ゆかりごはんの縁結び -読書記録-

とにかく面白い小説が読みたい…!

2024年5月 3週目 読んだ本まとめ『儚い羊たちの祝宴』『恋に至る病』『早朝始発の殺風景』『秋雨物語』他2作

どうも、ゆかりごはんです。

今週も、読んだ本の感想をまとめていこうと思う。今週読んだのは以下の6作である。

 

儚い羊たちの祝宴/米澤穂信

夢想家のお嬢様たちが集う読書サークル「バベルの会」。夏合宿の二日前、会員の丹山吹子の屋敷で惨劇が起こる。翌年も翌々年も同日に吹子の近親者が殺害され、四年目にはさらに凄惨な事件が。優雅な「バベルの会」をめぐる邪悪な五つの事件。甘美なまでの語り口が、ともすれば暗い微笑を誘い、最後に明かされる残酷なまでの真実が、脳髄を冷たく痺れさせる。米澤流暗黒ミステリの真骨頂。

「いつか訪れる儚い者へ」

ゾクゾクさせる物語を書かせたら右に出る物はいない天才作家:米澤穂信による、脳髄を冷たく痺れさせるホラーミステリ短編集。今まで読んでなかったことを後悔した超絶弩級の超傑作。

ひたすらに気味の悪い描写が連発され、最後の一行で全てがひっくり返る。そんな極上の文学作品を5編も味わえる贅沢な一冊。とにかく、後味の悪くゾクゾクしたい作品を読みたい方におススメの超傑作である。

 

恋に至る病/斜線堂有紀

僕の恋人は、自ら手を下さず150人以上を自殺へ導いた殺人犯でした――。

やがて150人以上の被害者を出し、日本中を震撼させる自殺教唆ゲーム『青い蝶』。
その主催者は誰からも好かれる女子高生・寄河景だった。
善良だったはずの彼女がいかにして化物へと姿を変えたのか――幼なじみの少年・宮嶺は、運命を狂わせた“最初の殺人”を回想し始める。
「世界が君を赦さなくても、僕だけは君の味方だから」
変わりゆく彼女に気づきながら、愛することをやめられなかった彼が辿り着く地獄とは?
斜線堂有紀が、暴走する愛と連鎖する悲劇を描く衝撃作!

「私はきっと化け物なの」

自殺教祖サイトを運営する大量殺人鬼を彼女に持つ男の葛藤を描いた物語。主人公が愛した彼女は、『愛を知らない化け物』か、それとも『たった一人の男のみを愛した化け物』か。儚くも重たい傑作サイコパス小説。

非常に読みやすい文体で書かれているため、読書が苦手な方にもおススメできる本作。いや、内容的に少し重たすぎるかな…。あらすじを読んで興味が湧いたのであれば、読んでみて損はないだろう。

 

早朝始発の殺風景/青崎有吾

青春は気まずさでできた密室だ――。
今、最注目の若手ミステリー作家が贈る珠玉の短編集。
始発の電車で、放課後のファミレスで、観覧車のゴンドラの中で。不器用な高校生たちの関係が、小さな謎と会話を通じて、少しずつ変わってゆく――。
ワンシチュエーション(場面転換なし)&リアルタイム進行でまっすぐあなたにお届けする、五つの“青春密室劇”。書き下ろしエピローグ付き。

「謎を追いかけているうちに、気付けば彼らを好きになる」
武田綾乃さん、絶賛!

「早朝始発の殺風景」
早朝始発の列車でなぜか出会った同級生(あまり仲はよくない)の思惑はどこにある――?
男女の高校生がガラガラの車内で探り合いの会話を交わす。
「メロンソーダ・ファクトリー」
女子高生三人はいつものファミレスにいた。いつもの放課後、いつものメロンソーダ
ただひとつだけいつも通りでないのは、詩子が珍しく真田の意見に反対したこと。
「夢の国には観覧車がない」
高校生活の集大成、引退記念でやってきた幕張ソレイユランド。気になる後輩もいっしょだ。なのに、なぜ、男二人で観覧車に乗っているんだろう――。
捨て猫と兄妹喧嘩」
半年ぶりに会ったというのに、兄貴の挨拶は軽かった。いかにも社交辞令って感じのやりとり。でも、違う。相談したいのは、こんなことじゃないんだ。
「三月四日、午後二時半の密室」
煤木戸さんは、よりによって今日という日に学校を欠席した。
そうでもなければ、いくらクラス委員だとしても家にまでお邪魔しなかっただろう。
密室の中のなれない会話は思わぬ方にころがっていき――。
「エピローグ」
登場人物総出演。読んでのお楽しみ。

「青春ってきっと、気まずさでできた密室なんだ」

現在、『地雷グリコ』で三冠を達成しとんでもないことになっている作家:青崎有吾による、日常の中の小さな謎を解きほぐす青春ミステリ短編集。死人が出ないミステリでこの完成度は目を見張るものがある。

高校生特有の青臭さと、少し不思議なミステリ要素が丁度良い塩梅で融合されている傑作。易しい文体で紡がれる鮮やかな論理展開は見事で、読後感も非常にスッキリ。読書初心者の方にもおススメである。

 

秋雨物語/貴志祐介

生きながら、地獄に堕ちるということ――。恐るべき新シリーズ始動!

失踪した作家・青山黎明が遺した原稿。それは彼を長年悩ませる謎の転移現象の記録だった。転移に抵抗する青山だったが、更なる悪夢に引きずり込まれていく(「フーグ」)。ある呪いを背負った青年の生き地獄、この世のものとは思えないある絶唱の記録など、至高のホラー4編による絶望の連作集。『黒い家』『天使の囀り』『悪の教典』……いくつもの傑作を生み出した鬼才・貴志祐介が10年以上にわたり描き続けた新シリーズが遂にベールを脱ぐ。

「生きながら、地獄に落ちるということ」

エンタメの神:貴志祐介による、異常なまでのリーダビリティを誇り、重厚感のあるホラー短編4作を収録した短編集。どの作品も、「世にも奇妙な物語」感があって非常に楽しめた。

衝撃的な結末に向かって徐々に加速していく感じがたまらなく心地よかった。一作のページ数はそこまで長くないため、貴志祐介入門作品としてもおススメである

 

梅雨物語/貴志祐介

貴志祐介が描くホラーミステリの極北 。あなたの罪が、あなたを殺す。

・命を絶った青年が残したという一冊の句集。元教師の俳人・作田慮男は教え子の依頼で一つ一つの句を解釈していくのだが、やがて、そこに隠された恐るべき秘密が浮かび上がっていく。(「皐月闇」)
・巨大な遊廓で、奇妙な花魁たちと遊ぶ夢を見る男、木下美武。高名な修験者によれば、その夢に隠された謎を解かなければ命が危ないという。そして、夢の中の遊廓の様子もだんだんとおどろおどろしくなっていき……。(「ぼくとう奇譚」)
・朝、起床した杉平進也が目にしたのは、広い庭を埋め尽くす色とりどりの見知らぬキノコだった。輪を描き群生するキノコは、刈り取っても次の日には再生し、杉平家を埋め尽くしていく。キノコの生え方にある規則性を見いだした杉平は、この事態に何者かの意図を感じ取るのだが……。(「くさびら」)

想像を絶する恐怖と緻密な謎解きが読者を圧倒する三編を収録した、貴志祐介真骨頂の中編集。

「夏銀河 うるまの島の 影黒く」

貴志祐介の作品をもう一つ。本作は、貴志祐介の持ち味が爆発した傑作ホラーミステリ中編集である。個人的には、『秋雨物語』よりもこちらをおススメしたい。

生理的嫌悪すら感じる極悪人たちが憂き目を見る中編3編を収録している本作。どの話も貴志祐介特有の蘊蓄に溢れており、読み応え抜群で大満足できた。個人的には、最後の「くさびら」が儚くも美しい物語ですごく好みだった。

 

火車/宮部みゆき

休職中の刑事、本間俊介は遠縁の男性に頼まれて彼の婚約者、関根彰子の行方を捜すことになった。自らの意思で失踪、しかも徹底的に足取りを消して――なぜ彰子はそこまでして自分の存在を消さねばならなかったのか? いったい彼女は何者なのか? 謎を解く鍵は、カード社会の犠牲ともいうべき自己破産者の凄惨な人生に隠されていた。山本周五郎賞に輝いたミステリー史に残る傑作。

「幸せになりたかっただけ」

サスペンス作品を書かせたら最強の作家:宮部みゆきによる超絶傑作社会派ミステリ小説。自己破産した過去を暴かれて失踪した婚約者の行方を追っていくサスペンス物語である。

本作は13年振りに再読したのだが、めちゃくちゃ面白かった。昔読んだ時も面白いと思ったのだが、再読した時の方が楽しめた気がする。読まなきゃ損と胸を張って言える超絶傑作である

次々に生まれる謎が複雑に絡み合い、1つの真実を形作っている構成は非常に素晴らしい。ローン破産の怖さを煮詰めた描写は本当に凄惨である。本当にお金って怖い…と思わざるを得ない。

 

今週は以上。また来週。

2024年5月 2週目 読んだ本まとめ『でぃすぺる』『滅びの園』『〔少女庭国〕』『私が大好きな小説家を殺すまで』他2作

どうも、ゆかりごはんです。

今週は、Xのフォロワーさんがおススメしていた小説を中心に6作読了した。早速紹介していこうと思う。

 

『でぃすぺる』今村昌弘

『屍人荘の殺人』の著者が仕掛ける
ジュブナイル×オカルト×本格ミステリ

小学校最後の夏休みが終わった。小学校卒業まであと半年。
ユースケは、自分のオカルト趣味を壁新聞作りに注ぎ込むため、〝掲示係〟に立候補する。この地味で面倒だと思われている掲示係の人気は低い。これで思う存分怖い話を壁新聞に書ける!……はずだったが、なぜか学級委員長をやると思われたサツキも立候補する。

優等生のサツキが掲示係を選んだ理由は、去年亡くなった従姉のマリ姉にあった。
マリ姉は一年前の奥神祭りの前日、グラウンドの真ん中で死んでいた。現場に凶器はなく、うっすらと積もった雪には第一発見者以外の足跡は残されていなかった。つまり、自殺の可能性はなく、マリ姉を殺した犯人が雪が積もる前に凶器を持ち去ったはず。犯人はまだ捕まっていない。

捜査が進展しない中、サツキはマリ姉の遺品のパソコンの中に『奥郷町の七不思議』のファイルを見つける。それは一見地元に伝わる怪談話を集めたもののようだったが、どれも微妙に変更が加えられている。しかも、『七不思議』のはずなのに六つしかない。警察がこの怪談に注目することはなかった。そして、マリ姉に怪談を集める趣味がなかったことをサツキはよく知っている。

マリ姉がわざわざ『七不思議』を残したからには、そこに意味があるはず。
そう思ったサツキは掲示係になり『七不思議』の謎を解こうとする。ユースケはオカルト好きの観点から謎を推理するが、サツキはあくまで現実的にマリ姉の意図を察しようとする。その二人の推理を聞いて、三人目の掲示係であるミナが冷静にジャッジを下す……。

死の謎は『奥郷町の七不思議』に隠されているのか? 三人の〝掲示係〟が挑む小学校生活最後の謎。
こんな小学6年生でありたかった、という思いを掻き立てる傑作推理長編の誕生です。

「幽霊なんてありえないから」

傑作ミステリ小説である『屍人荘の殺人』の作者:今村昌弘が贈る、ジュブナイル×オカルト×本格ミステリ小説。オカルト要素とミステリ要素を上手く融合させており、エンタメ作品としてかなりレベルの高い作品に仕上がっている。

掲示係として壁新聞を書くことになった小学生3人組が、マリ姉の死の謎を明らかにするべく、唯一の手掛かりである『奥郷町の七不思議』の解明に挑む物語である。主人公たちは小学生であることが、本作のミソである。小学生であるが故の行動制限(移動手段の限定、活動時間の制限等)がある中で、事件の闇に切り込んでいく3人組にハラハラドキドキさせられた。

結末も、もしかしたら賛否両論あるのかもしれないが、予想の裏の裏をかいており僕個人としては非常に満足した。僕のようなライトなミステリ好きには文句なしにおススメできる傑作である

 

『滅びの園』恒川光太郎

わたしの絶望は、誰かの希望。

ある日、上空に現れた異次元の存在、<未知なるもの>。
それに呼応して、白く有害な不定形生物<プーニー>が出現、無尽蔵に増殖して地球を呑み込もうとする。
少女、相川聖子は、着実に滅亡へと近づく世界を見つめながら、特異体質を活かして人命救助を続けていた。
だが、最大規模の危機に直面し、人々を救うため、最後の賭けに出ることを決意する。
世界の終わりを巡り、いくつもの思いが交錯する。壮大で美しい幻想群像劇。

「死ぬときゃ死ぬってだけ」

独特の世界観を構築させることに関しては他の追随を許さない作家:恒川光太郎が贈る、異世界ファンタジーと地球滅亡SFを掛け合わせた挑戦的な群像劇作品。350ページほどの長さであるにも関わらず、恒川ワールド全開で満足度が非常に高い。立場の異なる複数人の視点から物語が進んでいき、ラストまでノンストップで突っ込んでいく。

異次元の存在〈未知なるもの〉が急に地球に襲来し、白く有害な不定形生物〈プーニー〉がありとあらゆる場所に出現。それにより、人類は滅亡の危機に瀕してしまう。絶滅の危機に直面した人類は、〈プーニー〉とどう対峙するのか。〈未知なるもの〉をどう退けるのか。SF初心者にもおススメできる名作である

 

『〔少女庭国〕』矢部嵩

卒業式会場に向かっていた中3の羊歯子は、気づくと暗い部屋で目覚めた。隣に続くドアには貼り紙が。“下記の通り卒業試験を実施する。ドアの開けられた部屋の数をnとし死んだ卒業生の人数をmとする時、n-m=1とせよ"。ドアを開けると同じく寝ていた女生徒が目覚め、やがて人数は13人に。不条理な試験に、彼女たちは…。中3女子は無限に目覚め、中3女子は無限に増えてゆく。これは、女子だけの果てしない物語。

〈ドアの開けられた部屋の数をnとし死んだ卒業生の人数をmとする時、n-m=1とせよ。〉

表紙詐欺も甚だしい超絶弩級の劇薬本。あらすじを読んだだけでは、本作を閉鎖空間でのデスゲーム物だとしか思わないだろう。とんでもない。そんな小さな器に収まるような作品では断じてない。地獄を体現したような問題作である。

本作の第一章では、閉鎖デスゲームとその結末について描かれる。そこまでは良い。本題は、残り3/4を占める補遺から始まるのである。本作は、少女たちの閉鎖デスゲームを無限回試行し、それぞれの試行の結末を研究レポート形式でまとめた作品である

ほとんどの試行では、少女たちが殺しあったり自殺したり衰弱したりであっさりと終了する。しかし、奇跡的な確率で少女たちは文明を築き始めるのだ。食糧や道具はもちろん”少女”で補っていく。少女たちの中でランク付けが行われ、奴隷制度が顕現し出し、崇拝や信仰が生まれていく。それでも、大抵の文明は何らかの障壁に阻まれ瓦解する。本作は、そうした人類史を追体験できる怪作である。本作に手を出す際は、相応の覚悟を持った方が良い。

 

『私が大好きな小説家を殺すまで』斜線堂有紀

なぜ少女は最愛の先生を殺さなければならなかったのか?

突如失踪した人気小説家・遥川悠真。その背景には、彼が今まで誰にも明かさなかった少女の存在があった。
遥川悠真の小説を愛する少女・幕居梓は、偶然彼に命を救われたことから奇妙な共生関係を結ぶことになる。しかし、遥川が小説を書けなくなったことで事態は一変する。梓は遥川を救う為に彼のゴーストライターになることを決意するが――。才能を失った天才小説家と彼を救いたかった少女、そして迎える衝撃のラスト! なぜ梓は最愛の小説家を殺さなければならなかったのか?

「私の神様は、ずっと死に損ね続けていたのだ」

本作は、天才小説家に命を救われた少女が、その小説家のゴーストライターとして生きていく話である。基本的に、天才小説家を殺した少女の目線から物語が紡がれていき、少女の周りを取り巻く異常な環境、天才小説家に対する崇拝に近い感情が明らかとなっていく構成となっている。

正直、オチは序盤の時点で察しがついていたのだが、オチまでの物語の運び方が非常に丁寧で引き込まれた。幸せだったはずの天才小説家との生活が、ほんの些細なすれ違いで徐々に崩れていき、最悪な結末に転がり落ちていく。信仰にも近い純愛が生んだ最悪の結末を、是非みんなにも味わってほしい。

 

『冷蔵庫のように孤独に』村木美涼

14歳の時、ピアノを嫌っていた美咲が出逢ったのは、老齢の父と住むピアノの先生だった。彼女は、発想記号を理解する時は空き地に捨てられた冷蔵庫を思い浮かべればいいと不思議なことを言う。ピアノを好きになる美咲だが、先生には暗い過去があるようで……

「最初から一人きりなら」

本作は、1枚の冷蔵庫の写真から始まる、温かくも切ないミステリ小説である。ジャンルは一応ミステリなのだと思うのだが、本作の本題は、自分らしく生きることの大切さである

自分がこの世界に存在して良い理由付けとしてピアノを弾き続けていた主人公が、事件の真相を通して前に一歩踏み出そうとする姿には感動した。心理描写も繊細で、どこか儚さを感じさせる透明感のある作品だ。ミステリとしても完成度が高く、全ての謎が冷蔵庫に収束していくのも見事。読んだ後、少し前向きになれる名作である

 

『ハンチバック』市川沙央

第169回芥川賞受賞。
選考会沸騰の大問題作!

「本を読むたび背骨は曲がり肺を潰し喉に孔を穿ち歩いては頭をぶつけ、私の身体は生きるために壊れてきた。」

井沢釈華の背骨は、右肺を押し潰すかたちで極度に湾曲している。
両親が遺したグループホームの十畳の自室から釈華は、あらゆる言葉を送りだす――。

「私の身体は生きるために壊れてきた」

本作は、障がい者目線での健常者の特権性を語った小説である。健常者にとっての普通が、障がい者には嫉妬と憎悪の対象となる。本作を読んで、自分の考えの至らなさを実感した。

特に心に残ったのは、障がい者は普通の読書を行うことすら苦痛が伴うというエピソードである。紙の小説こそ至高、という読書家のしょうもない驕りを徹底的に叩き潰すようなパワーのある描写が続き、読んでいて胸が苦しくなった。

読んでしまったが最後、何かしら読者の中にしこりを残す。色々と考えさせられる怪物小説である。賛否両論あるのも納得だが、少なくとも僕個人としては本作に出会えて良かったと思っている。

 

以上。また来週。

2024年5月 1週目 読んだ本まとめ『[映]アムリタ』『砂漠』『ある日、爆弾がおちてきて』『夜行』

どうも、ゆかりごはんです。

今年のゴールデンウィークは、友人達と会うために大阪から東京まで縦横無尽に駆け巡り、非常に忙しい毎日だった。そのため、計画していたよりも本を読む時間が取れなかった。そんな中でも、なんとか読めた4作を今回は紹介していこうと思う。

 

『[映]アムリタ』野﨑まど

芸大の映画サークルに所属する二見遭一は、天才とうわさ名高い新入生・最原最早がメガホンを取る自主制作映画に参加する。
だが「それ」は“ただの映画”では、なかった――。
TVアニメ『正解するカド』、『バビロン』、劇場アニメ『HELLO WORLD』で脚本を手掛ける鬼才・野崎まどの作家デビュー作にして、電撃小説大賞にて《メディアワークス文庫賞》を初受賞した伝説の作品が新装版で登場!
貴方の読書体験の、新たな「まど」が開かれる1冊!

「私たちの作る映画はとても素敵なものになりますよ」

東京池袋のジュンク堂にてようやく手に入れた、野﨑まど6部作シリーズの1作目。僕が住む田舎町では、どの本屋を回っても新品が手に入らず、新品で集めるのを半ば諦めていたシリーズである。やはり東京は全てを解決する…。

本作は、ライトノベルという皮を被っている、超絶弩級の劇薬本である。何を言ってもネタバレになってしまうため、とにかく読んでとしか言いようがない。青春であり、コメディであり、ミステリーであり、ホラーであり…ジャンル不明の超傑作だ。

本作を前情報ほぼナシで読めたことを非常に嬉しく思う。とんでもないモノを読んでしまったという鳥肌必至のモゾモゾとした読後感を、皆さんにも是非味わってほしい。さぁ、皆も天才映画監督に振り回されようではないか。

 

『砂漠』伊坂幸太郎

仙台市の大学に進学した春、なにごとにもさめた青年の北村は四人の学生と知り合った。
少し軽薄な鳥井、不思議な力が使える南、とびきり美人の東堂、極端に熱くまっすぐな西嶋。
麻雀に勤(いそ)しみ合コンに励み、犯罪者だって追いかける。
一瞬で過ぎる日常は、光と痛みと、小さな奇跡で出来ていた――。
明日の自分が愛おしくなる、一生モノの物語。

「砂漠に雪を降らせたいんだよ」

ユニークな大学生たちが織りなす少し不思議な青春物語を描く今作。砂漠という名の社会に出るまでの猶予期間、大学生活というオアシスを描いた傑作である伊坂幸太郎節全開で、読んでいて非常に心地よく、また、ワクワクさせられる。

飲み会、ボウリング、合コン、麻雀といった大学生活の代名詞ともいえるイベントはもちろんのこと、通り魔探しや超能力対決などの少し不思議なイベントまで描かれる本作。読んでいるだけで、大学生に戻りたくなってくる。あの頃は楽しかったなぁ。

ただ、社会人になった今だからこそ言いたい。砂漠もそんなに悪いところじゃないぞ!………なんてことは、まるでない。

 

ある日、爆弾がおちてきて古橋秀之

奇才・古橋秀之の不朽の名作が、書き下ろし短編を加えて復刊!

「私、爆弾なんです」--ある日、空から落ちてきたのは、高校時代に気になっていた人とそっくりな女の子で……。奇才・古橋秀之が贈る、すこしふしぎなボーイ・ミーツ・ガール。書き下ろし短編を加えてリバイバル!

「人間じゃなくて"爆弾"」

約20年前に出版された不朽の名作SF短編集の新装版である本作。時間軸をテーマとした、少し不思議なボーイミーツガール短編8編を収録している。ちなみに、題名にもなっている「ある日、爆弾がおちてきて」は、2013年に世にも奇妙な物語で実写ドラマ化もされている。

本作では、作者である古橋秀之先生の卓越したアイデアセンスが爆発している。時間×ボーイミーツガールという縛りがあるにもかかわらず、全ての話が異なる切り口から描かれており、それら全てが超絶名作である奇跡の短編集だ。本作が時を超えて愛されるのも納得である

 

『夜行』森見登美彦

僕らは誰も彼女のことを忘れられなかった。

私たち六人は、京都で学生時代を過ごした仲間だった。
十年前、鞍馬の火祭りを訪れた私たちの前から、長谷川さんは突然姿を消した。
十年ぶりに鞍馬に集まったのは、おそらく皆、もう一度彼女に会いたかったからだ。
夜が更けるなか、それぞれが旅先で出会った不思議な体験を語り出す。
私たちは全員、岸田道生という画家が描いた「夜行」という絵と出会っていた。
旅の夜の怪談に、青春小説、ファンタジーの要素を織り込んだ最高傑作!

「世界はつねに夜なのよ」

天才・森見登美彦デビュー10周年記念作品として発行された本作。「夜行」と題する連作版画を巡っていくホラー作品である。ただ、単純にホラーと呼んで良いのか少し悩む作風である。

本作は、とにかく綺麗で摩訶不思議で奇妙奇天烈である。脈絡のない描写が連発されるため最初は非常に戸惑っていたが、最終章で驚愕&納得した。頭の中が?で埋まるような奇妙なシーンが多いのにもかかわらず、物語の中に読者を引き込んで離さない筆力はさすがである。

僕の夜はいつ明けるのだろうか。読了後、不思議とそんなことを考えている自分がいた。この本でしか味わえない何かがあることは確かだ。間違いなく名作である。

 

以上。また来週。

2024年4月 4週目 読んだ本まとめ 『エヴァーグリーン・ゲーム』『失はれる物語』『地雷グリコ』『天使の囀り』他4作

どうも、ゆかりごはんです。

つい先日、久々に出会った読友たちと「生涯最高の作品Top5」について酒を飲みながら語り合った。めちゃくちゃ楽しかった。やっぱり、読書を趣味として続けていくにあたっては、本音やネタバレ全開で好きな小説を語れる友人の存在は重要だと思う今日この頃である。

それでは今週も、読んだ本を読書ノートがてらまとめていこうと思う。今週読んだ本は以下の8作だ。

 

エヴァーグリーン・ゲーム』石井仁蔵

「王様のブランチ」で紹介後、大評判!!
【選考委員、絶賛の嵐! 第12回ポプラ社小説新人賞受賞作!!】
世界有数の頭脳スポーツであるチェスと出会い、その面白さに魅入られた4人の若者たち。
64マスの盤上で、命を懸けた闘いが繰り広げられる――!

「勝つために治せよ、絶対に」
小学生の透は、難病で入院生活を送っており、行きたかった遠足はもちろん、学校にも行けず癇癪を起してしまう。そんなとき、小児病棟でチェスに没頭する輝と出会う――。
<年齢より才能より、大事なものがある。もうわかってるだろ?>
チェス部の実力者である高校生の晴紀だが、マイナー競技ゆえにプロを目指すかどうか悩んでいた。ある日、部長のルイに誘われた合コンで、昔好きだった女の子と再会し……?
「人生を賭けて、ママに復讐してやろう。」
全盲の少女・冴理は、母からピアノのレッスンを強要される日々。しかし盲学校の保健室の先生に偶然すすめられたチェスにハマってしまい――。
「俺はただ、チェスを指すこの一瞬のために、生きている。」
天涯孤独の釣崎は、少年院を出たのち単身アメリカへわたる。マフィアのドンとチェスの勝負することになり……!?

そして、彼らは己の全てをかけて、チェスプレイヤー日本一を決めるチェスワングランプリに挑むことに。
チェスと人生がドラマティックに交錯する、熱い感動のエンターテイメント作!

「チェスは、俺の、人生だ」

来た来たァ!!!今年読んだ初見本の中では最強の小説!!エンタメ性No.1!!!ガチで面白い!!!!うおぉぉぉぉぉおおお!!!!!

ふぅ…。少し興奮してしまった。落ち着こう落ち着こう。本作は、チェスに人生を救われてきた4人の若者たちが、文字通り命を懸けて日本一を決める全国大会に挑む熱血物語である。本作の素晴らしい点を挙げればキリがないのだが、あえて1つ挙げるとすれば、登場人物にめちゃくちゃ感情移入できる点である。主人公となる4人の若者は以下のような事情を抱えている。

・200万人に1人の難病を抱えた男子小学生

・いじめを止めようとして報復にあった男子高校生

・生まれつき全盲で、母親から見捨てられた少女

・少年院を出て、アメリカのマフィアグループに属する男性

そして、彼らが生きる支えとしているもの、それが「チェス」なのである。

1章から4章までは、1人ずつ彼らの人生を緻密に描いていき、5章で全員がチェスワングランプリで激突する。彼らが背負っているものを考えると、本当に全員に勝ってほしい。そう思わざるを得ない。しかし、勝負の世界は甘くない。すべての試合において、ちゃんと勝敗は決する。最後は誰が勝つのか、緊迫感や興奮や緊張が頭の中でグチャグチャになり、読んでいる間は脳汁が止まらなかった。

本作は「チェスってあんまり知らないんだよね~」という方にも超絶おススメできる超傑作である。本当に面白い創作物の前では、ゲームの知識の有無などどうでも良いことだ。それは『ヒカルの碁』が証明している。安心して本作を手に取ってほしい。

 

『失はれる物語』乙一

乙一の里程標(マイルストーン)として屹然と立つ短篇集!

事故で全身不随となり、触覚以外の感覚を失った私。ピアニストである妻は私の腕を鍵盤代わりに「演奏」を続ける。絶望の果てに私が下した選択とは? 珠玉7作品に加え書き下ろしの「ウソカノ」を収録!

「ごめんなさい、ありがとう。」

独特の世界観を構築する天才:乙一による、切なさの余韻を感じさせる傑作短編集。全ての物語において、決定的な何かが失われていく。とにかく切なくて、読んでいて苦しい。それにもかかわらず、読後感は決して悪いものではなく、心が満たされた感じがする。そんな不思議な作品である。

個人的に好きだったのが、空想上の携帯電話が他人と繋がってしまう「Calling You」、事故で指以外を一切動かせなくなった男の苦悩「失はれる物語」、事故物件で幽霊と交流する不思議な体験「しあわせは猫のかたち」、彼女がいると嘘をつき続けた非モテ男子同士の友情「ウソカノ」だ。その他の短編ももちろん面白い。外れナシで非常にお得感のある短編集だった。

文体も柔らかく、スラスラ読める作品となっているため、読書初心者にも自信を持っておススメできる傑作である。是非読んでほしい。

 

『地雷グリコ』青崎有吾

ミステリ界の旗手が仕掛ける本格頭脳バトル小説!

射守矢真兎(いもりや・まと)。女子高生。勝負事に、やたらと強い。
平穏を望む彼女が日常の中で巻き込まれる、風変わりなゲームの数々。罠の位置を読み合いながら階段を上ったり(「地雷グリコ」)、百人一首の絵札を用いた神経衰弱に挑んだり(「坊主衰弱」)。次々と強者を打ち破る真兎の、勝負の先に待ち受けるものとは――ミステリ界の旗手が仕掛ける本格頭脳バトル小説、全5篇。

「次のターンで一発逆転します」

天才女子高生がオリジナルゲームに挑む、本格頭脳バトル小説。まず1つ言いたい。僕は頭脳バトル作品が大好きである。小学生の頃に爆ハマりした『ライアーゲーム』を皮切りに、『カイジ』『嘘喰い』『賭ケグルイ』と頭脳バトル漫画を渡り歩いてきた。しかし、最近は頭脳戦作品から離れていた。それは何故か。先に挙げた作品たちがあまりにも素晴らしすぎるからだ。僕の中では、何を読んでも『カイジ』や『ライアーゲーム』の二番煎じに感じてしまい、ロジックを語る主人公のドヤ顔を冷めた目で見るようになってしまったのだ。

そのため、正直なところ、僕は本作をあまり期待せずに読んだ。そして、ハマった。のめり込んだ。超面白れぇ。それが素直な感想である。

本作の良いところ、それはルールが理解しやすい点だ。グリコ、坊主めくり、じゃんけん、だるまさんが転んだ、ポーカーといった、誰でも知っている遊びをベースとしたオリジナルゲームで戦うため、ゲームのルールが頭に入ってきやすい。それなのに、どのゲームも奥深く、読んでいてヒリヒリする。

特に僕が心を掴まれたのが、三本目の「自由律じゃんけん」だ。正直、前二作のグリコと坊主めくりのタネは想定の範囲内であったため、ふーんという感じで読んでいたが、このゲームで完全にやられた。トリックに気づいた瞬間、うおおおぉぉ!!と叫んでいた(心の中で)。久々に脳に血が通った感じがした。最初のゲームにハマらなかったとしても、自由律じゃんけんまでは読んでほしい。いやー、騙された。

シンプルなのに奥深い、ルールの裏をかきまくる熱い攻防戦に心を震わされた。続編が出ればすぐにでも読みたい。頭脳バトル作品の良さを再認識させてくれた、素晴らしい名作。

 

『AX』伊坂幸太郎

最強の殺し屋は――恐妻家。

物騒な奴がまた現れた!
物語の新たな可能性を切り開く、エンタテインメント小説の最高峰!

「兜」は超一流の殺し屋だが、家では妻に頭が上がらない。
一人息子の克巳もあきれるほどだ。
兜がこの仕事を辞めたい、と考えはじめたのは、克巳が生まれた頃だった。
引退に必要な金を稼ぐため、仕方なく仕事を続けていたある日、爆弾職人を軽々と始末した兜は、意外な人物から襲撃を受ける。
こんな物騒な仕事をしていることは、家族はもちろん、知らない。

「カマキリの斧を甘く見てるなよ」

人がとにかく死にまくるでおなじみ、伊坂幸太郎殺し屋シリーズの第三弾。いやー、安定して面白いね。

前二作は本当に殺しをエンタメとした殺戮バトルがメインだったが、今作は少し毛色が違う。家族愛溢れる殺し屋:兜の苦悩を綴った作品である。

一応、連作短編という形を取っており、前半は非常にコミカルな作風、後半はしんみりする作風となっている。笑いあり、涙ありの心温まる物語だ。

先の読めない急展開と、ラストの怒涛の伏線回収は本当にお見事としか言いようがない。安心と信頼の伊坂クオリティである。早く続編である『トリプルセブン』が読みたいと思わせてくれた。間違いなく名作。

 

『天使の囀り』貴志祐介

北島早苗は、ホスピスで終末期医療に携わる精神科医
恋人で作家の高梨は、病的な死恐怖症だったが、新聞社主催のアマゾン調査隊に参加してからは、人格が異様な変容を見せ、あれほど怖れていた『死』に魅せられたように、自殺してしまう。
さらに、調査隊の他のメンバーも、次々と異常な方法で自殺を遂げていることがわかる。
アマゾンで、いったい何が起きたのか?高梨が死の直前に残した「天使の囀りが聞こえる」という言葉は、何を意味するのか?
前人未到の恐怖が、あなたを襲う。

守護天使が、やって来たのだ」

四度目の再読本。貴志祐介黄金期に書かれた伝説のエンタメ全振り本。個人的には貴志祐介作品No.1の傑作である。決して他人におススメはできないが…。

正直に言って、本作は絶対に一般受けしない。ただひたすらに気持ち悪い。ホラーというジャンルではあるものの、恐怖よりも生理的嫌悪が勝る。うげーとなるシーンがかなり多いのだ。それでも、物語にグイグイ引き込まれ、気づけば徹夜で齧り付いて読んでしまう。罪深い小説である。

にしても、「天使の囀り」という表現は本当に貴志センスが爆発していると思う。普通思いつかんて、こんなイカれた比喩表現。こんな激ヤバ作品を多数生み出しているクセして、貴志祐介本人は、自分は虫も殺せないほどの小心者だと語っている。嘘つけ。

 

『罪人の選択』貴志祐介

2年半の沈黙を破り、満を持して世に放つ貴志祐介ワールド全開の作品集。
最新SF「赤い雨」は、パンデミックが起きたときあらわになる人間の本性を描いた、今読むべき一作。
表題作は、著者自身が「ここまで強いテンションを維持した作品は、書いたことがありません」と断言する手に汗握るミステリー。
人間の愚かさが絶望で世界を塗りつぶすとき、希望が一筋の光となって未来を照らし出す。

「素直に考えればいいもんを」

はい、名作。なんたってエンタメの神:貴志祐介が書いたのだから。面白いに決まってるじゃん。とりあえず、一作目から読むかー。………???????????

↑これは、僕が本作を読み始めた時の気持ちを文字に起こしたものである。正直に言おう。一作目の「夜の記憶」は完全にワケわかめ作品である。マジで何が言いたいのかがわからなかった。調べてみると、本格デビュー前に書かれたSF作品だそうだ。それならば納得だ。ふぅー、危ない危ない。貴志祐介でなければ一作目の時点で読むのを止めていたかもしれない。

しかし、残りの三作は神作である。さすがは貴志祐介、めちゃくちゃ面白い。「呪文」「赤い雨」は非常に完成度の高い超エンタメSF作品としてまとまっているし、「罪人の選択」も貴志祐介らしい、人間の愚かさを描いた名作だった。

 

『死神ラスカは謎を解く』植原翠

この出会いは偶然か必然か――

管轄内で連続通り魔事件が起き、連日働きづめで疲労困憊の刑事の霧嶋秀一。
休憩時間に公園でパンを食べていると、近くでカラスたちがエサの取り合いをしていた。
エサの取り合いに負けた小さいカラスを不憫に思い持ってたパンをひと欠片投げ与えると、カラスがお礼を言ったのだった!?
疲れて幻聴が聞こえたと思った霧嶋は次の休みは病院に行こうと決心し、何事もなかったかのように仕事に戻る。
その夜、新たな通り魔事件が起き、霧嶋が現場検証を行っていると「ここは殺された場所じゃない」という全身真っ黒な服を着た不思議な青年が現れ…?

一年前に罪を犯し罰を与えられた死神と一年前に妻を亡くした刑事が事件を解決していく異能力ミステリー。

「あんた、やっぱ性格が悪いな」

警察と死神が手を組んで、数々の事件を解決する異能力ミステリ作品。会話のテンポが心地よく、読んでいて微笑ましい気持ちになった。登場キャラも魅力的で、特に、死神なのに人間よりも人間臭いラスカはめちゃくちゃ僕好みだった。続編も出ているとのことなので、近いうちに読みたいと思っている。読書初心者におススメの作品。是非、手に取って読んでみてほしい。

ちなみに、どうでも良いことではあるのだが、本作の感想をXにてポストしたところ、なんと作者様本人から感謝の引用リプライが飛んできた。それに気づいた僕、焦る焦る。どうしようの五文字で頭の中がパンパンに膨れ上がり、パーン!という音と共に僕の脳は機能を停止した。そして、気づけば僕は、反応に困るであろうコミュ障爆発の駄文を作者様に叩きつけていた。本当に死にたい。何をやっているんだ僕は。作者様が良い人で本当に良かった。誠に申し訳ありませんでした。

 

『小説 葬送のフリーレン 前奏』八目迷

本編にないフリーレンたちの前日譚を小説化

TVアニメも大ヒット中の漫画『葬送のフリーレン』の原作者・山田鐘人氏の監修のもと、本編では描かれていない、フリーレンが“人を知るため”の旅に出るその少し前の物語を、作家の八目迷氏が前日譚として小説化!
フリーレン、フェルン、シュタルク、ラヴィーネ&カンネ、アウラ、それぞれのキャラクターを主人公としたエピソード5編からなる短編小説集。

「今死ぬのは勿体ないと思いますよ」

僕がアホ程ハマっている傑作漫画『葬送のフリーレン』。個人的墓まで持っていく漫画作品10選に堂々ランクインしている。アニメは3周しているし、ポスターや限定グッズは部屋に飾っているし、フリーレン展やフリーレンカフェはGW期間で友人と参戦する予定だ。

本作は、原作のキャラと世界観を舞台にした、原作の内容を補完する前日譚小説である。原作では出番の少ない、ラヴィ×カンコンビやアウラ様が活躍する話もあり、すごく楽しめた。フリーレンファンであれば必読の一冊。

 

今週は以上である。それでは、また。

 

 

2024年4月 3週目 読んだ本まとめ 『兎は薄氷に駆ける』『バスタブで暮らす』『時をかけるゆとり』『運転者』

どうも、ゆかりごはんです。

X(Twitter)で読書用アカウントを作ってみた。なんとなくで始めたのだが、これがまぁ素晴らしい。他の方がポストしている本の感想を読んでいるだけで楽しいし、自分の感想に反応をもらえるのがすごく嬉しい。読みたい本も大量に増えた。積読が…。

それはそれとして、今週も読んだ本を記録がてらまとめて行こうと思う。

 

『兎は薄氷に駆ける』貴志祐介

父の冤罪をすすぐため、 
青年は身命を賭して復讐を誓った。 
――最後に暴かれるのは誰の嘘なのか!? 


ある嵐の晩、資産家男性が自宅で命を落とす。死因は愛車のエンジンの不完全燃焼による一酸化炭素中毒。容疑者として浮かんだ被害者の甥、日高英之の自白で事件は解決に向かうと思われたが、それは15年前の殺人事件に端を発する壮大な復讐劇の始まりだった。警察・検察、15 年前の事件の弁護も担当した本郷、事件調査を請け負う垂水、恋人の千春……。それぞれの思惑が絡み合い、事件は意外な方向に二転三転していく。稀代のストーリーテラーが満を持して放つ、現代日本の“リアルホラー”! 

「やってない。親父は無実です。」

エンタメ界の神様:貴志祐介による法定サスペンス。先に言っておくが、僕は生粋の貴志祐介信者である。中一の頃に『悪の教典』を読んで以来、貴志祐介という四文字が頭の中から離れなくなり、貴志小説を何度も読み返す日々を送っていた。大人になった今でも、無意識に貴志祐介の名をボソボソと呟いたりしてしまう。完全に変質者である。

貴志祐介作品の最大の特徴は、異常なまでのリーダビリティの高さである。一度読み始めるともう止まらない。徹夜確定である。今作もその力は健在であり、500ページ近くあったにもかかわらず一日で読み切ってしまった。

今作のテーマは「冤罪」である。物語は主人公に対する取り調べから始まるのだが、ここからもうかなりキツイ。刑事がゴミすぎる。傷が残らない程度に暴力をふるい、精神的に追い詰め、自白を強要する。コンプラ順守が叫ばれる昨今において、時代錯誤も甚だしい行為である。こうして主人公は嘘の自白をしてしまう。

その後、調査パートと法廷パートが交互に描かれながら、事件の真実が暴かれていく構成となっている。逆転裁判オタクの僕にはたまらない構成である。法廷パートの弁護士と検事のやり取りも凄まじいパワーがあり、まるでその場にいるような迫力が感じられた。やっぱり貴志祐介の筆力は半端ない。

重厚でエンタメ力の高い小説が読みたい人におススメの名作である。

 

『バスタブで暮らす』四季大雅

22歳女子、実家のバスタブで暮らし始める

「人間は、テンションが高すぎる」ーー

磯原めだかは、人とはちょっと違う感性を持つ女の子。
ちいさく生まれてちいさく育ち、欲望らしい欲望もほとんどない。物欲がない、食欲がない、恋愛に興味がない、将来は何者にもなりたくない。できれば二十歳で死にたい……。

オナラばかりする父、二度のがんを克服した母、いたずら好きでクリエイティブな兄、ゆかいな家族に支えられて、それなりに楽しく暮らしてきたけれど、就職のために実家を離れると、事件は起こった。上司のパワハラに耐えかね、心を病み、たった一ヶ月で実家にとんぼ返りしてしまったのだ。

逃げ込むように、こころ落ち着くバスタブのなかで暮らし始めることに。マットレスを敷き、ぬいぐるみを梱包材みたいに詰め、パソコンや小型冷蔵庫、電気ケトルを持ち込み……。さらには防音設備や冷暖房が完備され、バスルームが快適空間へと変貌を遂げていく。

けれど、磯原家もずっとそのままというわけにはいかなくて……。

このライトノベルがすごい!2023」総合新作部門 第1位『わたしはあなたの涙になりたい』の【四季大雅×柳すえ】のコンビで贈る、笑って泣ける、新しい家族の物語。

「人間は、テンションが高すぎる」

先週紹介した名作ミステリ小説『ミリは猫の瞳のなかに住んでいる』の作者:四季大雅によるハートフルストーリー。前作とはかなりジャンルが違う小説なのだが、安定して面白く、作者の筆力の高さが伺える。

今作を要約すると、バスタブに入った主人公が、そこから出るまでの物語である。ただの入浴かな?と思ったそこのあなた。全然違う。物語の序盤で主人公は、上司のパワハラで精神を病んでしまい、実家のバスタブ内で生活するようになる。そこからある事件をきっかけに立ち上がり、自立していくまでの成長物語である。

正直に言って、今作は全体的にハードである。それでも、ラノベらしいコミカルなキャラがたくさん出てくるので、かなりマイルドにはなっている。主人公がバスタブの中で、Vtuber配信を始めたりするところも現代っぽくて良い。後半の方はかなり暗い展開になるのだが、主人公周りの人間たちの明るさで極端に暗くはならないので、そういう話が苦手な方でも楽しめると思う。

「復讐は優雅になされなければならない」カッコ良い…。本作で一番好きなセリフである。やっぱり僕は四季大雅先生の言葉選びが好きだ。難しい言葉を使わずに、スパっと本質を突くような表現が気持ち良い。これからも追わせていただきます。

 

『時をかけるゆとり』朝井リョウ

就職活動生の群像『何者』で戦後最年少の直木賞受賞者となった著者。初のエッセイ集では天与の観察眼を縦横無尽に駆使し、上京の日々、バイト、夏休み、就活そして社会人生活について綴る。「ゆとり世代」が「ゆとり世代」を見た、切なさとおかしみが炸裂する23編。『学生時代にやらなくてもいい20のこと』に社会人篇を追加・加筆し改題。

「エンジョイ♪」

戦後最年少直木賞作家:朝井リョウによるエッセイ集。単刀直入に言おう。アホ程笑える傑作である。本当に『桐島、部活やめるってよ』と同じ作者なのだろうか。バカと天才は紙一重という言葉は彼のためにあるのだと思わされた。

とにかく思いつきで無茶をやり、友人たちとギャハギャハと笑い合い、変人たちとバトルを繰り広げる。楽しそうで良いなぁ…。しかも、そんなバカをしている裏では小説家としての才能を開花させ、直木賞まで取っている。すでに濃厚すぎる人生である。

本作の中で特に好きなエピソードは、夏休みの課題作品として、自分のクラス名簿を基に500ページ超えの『バトル・ロワイアル』を執筆し提出したという話である。先生を序盤で退場させなければいけない都合上、当時の担任を早々に殺してしまい、それが問題視されて職員会議に議題として挙げられる。このエピソードはサラっと流される感じで書かれているのだが、僕は会社で爆笑してしまった。

とにかくバカ笑いしたい人におススメの爆笑必至の傑作エッセイ集。決して公共の場で読まないように。ニヤニヤしすぎて、気持ち悪い人だと思われてしまうので。

 

『運転者』喜多川泰

中年にして歩合制の保険営業に転職し、三年目の修一。
しかし、なかなか思うように成果が上がらない日々を過ごしていた。

ある日、唐突な担当顧客の大量解約を受け、
いよいよ金銭的にも精神的にも窮地に追いやられてしまう。

妻が楽しみにしていた海外旅行計画はキャンセルするしかない。
娘は不登校に陥っているうえに、今後の学費の工面も難しくなるだろう。
さらに長い間帰れていない実家で一人暮らしをしている、母からの電話が心にのしかかる。

「……なんで俺ばっかりこんな目に合うんだよ」

思わず独り言を言ったそのとき、
ふと目の前に、タクシーが近づいてくるのに修一は気がつく。

それは乗客の「運」を「転」ずるという摩訶不思議なタクシーで――?

「上機嫌であり続けることが運を好転させる」

しがないサラリーマンが、タクシーの運転手と出会って人生と向き合っていく作品。運が良いとは何か、考えさせられる素敵な作品だった。

今作は、小説という体をなしている自己啓発本である。運というものは、いつも朗らかで上機嫌で他者に興味を持てる人の元にやってくる、という当然のことに改めて気づかせてくれる。良い小説だ。

 

 

2024年4月 2週目 読んだ本まとめ 『正欲』『宙ごはん』『ミリは猫の瞳のなかに住んでいる』他2作

どうも、ゆかりごはんです。

今週も読んだ本を記録がてらまとめて行こうと思う。僕が今週読んだ小説は、以下の5作である。

 

『正欲』朝井リョウ

あってはならない感情なんて、この世にない。
それはつまり、いてはいけない人間なんて、この世にいないということだ。

息子が不登校になった検事・啓喜。
初めての恋に気づいた女子大生・八重子。
ひとつの秘密を抱える契約社員・夏月。
ある人物の事故死をきっかけに、それぞれの人生が重なり合う。

しかしその繋がりは、"多様性を尊重する時代"にとって、
ひどく不都合なものだった――。

「自分が想像できる"多様性"だけ礼賛して、秩序整えた気になって、
そりゃ気持ちいいよな」

これは共感を呼ぶ傑作か?
目を背けたくなる問題作か?

作家生活10周年記念作品・黒版。
あなたの想像力の外側を行く、気迫の書下ろし長篇。

めちゃくちゃ面白かった…!

ただ面白いというだけではなく、非常に興味深い作品だった。鬼才、朝井リョウが考える「多様性」が存分に詰め込まれている、思想書のような小説である。今の時代、ただマイノリティに寄り添って正義面したいだけの作品は腐るほどある。しかし、この作品はそこから一歩踏み込んだ切り口で書かれている。自分がマイノリティ側の人間だと自覚している人間たちが、本気で今を生きようともがいた結果どうなるのか。その結末は、是非その目で確認してみてほしい。

しかし、こんな問題作とも呼べる作品が本屋大賞にノミネートされ、さらには僕ら世代のスター女優:新垣結衣主演で映画化されるなんて…。ものすごい時代である。僕は基本的に小説/漫画原作の実写映画は見ないのだが、この作品に限ってはかなり気になっている。サブスクに追加されたら見てみようかな。

 

『宙ごはん』町田そのこ

この物語は、あなたの人生を支えてくれる

宙には、育ててくれている『ママ』と産んでくれた『お母さん』がいる。厳しいときもあるけれど愛情いっぱいで接してくれるママ・風海と、イラストレーターとして活躍し、大人らしくなさが魅力的なお母さん・花野だ。二人の母がいるのは「さいこーにしあわせ」だった。
宙が小学校に上がるとき、夫の海外赴任に同行する風海のもとを離れ、花野と暮らし始める。待っていたのは、ごはんも作らず子どもの世話もしない、授業参観には来ないのに恋人とデートに行く母親との生活だった。代わりに手を差し伸べてくれたのは、商店街のビストロで働く佐伯だ。花野の中学時代の後輩の佐伯は、毎日のごはんを用意してくれて、話し相手にもなってくれた。ある日、花野への不満を溜め、堪えられなくなって家を飛び出した宙に、佐伯はとっておきのパンケーキを作ってくれ、レシピまで教えてくれた。その日から、宙は教わったレシピをノートに書きとめつづけた。

弘万歳!!!!弘万歳!!!!

どうも、泰弘信者のゆかりごはんです。この作品を読んであなたも泰弘教の信者となりましょう。…このスタンスは泰弘に怒られそうだから、この辺りでやめておこう。

いやぁ、本当に心温まる良い作品だった本屋大賞ノミネートも納得の名作だ。複雑な家庭環境である宙ちゃんと周りの大人たちが、美味しい料理に勇気をもらいながら成長していく物語である。大人だってダメな部分はいっぱいあるし、闇を抱えて生きている。そこを認めた上でどう生きていくのか。何を他人に与えられるのか。この作品を通して、そういったことを学べた気がする。自分も何か他人に与えられる人間になりたいなぁ。

ちなみに、今作はタイトルからは想像できないほど内容が重い軽い気持ちで読むと心に傷を負うこと間違いなしである。だが、そこを我慢してでも読む価値はあると思うので、どうか頑張って耐えてほしい。絶対に読んで良かったと思えるから。

 

『ミリは猫の瞳のなかに住んでいる』四季大雅

これは「僕」が「君」と別れ、「君」が「僕」と出会うまでの物語だ。

★第29回電撃小説大賞《金賞》受賞作★
読書メーターOF THE YEAR2023-2024 ライトノベル部門第2位☆

瞳を覗き込むことで過去を読み取り追体験する能力を持つ大学生・紙透窈一(かみすきよういち)。退屈な大学生活の最中、彼は野良猫の瞳を通じて、未来視の能力を持つ少女・柚葉美里(ゆずのはみり)と出会う。
猫の瞳越しに過去の世界と会話が成立することに驚くのもつかの間、『ミリ』が告げたのは衝撃的な『未来の話』。

「これから『よーくん』の周りで連続殺人事件が起きるの。だから『探偵』になって運命を変えて」
調査の過程で絆を深める二人。ミリに直接会いたいと願う窈一だったが……
「そっちの時間だと、わたしは、もう――」

死者からの手紙、大学の演劇部内で起こる連続殺人、ミリの言葉の真相──そして、嘘。
過去と未来と現在、真実と虚構が猫の瞳を通じて交錯する、新感覚ボーイミーツガール!

デビュー作『わたしはあなたの涙になりたい』(小学館ガガガ文庫刊)は『このライトノベルがすごい!2023』(宝島社刊)新作部門1位を獲得。
超大型新人が電撃小説大賞の看板を引っ提げて繰り出す衝撃作!

恋愛×SF×ミステリ!要素てんこ盛りの意欲作!

今作は、ありとあらゆる要素をギュギュっと詰め込んだ青春演劇ライトノベルである。いや、この作品すごいよ。間違いなく名作だと思う。どう考えても取っ散らかりそうな設定なのに、1つのミステリ作品として綺麗にまとめ切っている。登場キャラたちも魅力的であるし、ミステリのレベルも非常に高い。終盤の展開も非常に練られていて、見事としか言いようがない。ラノベだからと敬遠するには惜しい作品である

ただ、同時に非常に惜しい作品であるとも言える。今作の設定や話の展開は間違いなく傑作レベルなのだが、1つ大きな欠点がある。それは、恋愛感情の理由付けが甘いことだ。ミリが主人公のことを好きである理由は最後に明かされるのだが、主人公がミリのことを好きになる理由が最後まで曖昧なのだ。言ってしまえば一目惚れだ。両想いであることが最後の展開のエモさに大きく効いてくるため、その辺りをもう少し丁寧に書いてあれば間違いなく傑作だっただろう。

僕は今作を読んで、この作者のファンになったことをここに明言しておく。実は、今作はこの作者の作品群の中では最も評価の低い作品らしい。そのことを知った時、「え、この完成度で!?」と驚いた。同著者の他の作品を読むのが今から楽しみである。

 

『最後は臼が笑う』森絵都

とてもひねりの効いた、一筋縄ではいかない大人のための恋愛短編。確かに女と男は〝出会う〟のだが、そこから先が尋常ではない。幸せの形は人それぞれとは言うものの……。

ヒロインは公務員の桜子、39歳。人生このかた、ろくでなしの悪い男にひっかかり続けてきた関西人。妻子持ちに騙され、借金持ちには貢がされ、アブノーマルな性癖持ちにいたぶられる。ところが、桜子は「ろくでなしや、あかん奴や言われとる男に限ってな、どっかしら可愛いとこを持っとるもんなんや」と公言し、好んで吸い寄せられていく。高校時代からの友人の「私」は、悪弊の連鎖を断つべく有志を募り、「桜子の男運を変える会」まで結成したが、当人は我関せずだから、どうしようもない。

ところがある日、解散して早十年を数える会に、桜子から緊急招集がかかる。「一分の隙もない完全な悪」にとうとう出会ってしまったのだという。〝完全な悪〟とはいったい何者か?

20分くらいで読める短編であるにもかかわらず、非常にスカッとした気持ちになれる爽快小説。最後のタイトル回収は見事であり、ふふふ…とニヤついてしまうこと間違いなしである。何を語ってもネタバレになるので詳しくは書かないが、サクッと読めるので興味のある人はとりあえず読んでみてほしい。

 

『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』汐見夏衛

親や学校、すべてにイライラした毎日を送る中2の百合。母親とケンカをして家を飛び出し、目をさますとそこは70年前、戦時中の日本だった。偶然通りかかった彰に助けられ、彼と過ごす日々の中、百合は彰の誠実さと優しさに惹かれていく。しかし、彼は特攻隊員で、ほどなく命を懸けて戦地に飛び立つ運命だった――。のちに百合は、期せずして彰の本当の想いを知る…。涙なくしては読めない、怒濤のラストは圧巻!

良くも悪くも小中学生向けだなぁと感じた作品。まぁ若者に戦争の愚かさを伝えるという点においては成功しているんじゃないかな。映画化までしているし。

残念ながら、僕には全く刺さらなかった。主人公の空気の読めない言動にひたすらイライラするし、オチも想像を全く超えてこない。でも、この作品は何も悪くない。真っ直ぐに物語を受け止めることができない、性根が捻くれて腐り落ちてしまっているこの僕が悪いのだ。

すごく真っ直ぐで純粋で、メッセージ性の高い作品ではあるとは思うので、好きな人は好きなのだろう。穢れを知らない頃に出会いたかったと思う作品だった。

 

 

2024年4月 1週目 読んだ本まとめ 『かがみの孤城』『方舟』『新釈 走れメロス』『雨の日のアイリス』

どうも、読書記録ノート代わりにブログを書いている、ゆかりごはんです。

 

この記事では、面白かった面白くなかったにかかわらず、とりあえず今週読了した小説を記録がてら軽くまとめようと思う。僕が今週読んだ小説は、以下の4作である。

 

かがみの孤城辻村深月

あなたを、助けたい。

学校での居場所をなくし、閉じこもっていたこころの目の前で、ある日突然部屋の鏡が光り始めた。輝く鏡をくぐり抜けた先にあったのは、城のような不思議な建物。そこにはちょうどこころと似た境遇の7人が集められていた――
なぜこの7人が、なぜこの場所に。すべてが明らかになるとき、驚きとともに大きな感動に包まれる。
生きづらさを感じているすべての人に贈る物語。一気読み必至の著者最高傑作。

今週読んだ小説の中ではぶっちぎりのNo.1小説。面白すぎて夜中に一気読みしてしまい、翌日会社の会議に徹夜で挑む羽目になった。それぐらい世界観に没頭してしまう神小説である。

今作は、大きな孤独を抱えた7人の中学生たちが鏡の中の城に集められ、城の中に隠されたどんな願いも叶えられる鍵を見つけ出すミステリ要素と、仲間たちとの友情やいじめに対してどう対処していくかという青春要素が組み合わされた、非常に完成度の高い小説となっている。

とにかく心理描写が緻密で、登場人物全員に感情移入してしまうこと間違いなしである。皆の行動や思考にも説得力があり、実体を持ってキャラたちがそこに存在しているように感じられるのだ。

読者初心者にもおすすめできる傑作ではあるが、注意点が1つ。それは、結構いじめの描写がキツイことだ。軽い気持ちで読むと、人によっては心の傷が掘り起こされて苦しい気持ちになったり、気分が悪くなったりするかもしれない。それでも、最後は読んでよかったと思えること間違いなしなので、興味のある人は是非手に取ってほしいと思う。

 

 

『方舟』夕木春央

9人のうち、死んでもいいのは、ーー死ぬべきなのは誰か?

大学時代の友達と従兄と一緒に山奥の地下建築を訪れた柊一は、偶然出会った三人家族とともに地下建築の中で夜を越すことになった。
翌日の明け方、地震が発生し、扉が岩でふさがれた。さらに地盤に異変が起き、水が流入しはじめた。いずれ地下建築は水没する。
そんな矢先に殺人が起こった。
だれか一人を犠牲にすれば脱出できる。生贄には、その犯人がなるべきだ。ーー犯人以外の全員が、そう思った。

イムリミットまでおよそ1週間。それまでに、僕らは殺人犯を見つけなければならない。

ミステリ小説界の数々の賞を総ナメし、本格派ミステリでありながら2023年本屋大賞7位を受賞した非常に評価の高い今作。

多くの読書家を敵に回すかもしれないが、僕は「本格ミステリ小説」に苦手意識を持っている。登場人物たちが感情を抑制させられた駒のように思えてしまい、感情移入できないからだ。今作もその傾向はかなり強く、登場人物の関係性や心理描写はおまけ程度にしか存在しない。完全にミステリに魂を売っている作品である。

しかし、それでも今作は非常に楽しめた。舞台設定や物語の展開が秀逸で、一気読み不可避の徹夜本である。ミステリが苦手な僕でもこんなに楽しめたのだから、ミステリ愛好家の人たちは本作を読んで狂喜乱舞していたんじゃないか。何を語ってもネタバレになってしまうため、詳しいことは書けないのだが、とにかく面白さは保証しよう。人気になるのも納得の名作である。

 

 

『新釈 走れメロス森見登美彦

気高いまでの破廉恥。 ―近代文学を現代京都に転生させた名短編集―

芽野史郎は全力で京都を疾走した――無二の親友との約束を守「らない」ために! 表題作の他、近代文学の傑作四篇が、全く違う魅力をまとい現代京都で生まれ変わる! 滑稽の頂点をきわめた、歴史的短編集!

腐れ大学生を書かせたら右に出る物はいない森見登美彦による、古典作品の新釈短編集である今作。『山月記』『藪の中』『走れメロス』『桜の森の満開の下』『百物語』を、森見ワールド全開で打ち直した短編を5作も楽しめる非常にお得感のある一冊となっている。特に、『新釈 走れメロス』と『新釈 桜の森の満開の下』が個人的に非常にお気に入りである。

『新釈 走れメロス』では、学園祭の大舞台で楽団の音楽に合わせて桃色ブリーフで踊るのを避けるため、親友を人質にして追手から逃げ惑うという、阿呆の極みのようなエンタメ全開のおバカ作品である。疲れた時に読めば、元気のもらえる一作であろう。

そんなバカげた話もあれば、かなり真面目でシリアスな話もあり、本当に完成度の高い小説となっている。森見登美彦初心者にもおすすめできる。興味があれば是非読んでみてほしい。

 

 

『雨の日のアイリス』松山剛

ここにロボットの残骸がある。『彼女』 の名は、アイリス。正式登録名称:アイリス・レイン・アンヴレラ。ロボット研究者・アンヴレラ博士の元にいた家政婦ロボットであった。主人から家族同然に愛され、不自由なく暮らしていたはずの彼女が、何故このような姿になってしまったのか。これは彼女の精神回路(マインド・サーキット)から取り出したデータを再構築した情報 ── 彼女が見、聴き、感じたことの……そして願っていたことの、全てである。 第17回電撃小説大賞4次選考作。心に響く機械仕掛けの物語を、あなたに。

友人からおススメされて読んだ本作。たかがラノベと侮るなかれ。非常に完成度が高く、ガチで泣ける名作だった。さすが僕の友である。僕の好みがわかっている。

序盤は、ロボット:アイリスと主人のアンヴレラ博士との幸せで微笑ましい日常をひたすら描いているのだが、中盤で博士が死んでからはそれはそれはもう壮絶である。アイリスも体が壊れてしまったため、醜い異形の体に改造され、音や視界は常に土砂降りの雨の中にいるようなノイズが混じり、ボコボコにされながらひたすら土木強制労働を課せられるようになる。序盤との落差が凄まじく、読んでいて本当に辛い気持ちになる。

そんな中アイリスは、超ブラック職場で出会った二人のロボット、リリスとボルコフたちと生きる意味について話し合うようになり、皆で脱走の計画を練り始める。その結果やいかに…。という物語である。

マジで泣いた。僕はロボットものに心底弱いのだ。薦めてくれた友人には本当に感謝している。ベタな展開に拒否反応を起こさず、とにかく泣いてみたいという人には今作を強くおススメする。