〉受賞作、ビミョーに非日常系学園ストーリー!

ただの人間には興味ありません! 一時代を築いたラノベ界の金字塔的作品!

涼宮ハルヒの憂鬱ラノベにして一時代を築き上げ、深夜アニメ界隈で天下を取った伝説の作品。だがしかし、僕はこの作品について全く知識がなかった。当然名前は知っていたが、学生時代の僕はとにかく逆張り精神が強く、本作をわざと読まずにいた。じゃあなぜ今更本作を読もうと思ったのかというと、近々新刊が数年ぶりに発売されることを知ったからだ。乗るしかない、このビックウェーブに!の精神でとりあえず読んでみることにしたのである。

結果読んでみてどうだったかというと、本っっっ当に面白かった。わざと本作を避けてイキっていた昔の自分をぶん殴りたい。ほんわかした日常系コメディ作品かと思いきや、ゴリッゴリのハードSF作品で、完成度が非常に高く満足度の高い至極のエンタメ小説だった。そりゃ人気出るわ。正直、今まで読んだSF作品の中では断トツで読みやすいので、SF初心者に強くおススメしたい作品である。ラノベだからといって読まないのは損だと断言しよう。

 

アガシラと黒塗りの村/小寺無人

「裏山の神社で見つかった古文書を解読してくれ」
親友から依頼を受け出向いた先は、巨人伝説の残る奇妙な村だった…


古文書オタクの黒木鉄生は、大学時代の親友・八重垣志紀に頼まれ、村で発見された「沼神文書」と呼ばれる古文書を解読するために巨人伝説が残る農村を訪れた。村に到着したその夜、セイタカ様と呼ばれる巨大な地蔵の前で、議会議員の息子・島田光男が殺害された。さらに2日後には、こしかけ山と呼ばれる場所で八重垣の義妹・咲良の幼馴染が首を吊った状態で見つかる。「沼神文書」の解読作業を進める黒木は、村と村人の秘密、2人の死の真相に迫ることになり…。
第2回黒猫ミステリー賞受賞!一気読み必至の民俗伝承ミステリー。

全ての謎が収束する終盤は必見! 小寺無人先生、衝撃のデビュー作!

9月に発売された小寺無人先生のデビュー作であり、第2回黒猫ミステリー賞受賞作品。本当に失礼なことではあるのだが、本作を読むまで僕は小寺先生のことを「Xに美味そうな料理の写真を投稿し続けている、少し変わった読書好きの人」だと思っていた。しかし、本作を読んで驚愕!こんなにも面白い作品を書く人だったのか…。

文章が簡潔で読みやすいのに、内容は重厚で民俗学要素も完璧。終盤のシーンではかなりハラハラさせられたし、ラストに待ち受ける怒涛の伏線回収も見事。加えて、度々登場する料理がマジで美味しそうで、読んでいてお腹が空いてくる。読み終わったら、とりあえずコーラが飲みたくなること間違いなし。読書初心者にも自信をもっておススメできる名作

 

今月は以上。また来月。

2024年 8月 読書記録&おすすめ本&酷評本

どうも、ゆかりごはんです。

いつもは毎週土日に一週間分の読書記録をブログにまとめて投稿していたのだが、8月は飲み会や会社の行事に追われて十分に時間を取れなかった…。そのため、今月は読んだ本の感想を、一つの記事にまとめて書いていこうと思う。

今月の読了作品数は以下の21作である。その中でも、本当に面白くておススメしたい作品については詳しく感想を書いたので是非読んでほしい。

 

死霊魔術の容疑者/駄犬

成瀬は信じた道をいく/宮島未奈

100回泣いても変わらないので恋することにした。/堀川アサコ

姑獲鳥の夏/京極夏彦

変な家/雨穴

斬首の森/澤村伊智

いまさら翼といわれても/米澤穂信

白夜行/東野圭吾

忘却のレーテ/法条遥

スターティング・オーヴァー/三秋縋

三日間の幸福/三秋縋

みぃちゃんとかくれんぼ/植原翠

殺戮に至る病/我孫子武丸

人間の顔は食べづらい/白井智之

向日葵の咲かない夏/道尾秀介

運命屋~幸せの代償は過去の思い出~/植原翠

許されようとは思いません/芦沢央

教祖の作り方/真梨幸子

ルビンの壺が割れた/宿野かほる

銃とチョコレート/乙一

死んだ石井の大群/金子玲介

 

↓以下、今月のおススメ作品です。読んだことない作品があれば、是非読んでください。

向日葵の咲かない夏/道尾秀介

夏休みを迎える終業式の日。先生に頼まれ、欠席した級友の家を訪れた。きい、きい。妙な音が聞こえる。S君は首を吊って死んでいた。だがその衝撃もつかの間、彼の死体は忽然と消えてしまう。一週間後、S君はあるものに姿を変えて現れた。「僕は殺されたんだ」と訴えながら。僕は妹のミカと、彼の無念を晴らすため、事件を追いはじめた。あなたの目の前に広がる、もう一つの夏休み。

評価:★★★★★★★★★☆

クラスメイトの首吊り死体が消失した謎を追うミステリ小説。小説界にその名を轟かせている道尾秀介の代表作である大ベストセラー作品。恥ずかしながら、僕はこれまで道尾秀介作品を読んでおらず、本作が初めての道尾秀介作品となった。

感想はねぇ…あのねぇ…めっちゃくちゃ面白かった!所々違和感があって、「これどういう事?」と思いながら読んでいたら、終盤で全ての謎が繋がってびっくり仰天!すげぇぇ!!プロットの完成度が異常に高く、一筋縄ではいかない終わり方も最高。問答無用の大傑作小説。読書好きの全人類におススメ。

 

姑獲鳥の夏/京極夏彦

この世には不思議なことなど何もないのだよ――古本屋にして陰陽師(おんみょうじ)が憑物を落とし事件を解きほぐす人気シリーズ第1弾。東京・雑司ヶ谷(ぞうしがや)の医院に奇怪な噂が流れる。娘は20箇月も身籠ったままで、その夫は密室から失踪したという。文士・関口や探偵・榎木津(えのきづ)らの推理を超え噂は意外な結末へ。

評価:★★★★★★★★★☆

ついに手を出してしまった、百鬼夜行シリーズ第一弾。読む鈍器と呼ばれるほど極太な怪奇ミステリ小説。ずっと気になってはいたのだが、如何せん一冊一冊が分厚すぎて後回しにしてしまっていた。ただ、今以上に仕事が忙しくなってくると本シリーズをゆっくり読む時間は一生とれないかも…そんなのは嫌だ!と思い、お盆休みを利用して一作目を読了。

感想としては、物凄く面白い作品でした!本作を一文で表すと、壮大で重厚な超絶怒涛バカミス作品バカミスなんだけど、伏線と物語の緻密さが正気の沙汰ではなく、至極のエンタメ小説に仕上がっている。「バカミスだけど、バカミス言ってはいけない雰囲気がある傑作」みたいな評論を見かけたのだが、まさしくその通りだと思う。極太のバカミスエンタメ小説を読みたい人におススメ。

 

白夜行/東野圭吾

1973年、大阪の廃墟ビルで一人の質屋が殺された。容疑者は次々と浮かぶが、事件は迷宮入りする。被害者の息子・桐原亮司と「容疑者」の娘・西本雪穂――暗い目をした少年と、並外れて美しい少女は、その後、全く別の道を歩んでいく。二人の周囲に見え隠れする、いくつもの恐るべき犯罪。だが、証拠は何もない。そして19年……。伏線が幾重にも張り巡らされた緻密なストーリー。壮大なスケールで描かれた、ミステリー史に燦然と輝く大人気作家の記念碑的傑作。

評価:★★★★★★★★★☆

犯罪者の内面は一切描かずに、周囲の人々の視点から事件の真相と犯罪者の異常性を書き表したノワール小説。読書好きを名乗っておいて何だお前はと言われるかもしれないが、本作が初めての東野圭吾作品である。

やっぱり東野圭吾って凄いんだなぁ…というのが一番の感想。そりゃあんだけベストセラー連発するわって感じ。完成度が異次元レベルで、細かな伏線が回収されていくプロットが気持ちよすぎる。800ページを超える文量から放たれる物語は、まさに芸術そのもの。薄暗い白夜の中を彷徨う犯罪者の逃避行に心を震わされた。超絶大傑作。

 

三日間の幸福/三秋縋

どうやら俺の人生には、今後何一つ良いことがないらしい。寿命の“査定価格”が一年につき一万円ぽっちだったのは、そのせいだ。 未来を悲観して寿命の大半を売り払った俺は、僅かな余生で幸せを掴もうと躍起になるが、何をやっても裏目に出る。空回りし続ける俺を醒めた目で見つめる、「監視員」のミヤギ。彼女の為に生きることこそが一番の幸せなのだと気付く頃には、俺の寿命は二か月を切っていた。 ウェブで大人気のエピソードがついに文庫化。 (原題:『寿命を買い取ってもらった。一年につき、一万円で。』)

 
 
評価:★★★★★★★★★★

8回目の再読。将来に悲観して寿命を残り3ヶ月まで30万円で売った男が、本当の幸福を知るまでのハートフルストーリー。先に言っておくが、僕は三秋縋先生の大ファンである。「げんふうけい」名義の作品も全て読んでいるし、書籍も全作初版で揃えている。そんな僕が自信をもっておすすめできる三秋縋作品、それが本作『三日間の幸福』である。

愛し合える人、変わり映えのない日常、それがいかに幸福か。絶望の中に見る希望の何と美しいことか。僕と言う人間を形作った、思い入れのある超絶傑作。ラノベテイストで読みやすいため、読書初心者にも超おススメ。みんな読んでくれ…っ!

 

いまさら翼といわれても/米澤穂信

「ちーちゃんの行きそうなところ、知らない?」夏休み初日、折木奉太郎にかかってきた〈古典部〉部員・伊原摩耶花からの電話。合唱祭の本番を前に、ソロパートを任されている千反田えるが姿を消したと言う。千反田は今、どんな思いでどこにいるのか――会場に駆けつけた奉太郎は推理を開始する。千反田の知られざる苦悩が垣間見える表題作ほか、〈古典部〉メンバーの過去と未来が垣間見える、瑞々しくもビターな全6篇。

評価:★★★★★★★★☆☆

青春ミステリの金字塔、〈古典部〉シリーズ6作目。古典部メンバーの成長が感じられる、全6編からなる短編集。

個人的に、古典部シリーズ最高傑作。ミステリの質も高いし、キャラの深掘りも凄い。特に、伊原が大好きになった。ああいう芯のある女性キャラ…良いよね…。本当に早く続きが読みたい!その前にアニメを全部見ねば!

 

成瀬は信じた道をいく/宮島未奈

唯一無二の主人公、再び。
……と思いきや、まさかの事件発生!?
10万部突破の前作に続き、読み応え、ますますパワーアップの第2作!


成瀬の人生は、今日も誰かと交差する。
「ゼゼカラ」ファンの小学生、娘の受験を見守る父、近所のクレーマー(をやめたい)主婦、観光大使になるべくしてなった女子大生……。
個性豊かな面々が新たに成瀬あかり史に名を刻む中、幼馴染の島崎が故郷へ帰ると、成瀬が書置きを残して失踪しており……!?
面白さ、ますますパワーアップの全5篇!

評価:★★★★★★★★☆☆

本屋大賞を受賞して、文字通り天下をとった成瀬シリーズの2作目。変わり者の成瀬と、彼女を取り巻く人々の日常を描いた連作短編集。今作では、成瀬以外の人も結構変人揃いで、読んでいて非常に楽しかった。

もちろん、本作でも成瀬の魅力は大爆発。そこに関しては他の追随を許さない。だけれども、個人的には島崎がMVP。最終話を読むと、やっぱり成瀬の相方は島崎しかいねぇってなる。親友っていいよなぁ…。最高に面白かった。

 

殺戮に至る病/我孫子武丸

永遠の愛をつかみたいと男は願った―。東京の繁華街で次々と猟奇的殺人を重ねるサイコ・キラーが出現した。犯人の名前は、蒲生稔!くり返される凌辱の果ての惨殺。冒頭から身も凍るラストシーンまで恐るべき殺人者の行動と魂の軌跡をたどり、とらえようのない時代の悪夢と闇を鮮烈無比に抉る衝撃のホラー。

評価:★★★★★★★☆☆☆

傑作と名高い、快楽殺人鬼を追うサスペンス小説。本作に関して、僕は未読の状態でド級のネタバレをくらってしまっていた(マジで根幹に関わるレベル)。そのため、少し読む気が失せてしまい、今の今まで積んでいたのだが、そろそろ読まないと一生読まなくなる気がしたので読了。

これはネタバレ無しで読みたかったなぁ!というのが1番の感想…。初見で読んでたら超絶極上の衝撃を味わえたんだろうなぁ…。悔しい。でも、サスペンス作品としても極太で面白く、最後まで楽しんで読めた。文句なしの傑作だと思う。少しでも興味がある方は、ネタバレを食らう前に是非読んでほしい!

 

今月は以上。

2024年 7月 4週目 読書記録まとめ『遠まわりする雛』『ふたりの距離の概算』『ハサミ男』他3作

どうも、ゆかりごはんです。

今週も読んだ本の感想をまとめていこうと思う。今週読んだのは以下の6作である。

 

遠まわりする雛/米澤穂信

省エネをモットーとする折木奉太郎は〈古典部〉部員・千反田えるの頼みで、地元の祭事「生き雛まつり」へ参加する。十二単をまとった「生き雛」が町を練り歩くという祭りだが、連絡の手違いで開催が危ぶまれる事態に。千反田の機転で祭事は無事に執り行われたが、その「手違い」が気になる彼女は奉太郎とともに真相を推理する。あざやかな謎と春に揺れる心がまぶしい表題作ほか〈古典部〉を過ぎゆく1年を描いた全7編。<古典部>シリーズ第4弾!

評価:★★★★★★★☆☆☆

古典部〉シリーズ4作目にして、7編からなる連作ミステリ短編集。短編集ではあるが、登場人物の内面描写が繊細に描かれ、読み応え十分で面白かった。特に、福部と伊原の恋愛模様を掘り下げたのは凄く良かった。高校生特有の面倒くささが癖になる。

ちなみに、本作のアニメは未視聴なのだが、どうやらここまでがアニメ化の範囲らしい。表題作「遠まわりする雛」とかめちゃくちゃアニメ映えしそう。しかも、京アニ作品らしいので、完成度は保証されているも同然。アニメ見るかぁ。

 

ふたりの距離の概算/米澤穂信

春を迎え高校2年生となった奉太郎たちの<古典部>に新入生・大日向友子が仮入部する。千反田えるたちともすぐに馴染んだ大日向だが、ある日、謎の言葉を残し、入部はしないと告げる。部室での千反田との会話が原因のようだが、奉太郎は納得できない。あいつは他人を傷つけるような性格ではない──。奉太郎は、入部締め切り日に開催されたマラソン大会を走りながら、心変わりの真相を推理する! 大人気青春ミステリ、<古典部>シリーズ第5弾!

評価:★★★★★★★☆☆☆

古典部〉シリーズ5作目。マラソン大会を舞台として、新入生が古典部を辞めてしまった理由を紐解く青春ミステリ小説。これまでの作品を読んできたからこそわかる登場人物たちの信頼関係を土台とした謎解きが繰り広げられる本作。

些細なすれ違いによって起きる日常的な事件を書かせたら、米澤穂信先生の右に出る者はいないと確信した。本当にこのシリーズ面白い。次巻でとりあえず刊行分は最後というのは聞いているので、なんだか悲しい気持ち…。

 

ハサミ男/殊能将之

美少女を殺害し、研ぎあげたハサミを首に突き立てる猟奇殺人犯「ハサミ男」。3番目の犠牲者を決め、綿密に調べ上げるが、自分の手口を真似て殺された彼女の死体を発見する羽目に陥る。自分以外の人間に、何故彼女を殺す必要があるのか。「ハサミ男」は調査をはじめる。精緻にして大胆な長編ミステリの傑作!

評価:★★★★★★★★☆☆

猟奇殺人鬼:ハサミ男模倣犯の行方を追うサイコミステリー小説。ハサミ男と警察官の二人の視点から描かれる作品。どんでん返しの金字塔とのことで、ハードルを天元突破させつつ読了した

いやぁ、面白かった!どんでん返しはもちろんなのだが、サイコミステリー要素も完成度が高く、終始ワクワクしながら読めた。ハサミ男の、全体的に少しずつ普通とズレていてイカれてる感じがたまらない。傑作と評価されるのも納得

 

天才少女は重力場で踊る/緒乃ワサビ

「わたしとあなたが恋をしないと、世界は終わる」
不機嫌な美少女 × タイムパラドックス × 暴走する量子
「白昼夢の青写真」が話題のノベルゲー界の超新星、降臨!

卒業単位欲しさに訪れた研究室で俺を迎えたのは、
目鼻立ちは整っているが、異様なまでに不機嫌な少女だった。信じられないことだが、彼女は17歳にして既に教授だという。いちいち突っかかる彼女にはうんざりだったが、背に単位は変えられない。俺はいくつかの条件を受け入れた。
もう一人の老教授になだめられ、連れて行かれた先は、駅前にあるパチンコ屋の跡地。何だか分からないまま階段を下りると、そこには見たこともない巨大な機械があった。
それは、
未来との交信を可能にするリングレーザー通信機。起動実験の後、うっかり未来を観測してしまった俺は、自分と世界の存在を不安定なものにしてしまう。
世界を救う、たった一つの方法とは?

評価:★★★★☆☆☆☆☆☆

「私とあなたが恋をしないと世界は終わる」という未来の天才からのメッセージを受け取った主人公が、現代の彼女を惚れさせるために奮闘する青春SF。表紙とあらすじが僕好みすぎて衝動買いしてしまった作品

ストーリー自体は想定していたよりもあっさりしていたけれでも、オチは綺麗で読後感は爽快。やっぱりハッピーエンドって良いねぇ。シュタインズ・ゲート好きな人は確実にハマると思う。

 

名のないシシャ/山田悠介

人間の寿命を予知し、運命を変える力を持つ名無しの少年は、少女・玖美から“テク”という名前をもらう。しかし永遠に大人になることはないテクと、成長していく玖美の間には避けられない別れの運命が迫っていて!?

評価:★★★★☆☆☆☆☆☆

人間に寿命を分け与えることができるシシャたちの視点から描かれる群像劇作品。シシャたちが大事にしたい人達に出会って、友好を深めていくシーンが凄く面白かった。後半の展開は好き嫌い別れる感じだが、個人的には良し。

久し振りに山田悠介の作品を読んだが、やっぱり読みやすくて面白い!よくもまぁこんなに面白い設定をポンポン思いつくものだなぁ、と尊敬している。未読作品がまだ何作か残ってるので、今後も少しずつ読んでいこうかな。

 

ラン・オーバー/稲庭淳

湊里香が転校してきてから、クラスは一変する。いじめのターゲットにされても動じない彼女はあるとき伊園を呼び出した。湊に秘密を知られた伊園は、言われるがまま同棲生活をスタートさせる。不思議な彼女は伊園にあることを提案する。それはいじめのリーダーカップルに反撃すること。はじめは気乗りしなかった伊園も、次第に湊の意見に賛同するようになる。いじめのターゲットの原を巻き込み、三人の過激な反逆が始まる。

評価:★★☆☆☆☆☆☆☆☆

イジメと復讐をテーマとした青春バイオレンス小説。安心と信頼の表紙詐欺である。『悪の教典』ならぬ『悪の転校生』って感じのラノベ作品。怒涛の残虐描写が押し寄せて来て、テンポと勢いは抜群。サクサクと人がボロボロになっていく。楽しいね。

ただ、キャラクターとストーリーの練り込みは正直足りていないので評価は辛目。伏線?動機?知るかそんなもん!とばかりにぶん投げるので、細かいことは考えずに読むのが吉

 

今週は以上。また来週。