2025年振り返り
どうも、ゆかりごはんです!初めましての方は初めまして。
早速ですが、今年も「小説ランキングbest50」を書いていきたいと思います!2025年の読了本は205冊。昨年が丁度200冊だったので、今年は5冊上回る結果となりました。海外出張含め、仕事のタスク量が昨年と比較してとんでもないことになってましたが、読了冊数は何故か微増…。『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』という本が話題になってましたが、僕は働いているほうが読書時間が増えてしまうようです😅
今年の読了本はかなりレベルが高く、50冊全て自信をもってオススメできる傑作揃いとなってます。年末年始の暇つぶしにでも読んでいただけたら幸いです。
↓去年のbest50はこちらになります。お暇あれば是非。

- 2025年振り返り
- 50位:フラッガーの方程式/浅倉秋成
- 49位:SICK 私のための怪物/澱介エイド
- 48位:堕天使拷問刑/飛鳥部勝則
- 47位:ハウスメイド/フリーダ・マクファデン
- 46位:ユリゴコロ/沼田まほかる
- 45位:キッチン/吉本ばなな
- 44位:壊れた少女を拾ったので/遠藤徹
- 43位:翼ある闇 メルカトル鮎最後の事件/麻耶雄嵩
- 42位:近畿地方のある場所について/背筋
- 41位:聖母/秋吉理香子
- 40位:魔法使いの弟子たち/井上夢人
- 39位:永劫館超連続殺人事件/南海遊
- 38位:生殖記/朝井リョウ
- 37位:レモネードに彗星/灰谷魚
- 36位:火の粉/雫井脩介
- 35位:隻眼の少女/麻耶雄嵩
- 34位:あむんぜん/平山夢明
- 33位:家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった/岸田奈美
- 32位:Wi-Fi幽霊/乙一・山白朝子
- 31位:夏と冬の奏鳴曲/麻耶雄嵩
- 30位:偽りの春 神倉駅前交番 狩野雷太の推理/降田天
- 29位:などらきの首/澤村伊智
- 28位:あぶない叔父さん/麻耶雄嵩
- 27位:玩具修理者/小林泰三
- 26位:湘南人肉医/大石圭
- 25位:紫色のクオリア/うえお久光
- 24位:未来図と蜘蛛の巣/矢部嵩
- 23位:化石少女と七つの冒険/麻耶雄嵩
- 22位:砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない A Lollypop or A Bullet /桜庭一樹
- 21位:まず良識をみじん切りにします/浅倉秋成
- 20位:ババヤガの夜/王谷晶
- 19位:さくらのまち/三秋縋
- 18位:丘ルトロジック 沈丁花桜のカンタータ/耳目口司
- 17位:隣のずこずこ/柿村将彦
- 16位:お梅は呪いたい/藤崎翔
- 15位:独白するユニバーサル横メルカトル/平山夢明
- 14位:彼女は死んでも治らない/大澤めぐみ
- 13位:牛家/岩城裕明
- 12位:恐怖小説キリカ/澤村伊智
- 11位:異常/エルヴェ・ル・テリエ
- 10位:小説/野﨑まど
- 9位:杉森くんを殺すには/長谷川まりる
- 8位:ガダラの豚/中島らも
- 7位:エレファントヘッド/白井智之
- 6位:アリス殺し/小林泰三
- 5位:キャンプをしたいだけなのに 雪中キャンプ編/山翠夏人
- 4位:ようこそ、ロバの目の世界へ。/岩城裕明
- 3位:Y田A子に世界は難しい/大澤めぐみ
- 2位:保健室登校/矢部嵩
- 1位:わたしはあなたの涙になりたい/四季大雅
50位:フラッガーの方程式/浅倉秋成
「物語の主人公になって、劇的な人生を送りませんか?」
平凡な高校生・涼一は、日常をドラマに変える《フラッガーシステム》のモニターになる。
意中の同級生佐藤さんと仲良くなりたかっただけなのに、生活は激変!
ツンデレお嬢様とのラブコメ展開、さらには魔術師になって悪の組織と対決!?
佐藤さんとのロマンスはどこへやら、システムは「ある意味」感動的な結末へと暴走をはじめる!
伏線がたぐり寄せる奇跡の青春ストーリー。
あなたも物語の主人公になってみませんか?
深夜アニメの世界を現実で再現できる"フラッガーシステム"の主人公役に抜擢された男子高校生が、恋する同級生と恋仲になるために恋愛フラグを立てまくる青春コメディ作品。迷走した深夜アニメにありがちな奇天烈な展開が繰り広げられるが、ある瞬間を境に物語の歯車が狂い出し、奇跡の結末へと駆け抜ける。
前半はコメディ満載でゲラゲラ笑え、終盤は怒涛の伏線回収。愛する女性を救うために、全てを犠牲にしながら奮闘する主人公の姿に涙。"笑えて泣ける"を体現した傑作です。学生の頃に読んでたら、良くも悪くも本作に影響を受けまくってたかもしれない(笑)
49位:SICK 私のための怪物/澱介エイド
身を焦がす戦慄を力に、少女は恐怖を殺す。
「あなたを絶対に、ひとりぼっちにだけはさせないから」
少女はそう言って、幼い少年の手を取った。その約束が、いずれ最悪の形で破られてしまうとも知らずに――
〈ゾーン〉と呼ばれる精神世界に侵入できる異能を持つ叶音と逸流は、精神に巣食い恐怖症をもたらす概念生命体フォビアを殺す仕事を請け負っていた。彼女達の所に、視線恐怖症を患った少女が助けを求めにやってくる。
少女の〈ゾーン〉に潜った叶音が遭遇したのは、物語によって恐怖を育てる謎の奇術師。戦いの最中、奇術師は叶音に問いかける。
「あなたは目を背けていますね? おぞましい自分の過去から」
精神世界での激しい戦いは叶音の精神を摩り減らし、やがて彼女がひた隠しにしていた真実を暴き出していく。心が壊れ、正気を失い、戦いは絶望と恐怖にまみれた混沌の領域へと踏み込んでいく。
戦慄を力に変えて恐怖を殺す、ダーク・サイコアクション
これだからガガガはやめられねぇ!
とにかく描写がエグイ!人の精神に寄生する怪物を夢の中でぶちのめしていく作品なのだが、とにかく猟奇的な狂気がマシマシで、恐怖&絶望のオンパレード。拷問シーンに挿絵が入るなんて…。マジでイカれている。
敵が若干小物すぎるのが気にはなったが、そんなのもはや粗探しの域。デビュー作でこの完成度は素晴らしすぎる。こういうブッ尖り作品を何食わぬ顔で出版するガガガ文庫は、本当に最低で最高だと思う。ちなみに、澱介先生の2作目である『ファム・ファタールを召し上がれ』も死ぬほど面白いのでオススメです。
48位:堕天使拷問刑/飛鳥部勝則
中学生のタクマを待ち受けていたのは、魔術崇拝者の祖父の密室死、ある一族の女三人の斬首、「月へ行きたい」と呟く謎の少女……
ジャンル不明の極太(物理)作品
900頁を超える超大作でありながら、展開がスピーディーすぎていつの間にか読み終えてしまうオカルト風ミステリ。一応ミステリ作品の枠ではあるのだろうが、ミステリ以外のあらゆるジャンルの要素も盛り込まれており、とにかくカロリーが激高。おかずが霜降り黒毛和牛しかない幕の内弁当みたいな感じ。
本来なら箸休めの野菜等が欲しくなってしまうが、肉があまりにも美味すぎるが故に、最後までペロリと平らげることができてしまう。カルト的人気があるのも納得の癖強エンターテインメント作品でした。
47位:ハウスメイド/フリーダ・マクファデン
前科持ちのミリーが手に入れた、裕福な家庭でのハウスメイドの仕事。だが、この家は何かがおかしい。不可解な言動を繰り返す妻ニーナと、生意気な娘セシリア。夫のアンドリューはなぜ結婚生活を続けていられるのだろうか? ミリーは屋根裏部屋を与えられ、生活を始める。しかし、この部屋には……。そして、家族にまつわる真相が明かされるや、それまでに目にしたものすべてがひっくり返る。恐怖と衝撃のエンタメ小説。
こんなに読みやすい海外小説があるんですか!?
ハヤカワが激推ししており、今年何かと話題になった一冊。主要人物は5人しかおらず、かつ翻訳も違和感がないため、海外小説とは思えない読みやすさを誇る。
序盤は心苦しい描写が続くが、中盤から一気に物語が加速し、驚愕のラストへと駆け抜ける。情報の隠し方が抜群に上手く、作者に転がされる感覚が心地良かった。海外翻訳作品の入り口としてオススメ。
46位:ユリゴコロ/沼田まほかる
ある一家で見つかった「ユリゴコロ」と題されたノート。それは殺人に取り憑かれた人間の生々しい告白文だった。
この一家の過去にいったい何があったのか?絶望的な暗黒の世界から一転、深い愛へと辿り着くラストまで、ページを繰る手が止まらない衝撃の恋愛ミステリー!
"異常"が"普遍"を求めた結果…
犯罪者の罪の独白が書かれた手記の真相を探るイヤミス作品。手記の内容が生々しく不気味でかなり怖かったが、主軸となる物語があまりにも面白過ぎて一気読み不可避。読後の余韻が凄過ぎて、しばらく放心状態になってしまった。
"異常"の権化であるサイコパスが、"普遍"を求めてもがき苦しんだ結果どうなるのか。イヤミスではあるが、読後感は決して悪くなく、むしろ感動さえしてしまう。イヤミスが苦手な方にもオススメしやすい名作です。
45位:キッチン/吉本ばなな
唯一の肉親であった祖母を亡くし、祖母と仲の良かった雄一とその母(実は父親)の家に同居することになったみかげ。日々の暮らしの中、何気ない二人の優しさに彼女は孤独な心を和ませていくのだが……。
不朽の名作
良い文章を読んだ。本作に込められたメッセージを半分も理解できていないだろうけど、そんな感想が真っ先に思い浮かんだ。風景描写や心理描写が段違いに上手く、登場人物を理解できずとも共感させられてしまうパワーを持っている。
この本が人生の一冊になる人もたくさんいるんだろうな。人間の持つ温かさと冷たさを同時に感じられる名作です。読み終わった後は、美味しいカツ丼が食べたくなりました。
44位:壊れた少女を拾ったので/遠藤徹
ほおら、みぃつけた――。死体の山の中、わたくしはひとりの美しい少女と出会いました。もっともっと美しくするため、わたくしはノコギリをふるう。カルトホラーの奇才がおくる、恐懼の短編集!
変態さん向けのド級グロホラー短編集
生首を弁当箱にして売り捌く『弁頭屋』や、家電と恋をして妊娠させる『カデンツァ』など、全ての短編において設定がとにかく強烈。誰も異常を異常として認識しておらず、常識や倫理観が全く通用しない。
暴力描写やゴア描写はもちろんのこと、精神的ダメージを与えてくる展開も加勢してくるので、もはや正常な状態で読み切ることは不可能。異常に理由を求めず、ただただ理不尽で耽美な世界観に沈み込みたい変態にオススメ。
43位:翼ある闇 メルカトル鮎最後の事件/麻耶雄嵩
首なし死体、密室、蘇る死者、見立て殺人……。京都近郊に建つヨーロッパ中世の古城と見粉うばかりの館・蒼鴉城を「私」が訪れた時、惨劇はすでに始まっていた。2人の名探偵の火花散る対決の行方は。そして迎える壮絶な結末。島田荘司、綾辻行人、法月綸太郎、三氏の圧倒的賛辞を受けた著者のデビュー作。
麻耶雄嵩じゃなければ読むのやめてた
何やねんこれ…。デビュー作のくせにあまりにもイカれ散らかした作品。多重解決ミステリとアンチミステリが共存しており、捨てトリックの数が半端ない。自ら作り上げた本格ミステリの世界観をぶっ飛び論理で吹き飛ばす、安心と信頼の麻耶クオリティ。
真面目に読むのもヨシ!ツッコミながら読むのもヨシ!ある意味ではバランスがとれていると言っても良いのかもしれない。荒唐無稽な本格?ミステリを楽しみたいミステリ狂信者にオススメ。
42位:近畿地方のある場所について/背筋
情報をお持ちの方はご連絡ください
近畿地方のある場所にまつわる怪談を集めるうちに、恐ろしい事実が浮かび上がってきました。
令和ホラー小説ブームはここから始まった
正直舐めてました。クッッッッッッソ怖い。とにかく描写がリアルで恐ろしく、ずっと背中がゾワゾワ。本作のヒットを皮切りに多数のモキュメンタリーホラーが量産されたが、やはり原点である本作が断トツで一番怖い。
本作で特にヤバかったのが袋とじ。深夜に心構えなしに開いてしまったため、マジで心臓止まるかと思った。ホラー界にその名を刻む傑作です。単行本と文庫版で若干内容が変わるので、どちらか片方しか読んだことない人は、両方読んでみると怪異についての理解が深まるのでオススメ。
41位:聖母/秋吉理香子
東京都藍出市で、幼稚園児の遺体が発見された。被害者は死後に性的暴行を加えられていた。事件のニュースを見た主婦・保奈美は、大切なひとり娘も狙われるのでは、と恐怖を覚える。警察は懸命に捜査を続けるが、犯人は一向に捕まらない。娘を守るため、母がとった行動とは。結末を知った時、世界は一変する。驚愕の長編サスペンス・ミステリー!
世界がひっくり返る読書体験をあなたに
はぁ~、何じゃこれは。読み終わった瞬間、思わずそう呟いてしまった。内容について何も書けないけれど、本当に凄い作品。読了後にタイトルがじわじわと効いてくる感覚、たまらない。
内容が内容だけに賛否両論はあるだろうが、エンタメミステリとしては満点の出来だと思う。本作をネタバレを踏む前に読めて本当に良かった。名作です。
40位:魔法使いの弟子たち/井上夢人
山梨県内で発生した致死率百パーセント近い新興感染症。生還者のウィルスから有効なワクチンが作られ拡大を防ぐが、発生当初の“竜脳炎”感染者で意識が戻ったのは、三名だけだった。その中の一人で、週刊誌記者として取材にきて感染した仲屋京介は、二人の生還者とともに病院内での隔離生活を続ける。やがて彼ら三名は、「後遺症」として不思議な能力を身につけていることに気づき始める。壮大なる井上ワールド、驚愕の終末―。
時代を先取りしすぎているSFミステリ
感染症から生還した3人の後遺症(超能力)の真実を探るSFミステリ作品。コロナパニックが起こる前に、この題材に着目しているのが凄すぎる。作者は未来視能力持ちですか?
ストーリーも人物像もかなり練りこまれており、最初から最後までエンターテインメントが詰め込まれた名作。オチは賛否ありそうだけれど、そこに至るまでの道中がバカみたいに面白いので余裕でお釣りが来る。世間的に高評価なのも納得。
39位:永劫館超連続殺人事件/南海遊
「私の目を、最後まで見つめていて」
そう告げた『道連れの魔女』リリィがヒースクリフの瞳を見ながら絶命すると、二人は1日前に戻っていた。
母の危篤を知った没落貴族ブラッドベリ家の長男・ヒースクリフは、3年ぶりに生家・永劫館(えいごうかん)に急ぎ帰るが母の死に目には会えず、葬儀と遺言状の公開を取り仕切ることとなった。
葬儀の参加者は11名。ヒースクリフ、最愛の妹、叔父、従兄弟、執事長、料理人、メイド、牧師、母の親友、名探偵、そして魔女。
大嵐により陸の孤島(クローズド・サークル)と化した永劫館で起こる、最愛の妹の密室殺人と魔女の連続殺人。そして魔女の『死に戻り』で繰り返されるこの超連続殺人事件の謎と真犯人を、ヒースクリフは解き明かすことができるのかーー
『館』x『密室』x『タイムループ』の三重奏(トリプル)本格ミステリ。
館×密室×タイムリープの三重奏本格ミステリ
超絶面白かった。読む前は「"超"殺人事件ってなんだよw」と思っていたが、まごうことなき"超"だった。ただでさえ完成度の高い謎解きに、タイムリープも加わってとにかくヤバい(語彙力)。
特殊設定のルールや発生回数などの要素がかなり複雑で、難解すぎるという意見もあるだろうが、骨太ミステリが大好きな僕からすれば無問題。ご都合展開でも面白けりゃ問題なし。普通の本格ミステリに飽きてしまった酔狂なミステリ好きにこそオススメしたい。
38位:生殖記/朝井リョウ
とある家電メーカー総務部勤務の尚成は、同僚と二個体で新宿の量販店に来ています。
体組成計を買うため――ではなく、寿命を効率よく消費するために。
この本は、そんなヒトのオス個体に宿る◯◯目線の、おそらく誰も読んだことのない文字列の集積です。
まさかの〇〇〇が語り手!?
〇〇〇の視点から社会的マイノリティーを捉えた哲学書であり、"面白い"というよりは"興味深い"という言葉が似合う作品。読み易い論文って感じの作風であり、内容は非常にヘビーなのだが雰囲気は終始コミカル。
本作を読んで、やっぱり人間って面倒くさくてしんどい生き物だよなぁ~、と再確認。重めのテーマを扱いつつ、ラストは案外サッパリしていてモヤモヤを残さないのが僕好みでした。名作です。
37位:レモネードに彗星/灰谷魚
円城塔賞受賞作を含む、少し不思議でハイパーポップな傑作短編集!
「あなたが今思ったよりも、全然すごいよ」 円城 塔(作家)
新時代の才能、発掘! 円城塔賞受賞作「レモネードに彗星」を含む 少し不思議でハイパーポップな傑作短編集!
美しい叔母とは大きな窓ごしにしか対面できない。もう15年も。私が死んでからの15年。「レモネードに彗星」/世界への軽蔑を共有することで結ばれた二人の、数奇な運命。「純粋個性批判」/触れることのできない、破滅的に美しい彼女との予測不能な愛の物語。「新しい孤独の様式」など7篇収録
「安心して。私だって千年も生きるわけじゃない」
瑞々しさと苦々しさを兼ね備えたフレッシュな短編集
僕の感性にブッ刺さった日常SF短編集。手を伸ばせば届きそうで届かない人間関係をフレッシュに書き切っており、ポップな作風の中にひっそりと寂しさをにじませてくる感じが堪らなく大好き。
物語自体はあまり起伏がなく、どちらかと言えば純文学味の強い印象ではあるが、所々に垣間見える非凡な感性と文才に圧倒され続けた。本作Top短編は『純粋個性批判』。流行に対して悪口を言い合うことで繋がる友人関係の難しさを描いており、冷笑が蔓延る今のネット界隈に通ずる所がある気もする。
36位:火の粉/雫井脩介
「私は殺人鬼を解き放ってしまったのか?」元裁判官・梶間勲の隣家に、二年前に無罪判決を下した男・武内真伍が越してきた。愛嬌ある笑顔、気の利いた贈り物、老人介護の手伝い……。武内は溢れんばかりの善意で梶間家の人々の心を摑む。しかし梶間家の周辺で次々と不可解な事件が起こり……。最後まで読者の予想を裏切り続ける驚愕の犯罪小説!
火の粉どころではなく火の海レベル
とにかく展開がストレスフル。主人公:雪見以外の人間が全員クズ。しかも、全員リアルに居そうなクズなので、読んでいてめちゃくちゃイライラする。
それでも大筋の物語があまりにも面白すぎて、一度読み始めてしまえば最後、ページをめくる手が止まらなくなること間違いなし。人間の根源的な恐怖を鬼気迫る心理描写で書き表した傑作です。
35位:隻眼の少女/麻耶雄嵩
自殺する場所を求め寒村の温泉宿を訪れた大学生の種田静馬は、村の伝説の地で起こった少女の首切り事件に遭遇する。被害者は古から村を支配するスガル様の後継者で、九年後に起こると予言される大難事に備えるべく修行をしていた。犯人の罠により殺人犯と疑われた静馬を見事な推理で救った水干姿の十八歳の隻眼の少女の名は御陵みかげ。名探偵であった亡き母、御陵みかげの遺児で、母の名を継ぐべく、元刑事の父の手ほどきで各地で探偵としての修養を積んでいた最中だった。静馬は助手見習いとして、みかげと共に被害者の琴折屋敷へ向かうが、そこでは第二第三の殺人が待ち受けていた。三つ児の三姉妹、そして父を失いながらも難事件を解決したみかげ。だが、18年後に同じ現場で18年前を再現するような悪夢が……。絶品の超絶本格ミステリー。第64回日本推理作家協会賞、第11回本格ミステリ大賞をダブル受賞。
萌え
とにかく萌え。表紙にもなっている探偵:御陵みかげが萌えであるのはもちろんのこと、日本推理作家協会賞と本格ミステリ大賞をダブル受賞という快挙を成し遂げた歴史的一冊であるはずなのに、ハッキリと賛否両論分かれており、一部のミステリマニアからブッ叩かれまくっていている本作そのものが愛おしくて萌え。
最初のほうは「麻耶作品にしてはまともだなぁ…」なんて思いながら読んでいたが、やはり麻耶は麻耶だった。ちくしょうめ。丁寧に積み上げてきた本格ミステリの世界観を自ら破壊し、何から何まで全てがド級にぶっ飛んでいる超絶問題作。やっぱりこの作者、イカれてるわ(誉め言葉)。
34位:あむんぜん/平山夢明
〈あむんぜんの頭の中身を見てみよう〉と、アックンに云われたのは体育祭が終わってすぐのことだった。――「あむんぜん」
“一発ウンゲロってみるか?”“うんげろって、なんですか?”――「千々石ミゲルと殺し屋バイブ」
アイドルヲタク・サブローが、己のすべてを懸けて“ヤブサカ69”の治安維持活動に励む!――「ヲタポリス」
この物語は絶望か、希望か。
全6話収録の短編集。
著者入魂、空前絶後の脳捻転小説。
👧ねぇママ、この本買って! 👩ダメ!頭が悪くなるから!!
上記見出しは、本作の帯に書かれている推薦文。おいおい、最高すぎるだろ。帯に惹かれて試しに読んでみたが、なるほど確かに、読めば読むほど頭が悪くなってしまい、真面目に生きようとしている自分自身がばかばかしく思えてしまう。
内容としては、世の中をなめ腐った下劣味+エログロてんこ盛り。血液ブッシャー系のグロはもちろん、汚物系のグロ描写も鮮明に描かれていて、読後は本当に体調が悪くなった。正直言ってこんなの誰にもオススメできない。絶対に食事直後には読まないように。吐くよ。
33位:家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった/岸田奈美
笑えて泣ける岸田家の日々のこと
車いすユーザーの母、
ダウン症で知的障害のある弟、
ベンチャー起業家で急逝した父――
文筆家・岸田奈美がつづる、
「楽しい」や「悲しい」など一言では
説明ができない情報過多な日々の出来事。
笑えて泣けて、考えさせられて、
心がじんわりあたたかくなる自伝的エッセイです。
障がいをユーモア満載に描くエッセイ集
これまで読んできたエッセイ集の中でもトップクラスに好き。父は急逝、母は下半身不随、弟は知的障がい者。そんな愛する家族と過ごした日々を明るくユーモア満載に描いており、読んでいて心がじんわりと温かくなる。
障がいについて語ることはセンシティブだと叫ばれている昨今、ここまで真っ直ぐに障がいというテーマを扱っている本作は本当に素晴らしいと思う。笑えて泣けて楽しめて、それでいて人生の道標の1つになってくれるオススメの一冊。
32位:Wi-Fi幽霊/乙一・山白朝子
乙一&山白朝子の怪奇ホラー傑作選
乙一&山白朝子の初期~現在までの怖い作品ばかりを厳選収録した怪奇ホラーコクション企画。「夏と花火と私の死体」でデビューした乙一は、デビューから「死」を描いてきた。山白朝子は、怪談雑誌「幽」 の創刊時、デビューした怪談作家。今回は、ホラーを描き続ける作家二人の初のホラー文庫企画。ホラー文庫創刊30周年のフィナーレを飾る記念企画。作品のセレクトはホラー評論家&ミステリ評論家の千街晶之さん。本書刊行にあたり表題作となる中編「Wi-Fi幽霊」を書き下ろし。
乙一ファンにとっての宝石箱
至高。その一言に尽きる。ホラー小説界で史上最も面白い短編である『SEVEN ROOMS』が収録されている時点で勝確なのだが、その他の短編も抜群に面白く、史上屈指のホラー短編集に仕上がっている。
実は、乙一先生の別名義である山白朝子先生の作品は未読だったのだが、乙一名義の作品よりも悲しげな余韻を残すタイプのホラーで凄まじく僕好みだった。やっぱり乙一先生のホラー短編って、恐怖だけじゃない様々な感情を引き出してくれるから大好き。これからも応援し続けます。
31位:夏と冬の奏鳴曲/麻耶雄嵩
二十年前に死んだ美少女を偲び、孤島「和音(かずね)島」に集う男女を襲う惨劇。
今も彼女の影が支配する島で、雪が降りつもった夏の朝に、首なし死体が発見される。
雪密室を皮切りに島の均衡は崩れ、暴走が始まる。
ラストの大破局(カタストロフ)、メルカトル鮎(あゆ)のとどめの一言。
麻耶ァ!何してくれとるんじゃワレェ!!!
もう知らん。何やねんこれ。ふざけやがって。終盤まで真面目に考察しながら読んでいた僕が馬鹿だった。館・首無し死体・密室。強固に組み上げた本格ミステリの世界観を、バカミス旋風で遥か彼方へ吹き飛ばす。
解決編で本作以上に笑いと虚無感が同時に襲ってくる作品はそうそう無いと思う。まさに「平成の奇書」の称号に相応しい、超絶ド級の劇薬本にして賛否両論な超絶大傑作。ここまでカルト的人気を博しているのも納得です。
30位:偽りの春 神倉駅前交番 狩野雷太の推理/降田天
この”おまわりさん”からは逃げられない。日本推理作家協会賞受賞作!
老老詐欺グループを仕切っていた光代は、メンバーに金を持ち逃げされたうえ、『黙っていてほしければ、一千万円を用意しろ』と書かれた脅迫状を受け取る。要求額を用立てるために危険な橋を渡った帰り道、へらへらした警察官に声をかけられ――。第71回日本推理作家協会賞(短編部門)を受賞した表題作「偽りの春」をはじめ、“落としの狩野”と呼ばれた元刑事の狩野雷太が5人の容疑者と対峙する、心を揺さぶるミステリ短編集。
何気ない会話にご用心
犯人視点で描かれている倒叙ミステリ短編集。警察官・狩野が登場すればチェックメイト。何気ない会話から徐々に嘘を詰められていくハラハラドキドキ感がハンパない。
この作品のポイントは、犯人たちにも同情の余地があるところ。犯罪行為に手を染めているので逮捕されるべきなんだけど、どの犯人も憎めきれなくて救いを求めたくなってしまう。ミステリとしての側面はもちろん、人間ドラマ要素も完璧で、切ない話から胸糞な話まで、さまざまなタイプの短編を楽しめるオススメの一冊。
29位:などらきの首/澤村伊智
雨の日にだけ、体育館に幽霊が出る――。 小学六年生の美晴は、学校に伝わる心霊めいた噂通りに体育館のキャットウォークから飛び降りる白い少女を目撃する。白い少女の正体は何か、何故彼女は飛び降りるのか。姉・琴子に対抗するため、美晴は真相究明に挑むが!?(受賞作「学校は死の匂い」)
「などらきさんに首取られんぞ」祖父母の住む地域に伝わる“などらき”という化け物。刎ね落とされたその首は洞窟の底に封印され、胴体は首を求めて未だに彷徨っているという。しかし不可能な状況で、首は忽然と消えた。僕は高校の同級生の野崎とともに首消失の謎に挑むが……。 (表題作「などらきの首」)
琴子姉さん、マジ格好良いッス
『ぼぎわんが、来る』でお馴染みの比嘉シリーズ3作目。長編かと思えばまさかの短編集。過去の登場人物たちが続々出てくるスピンオフ的な立ち位置の一冊で、過去作を読んでいることが条件ではあるが、ホラー短編集として至高の出来。
澤村先生お得意の、人間の執着や欲望を怪異に落とし込む構成があまりにも素晴らしい。特に、『居酒屋脳髄談義』が今まで読んだホラー短編の中でベスト5に入るくらい心にブッ刺さった。比嘉姉さん、最高に格好良いです。
28位:あぶない叔父さん/麻耶雄嵩
寺の離れで「なんでも屋」を営む俺の叔父さん。家族には疎まれているが、高校生の俺は、そんな叔父さんが大好きだった。鬱々とした霧に覆われた町で、次々と発生する奇妙な殺人。事件の謎を持ちかけると、優しい叔父さんは、鮮やかな推理で真相を解き明かしてくれる――。精緻な論理と伏線の裏に秘された、あまりにも予想外な「犯人」に驚愕する。ミステリ史上に妖しく光り輝く圧倒的傑作。
真にあぶない人間は麻耶雄嵩自身である
ドン引き必死の超バカミス短編集。叔父さんがホントのマジで激ヤバすぎて笑うしかない。叔父さんの陰に隠れてはいるが、叔父さん全肯定botの主人公も大概ヤバい。マジでやばい奴しか出てこない。
予想の遥か斜め上(下?)をいくイカれた真相がツボにはまり、ゲラゲラ笑いながら最後まで存分に楽しめた。叔父さんは本当に危ない人でしたけど、本当に危ない人間なのは、こんな劇薬作品を本格ミステリの枠組みで仕上げてしまう麻耶雄嵩自身だと思います。
27位:玩具修理者/小林泰三
これは、悪夢か現実か? 国内ホラー史に鮮烈な衝撃を与えた不朽の名作!
玩具修理者はなんでも直してくれる。
どんな複雑なものでも。たとえ死んだ猫だって。
壊れたものを全部ばらばらにして、奇妙な叫び声とともにあっという間に組み立ててしまう。
ある暑すぎる日、子供のわたしは過って弟を死なせてしまった。
親に知られずにどうにかしなくては。
わたしは弟を玩具修理者のところへ持っていくが……。
これは悪夢か現実か。
国内ホラー史に鮮烈な衝撃を与えた第2回日本ホラー小説大賞短編賞受賞作。
短編にして強烈な読書体験を味わえる劇薬作品
伝説のホラー短編と名高い『玩具修理者』を収録したホラー短編集。かの有名な漫画作品『HUNTER×HUNTER』の敵:ネフェルピトーの念能力の元ネタにもなっており、カルト的人気を博している劇薬作品。
ページ数はかなり少ないのだが、生理的嫌悪を催す描写の連続で読み応えは十分。伏線も多数散りばめられており、全てのピースがピタッとハマる感覚が気持ち良い。忘れられない強烈な読書体験を味わいたい酔狂な読書好きにオススメしたい傑作。
26位:湘南人肉医/大石圭
食べることで得られる、女性との一体感、エクスタシー。
湘南で整形外科医として働く小鳥田優児は、神の手と噂されるほどの名医。数々の難手術を成功させ、多くの女性を見違えるほどの美人に変貌させていたが…。
カニバリズム版孤独のグルメ
タイトル通り。カニバリズム美容外科医の日常グルメ小説。人肉料理しか出てこないのだが、食事の描写があまりにも情緒的で、思わず一口食べてみたくなる。いや、食べないけれども。
半端なくグロいのだが全く怖くなく、むしろ美しいとすら感じてしまう。共感や感動といった感情は全く湧いてこないのに、主人公の異常な日常が永遠に続いて欲しいと切に願わされてしまう。大石圭先生の凄まじい筆力を味わえる傑作にして、あまりにも変態すぎる奇書。グロ好きな方以外は絶対に読まないでください。
25位:紫色のクオリア/うえお久光
うえお久光×綱島志朗のタッグで贈る少し不思議な日常系ストーリー!
自分以外の人間が“ロボット”に見えるという紫色の瞳を持った中学生・毬井ゆかり。 クラスでは天然系(?)少女としてマスコット的扱いを受けるゆかりだが、しかし彼女の周囲では、確かに奇妙な出来事が起こっている……ような?
ハードSFラノベの最高到達点
クッッッッッッソ面白い。SF、百合、タイムリープ、グロ、哲学などの様々な要素がギュウギュウに詰めこまれており、余りにもエンタメに溢れすぎている。量子力学や哲学思想といった難解な要素を上手くラノベに落とし込んでおり、「なんかよくわからんけどバカ面白ぇ!!」と脳が叫び始めること間違いなし。
ライトノベルというジャンルの枠を飛び越えて、SFファンの間ではバイブルのように扱われている一冊であり、2025年に重版・復刊も決定した大傑作なので、ラノベだからといって忌避している読者がいれば、是非本作を手に取って認識を改めてほしいと心から願っている。
24位:未来図と蜘蛛の巣/矢部嵩
鬼才、覚醒。
矢部嵩の前では、すべてが平等だ。
二十五編の物語。
表題作「未来図と蜘蛛の巣」及びそのシリーズ(講談社「tree」で連載)に加え、既発表の掌編と書き下ろしを収録。
矢部嵩の小説に説明は不要。
矢部ワールドに足を踏み入れたが最後、あなたはそこから出られない。
矢部嵩先生、本当にありがとう
もうたまらん。心の底から崇拝しているホラー作家:矢部嵩先生の最新作にして、奇怪なアイデアと不安定な文体を駆使しながら、人間の持つ希望と絶望を書き起こした超絶大傑作。
一般受けは絶対にしない人を選ぶ作風ではあるが、万人に刺さるメッセージ性を間違いなく有している。前作『〔少女庭国〕』から11年、矢部嵩先生の新刊を手に取って読めること以上に嬉しいことは無い。矢部嵩先生、こんな傑作を書いてくれてありがとう。そして頼む、矢部嵩ファンもっと増えてくれ。
23位:化石少女と七つの冒険/麻耶雄嵩
この学園は呪われている!? 白雪にまみれ赤いロープで手首を結び合った三生徒の死体、男子の制服で死んでいた女子生徒……良家の子女が集う京都の名門高校で、またまた相次ぐ怪事件に、名探偵まりあの血が再び騒ぐ。神舞まりあは、自分以外の部員一人だけという零細古生物部を率いる化石オタクのお嬢様。そして、誰にも認めてもらえない女子高生探偵だ。これまた誰にも見向きもされない古生物部に、なぜか加入してきた怪しい一年生。むりやりお嬢様のワトソン役にされ続けてきた男子部員が抱え込んだ黒い秘密。その上、新たな生徒探偵まで登場。いかがわしさ倍増の果てに、絶対予測不能の結末が!ミステリ通をのけぞらせた、これが危なすぎる学園ミステリだ!
学園ミステリの皮を被った特級呪物本
ぐはぁっ…!!!油断したっ…!!!一作目のコミカルさはどこへやら、全ての歯車が狂い出し衝撃的なオチへと収束する。キャラ造形は全員ラノベっぽいのに、事件の真相や展開が余りにも悲壮的であり、そのギャップが堪らなく好き。
特に最終話が激ヤバで、事件の真相が判明した瞬間、直接頭をぶん殴られるくらいの衝撃を受けた。こんな特級呪物本を「学園ミステリ」として世に放つとは…。麻耶雄嵩め、なんて性格が悪いんだ。個人的には、麻耶雄嵩作品の中で一番好きな作品です。
22位:砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない A Lollypop or A Bullet /桜庭一樹
どこにも行く場所がなく、そしてどこかに逃げたいと思っていた。そんな13歳の二人の少女が出会った。リアリストの山田なぎさと不思議系転校生の海野藻屑。すべては生きるために、生き残っていくために――。
砂糖でできた弾丸では子供は世界と戦えない
直木賞作家:桜庭一樹先生が受賞以前に出版していたラノベ文芸であり、終始暗い雰囲気が漂う鬱小説。題名に"砂糖菓子"とあるが全く甘くなく、現実の苦い部分が凝縮されている。
貧困・虐待・引きこもり。子供がどれだけ現状の悲惨さを世間に訴えようが、実弾ほどの衝撃がなければ誰も気に留めてくれない。砂糖でできた弾丸では、子供は世界と戦えない。実弾を持たない者たちの悲しみと孤独と絶望が詰め込まれた大傑作。
21位:まず良識をみじん切りにします/浅倉秋成
「とにかくヘンな小説をお願いします」
そんな型破りな依頼に応えるべく、炒めて煮込んで未知の旨味を引き出した傑作集。
憎き取引先への復讐を計画する「そうだ、デスゲームを作ろう」、集団心理を皮肉った「行列のできるクロワッサン」、第76回日本推理作家協会賞ノミネートの『ファーストが裏切った』など、日々の違和感を増殖、暴走させてたどり着いた前人未到の五編。
これも浅倉秋成。いや、これこそが浅倉秋成。
「とにかくヘンな小説をお願いします」という依頼に全力で応えた怪作
「常識」から逸脱した人間たちの空回りを楽しむ短編集。「とにかくヘンな小説をお願いします」という依頼に全力で応えた作品と表明するだけあって、本当にヘンな短編しか収録されていない。
ちょっぴりホラー要素もありつつ、皮肉とユーモアに溢れており、読んでる間は終始腹が千切れるくらい笑い転げていた。同調圧力に抗おうとする主婦を描いた『行列のできるクロワッサン』がたまらなく好き。浅倉先生、こういう作品も書けるんだなぁ。
20位:ババヤガの夜/王谷晶
お嬢さん、十八かそこらで、なんでそんなに悲しく笑う――。暴力を唯一の趣味とする新道依子は、腕を買われ暴力団会長の一人娘を護衛することに。拳の咆哮轟くシスターハードボイルド!
英国推理作家協会賞・ダガー賞受賞作
圧倒的バイオレンス描写で駆け抜けるミステリ作品。200ページほどしか無い作品なのだが、エンタメの密度が飽和状態で、次々と襲い来るエンタメ度MAXの展開に脳汁がブシャブシャと湧き出てくる。
息をつかせぬ疾走感に最高のクライマックス。構成・キャラ・描写・結末、全てが至高で、ダガー賞受賞も納得の超絶大傑作。バイオレンス描写が苦手な人でも、大筋の物語の面白さに引っ張られる形で最後まで読めてしまうと思う。是非読んでみてください。
19位:さくらのまち/三秋縋
二度と戻らないつもりでいた桜の町に彼を引き戻したのは、一本の電話だった。
「高砂澄香が自殺しました」
澄香――それは彼の青春を彩る少女の名で、彼の心を欺いた少女の名で、彼の故郷を桜の町に変えてしまった少女の名だ。
澄香の死を確かめるべく桜の町に舞い戻った彼は、かつての澄香と瓜二つの分身と出会う。
あの頃と同じことが繰り返されようとしている、と彼は思う。
ただしあの頃と異なるのは、彼が欺く側で、彼女が欺かれる側だということだ。
人の「本当」が見えなくなった現代の、痛く、悲しい罪を描く、圧巻の青春ミステリー!
隣にいる親友は"本物"か"サクラ"か
僕の青春を彩った神作家・三秋縋先生の6年振りの書下ろし長編にして、悲痛で残酷な青春ミステリ作品。自殺指数の高い人間を踏み止まらせるための"サクラ"制度が蔓延る社会が舞台となっており、自分を救ってくれた親友が"本物"なのか"サクラ"なのかを突き止めていく。
あまりにも救いのない展開の連続に、胸がキリキリと締め付けられる。人を救うはずの"サクラ"制度で崩れていく人間関係。読者を物語に引き込む力が並外れている三秋先生の才能を、直に浴びることのできる大傑作。
18位:丘ルトロジック 沈丁花桜のカンタータ/耳目口司
神楽咲高校に入学した俺は、「丘研」の入部案内を見て直感した、これぞ〈風景〉を愛する俺のための部活だと! 代表と意気投合し早速入部。だが、丘研の正体は代表の野望に奉仕する「オカルト研究会」であった!!
クレイジー&バイオレンスラノベの最高峰
間違いなく過小評価されている作品。ラノベ界屈指の神傑作にして、頭のネジがぶっ飛んだ奇人しか登場しない最低最悪な物語。奇人どもの内輪ノリだけで話が完結しているならまだしも、奇人どもが一般人を巻き込んでテロリズム作戦を実行するという、倫理観をゴミ箱にダンクシュートした展開が繰り広げられる。
しかも、一辺倒なクレイジー描写のみでは終わらず、各キャラが何故奇人と化してしまったのかについての回想描写や、あっと驚く伏線回収など、読者を最初から最後まで全力で楽しませたいという執念が滲み出ている。ラノベ好きな方は必読の一冊。
17位:隣のずこずこ/柿村将彦
「村を壊します。あなたたちは丸呑みです。ごめんね」巨大な狸とともにやってきたあかりさんはそう告げた。村を焼き、村人を呑み込む〈権三郎狸〉の伝説は、古くからこの矢喜原村に語り継がれている。あれは、ただの昔話ではなかったのか――。中学3年生の住谷はじめは戸惑いながらも抗おうとするが。恩田陸、萩尾望都、森見登美彦が絶賛した、日本ファンタジーノベル大賞2017受賞作!
村を壊します。あなたたちは丸呑みです。ごめんね
化け狸により1ヶ月後の死が確定した村人たちの、狂気的で快楽的な日常を描く不条理ディストピアホラー作品。物凄~く変な小説で、絶望に染まった村人たちがやりたいことをやるだけなのにめちゃくちゃ怖い。
読了後は誰かと本作について語り合いたい衝動に駆られること間違いなしなのだが、そこまで有名作では無い上に人を選ぶ奇書よりな作風のため、中々語り合える相手に巡り合えないのがムズムズする。作者の長編が本作しか出版されていないのも悲しい。次回作があれば絶対に読ませていただきます。
16位:お梅は呪いたい/藤崎翔
古民家の解体中に発見された謎の日本人形。それはかつて戦国大名を滅亡させた呪いの人形お梅だった! 興味本位の底辺ユーチューバーに引き取られたお梅は、早速彼を呪い殺そうとするが、500年のブランクは長すぎた!? 呪いが効かないどころか、お梅の心霊動画がバズってしまい……果たしてお梅は無事に現代人を呪い殺せるのか。笑いと涙のオカルトハートフルコメディ!
日本人形版「ちゃっきゐ」、ここに爆誕
呪いの人形:お梅が現代人を不幸にしようと奮闘するオカルトコメディ作品。とにかくお梅がめちゃくちゃ可愛い。呪っている相手が次々と幸せになり、地団駄を踏んで悔しがるお梅が可哀そうで可愛い。猫に襲われるたびに瘴気を全力で振り撒きながら暴れ回るシーンも愛くるしすぎて最高。
全編通してゲラゲラと笑え、最終章でホロリと泣ける。伏線回収もあり、読み応えも十分。ここ最近読んだコメディ作品の中でトップクラスに面白かった。万人に全力でオススメできる大傑作です。
15位:独白するユニバーサル横メルカトル/平山夢明
タクシー運転手である主人に長年仕えた一冊の道路地図帖。彼が語る、主人とその息子のおぞましい所行を端正な文体で綴り、日本推理作家協会賞を受賞した表題作。学校でいじめられ、家庭では義父の暴力に晒される少女が、絶望の果てに連続殺人鬼に救いを求める「無垢の祈り」。限りなく残酷でいて、静謐な美しさを湛える、ホラー小説史に燦然と輝く奇跡の作品集。
どういうオーダーをすればこんなイカした表紙が出来上がるの?
タイトルから表紙から内容から、全てが余りにも意味不明でぶっ飛びすぎているバイオレンスグロ短編集。半端ないグロ描写で読む人は選ぶのだが、かの名誉ある賞である日本推理作家協会賞受賞作なだけあって、面白さに関しては間違いない完成度を誇る。
全編鬼畜ではあるのだが、ふとした瞬間に垣間見える人間の儚さにハッとさせられる。やっぱり、平山夢明作品って暴力の中に人間の美しさが混ぜ込まれてて大好き。無理はしてほしくないけれども、グロ耐性のある方は是非チャレンジしてみてほしい。
14位:彼女は死んでも治らない/大澤めぐみ
沙紀ちゃんはいつも殺されがちな最高にかわいい女の子。わたしは普通じゃないレベルで彼女のことが好きだから、凶悪な犯人をなんどでも見つけ出してやる! と、四六時中息巻く神野羊子は、高校に入学早々、校内で蓮見沙紀の死体を発見。彼女の命を救うため、すかさずお得意の推理を巡らせる―。個性的なキャラクターと唯一無二の文体が織りなす超絶コージーミステリー!
彼女はすぐ殺される。でも、犯人を当てれば生き返る。
ミステリの皮を被ったアンチミステリ作品にして、キャラ・展開・文体の全てがイカれた特級呪物本。まず冒頭1ページで彼女が首無し逆さ吊り死体になります。嘘のように聞こえるかもしれませんが本当です。信じてください。
饒舌な女子高生の思考を全て垂れ流したような文体で、とにかく情報過多。構成も壊れていて、メタミステリのメタをしてさらにメタをしてメタをして…。なんか知らない間にメタメタメタメタミステリになるのだが、最後は爽やかに終わるのがズルい。ズルいというか訳わからん。何でこんな作品を読んで感動しているんだ、僕は。大傑作です。
13位:牛家/岩城裕明
あるゴミ屋敷の清掃をすることになった特殊清掃員。清掃期間は二日間。清掃は順調に進んでいたが……いてはいけないもの、片付けられない部屋、様相を変え続ける内装……これは夢か現実か……!?
狂気と理不尽を具現化した怪作
日本ホラー大賞佳作を受賞した『牛家』と、書下ろし短編『瓶人』の2編を収録したホラー短編集。両編ともに生理的嫌悪描写マシマシで、文章の軽やかさと特級グロ描写のギャップが癖になる。
ただ、グロ一辺倒の作品では断じてなく、クスッとつい笑ってしまうシーンも差し込まれており、読後感は決して悪くない。特に、2編目の『瓶人』は話の大筋がわかりやすく、丁寧な前振りからの終盤のドタバタ感が物凄くエンタメしていて楽しかった。こういう倫理観がバグってる作品、好きなんだよなぁ。
12位:恐怖小説キリカ/澤村伊智
ホラー小説の新人賞を獲得し、僕は出版に向けて準備をはじめた。隣には支えてくれる最愛の妻・キリカ。順風満帆な日々が続くと思われたが、友人の一人が「作家とは人格破綻者である」「作家は不幸であるべき」と一方的な妄想を僕に押し付け、嫌がらせをはじめる。ストーカー行為、誹謗中傷の手紙、最悪の贈り物。やがて不幸は、僕とキリカのとある「秘密」を暴き出すが――。
貴志祐介ファンは必読です。
正直言ってズルい作品。読んだ人なら伝わると思うんだけどさ…、貴志祐介信者の僕があのシーンを読んで興奮しないわけないじゃない…。もうあのシーンに出会えただけで、この作品を読んでよかったと心の底から言える。
ただ、あのシーンだけでこんな上位になったわけでは断じてなく、本作はホラー小説として至高の完成度を誇る。著者本人が『ぼぎわんが、来る』で大賞を受賞した時の話から物語が始まり、著者自身の回顧録なのか創作ホラー作品なのか分からないままに物語が進行していくので、序盤から居心地悪くて最高だった。最後にこれだけは言いたい。本作はとんでもない傑作です。大傑作です。超絶大傑作です。だから許しt………。
11位:異常/エルヴェ・ル・テリエ
ーーーーー
あらすじすら検索厳禁!
異常。ただその一言に尽きる奇抜な作品。絶対的な"異常"が全てを包み込み、そこに理屈など差し込む余地もない。本作はあらすじすら読まずに本編を読み始めることを公式が推奨しているため、今回の紹介ではあらすじを伏せさせていただきます。
睡眠を削るほど夢中になったのだが、何が面白かったのかと聞かれると一切答えられない。少なくとも、僕は本作の持つ圧倒的な異常さを言葉で表現しきるほどの語彙力を持ち合わせていない。ただ、傑作であることは間違いないし、読んでよかったと心から言える。気になる人はネタバレをくらう前にさっさと読むべし。
10位:小説/野﨑まど
五歳で読んだ『走れメロス』をきっかけに、内海集司の人生は小説にささげられることになった。
一二歳になると、内海集司は小説の魅力を共有できる生涯の友・外崎真と出会い、二人は小説家が住んでいるというモジャ屋敷に潜り込む。
そこでは好きなだけ本を読んでいても怒られることはなく、小説家・髭先生は二人の小説世界をさらに豊かにしていく。
しかし、その屋敷にはある秘密があった。
小説とは何か。小説を読むことに意味はあるのか。
天才:野﨑まどが、「小説とは何か」という問いに小説という形で挑んだ哲学的SF小説。相変わらず尖った内容ではあるが、内包するメッセージは極めてシンプル。「なぜ小説を読むのか」について野﨑まどが提示してくれる答えは、シンプルで真理的で天晴れ。
小説をただただ消費し、創作側に回れないことに対する後ろめたさを常日頃感じている読書好きの全ての人に読んでほしい大傑作。世の読書好きたちを全肯定してくれる終盤が本当に大好き。締めの一行も神。大傑作です。
9位:杉森くんを殺すには/長谷川まりる
――「杉森くんを殺すことにしたの」
高校1年生のヒロは、一大決心をして兄のミトさんに電話をかけた。ヒロは友人の杉森くんを殺すことにしたのだ。そんなヒロにミトさんは「今のうちにやりのこしたことをやっておくこと、裁判所で理由を話すために、どうして杉森くんを殺すことにしたのか、きちんと言葉にしておくこと」という2つの助言をする。具体的な助言に納得したヒロは、ミトさんからのアドバイスをあますことなく実践していくことにするが……。
傷ついた心を、取りもどす物語
悩める全ての学生に読んでほしい児童書
物騒なタイトルからは全く想像できないほど、優しくて心苦しくて前向きになれる作品。何故杉森くんを殺したいのか、その理由を淡々と主人公が整理していく描写から始まるのだが、話が進むにつれて不穏さが漂い始め、主人公の抱える痛みと闇が徐々に明らかとなる。
どうしようも出来ない怒りや悲しさを抱えながら、自分自身が壊れてしまわないように妥協点を見つけ出す。頭の中では分かっていても、実際に自分が主人公の立場に置かれたらそんなこと可能なのだろうか。主人公の葛藤と決断を前にして、僕の心は激しく揺すぶられ、とてつもない感動に包まれた。悩める学生だけでなく、心にモヤモヤを抱えて生きている大人にも読んでほしい大傑作。
8位:ガダラの豚/中島らも
アフリカにおける呪術医の研究でみごとな業績を示す民族学学者・大生部多一郎はテレビの人気タレント教授。彼の著書「呪術パワー・念で殺す」は超能力ブームにのってベストセラーになった。8年前に調査地の東アフリカで長女の志織が気球から落ちて死んで以来、大生部はアル中に。妻の逸美は神経を病み、奇跡が売りの新興宗教にのめり込む。大生部は奇術師のミラクルと共に逸美の奪還を企てるが…。超能力・占い・宗教。現代の闇を抉る物語。まじりけなしの大エンターテイメント。日本推理作家協会賞受賞作。
狂気と呪術に塗れた異色冒険エンターテインメント
究極の大長編にして、徹夜確定の睡眠破壊本にして、「面白いは正義」を体現した極上のエンターテインメント作品。宇宙一面白い小説である『新世界より』に勝るとも劣らない完成度を誇っており、ドーパミンが抑えきれなくなる合法麻薬のような作品である。
全三巻という物量に尻込みしてしまうかもしれないが、安心してほしい。一度ページを捲ってしまえば最後、あなたは本作に洗脳され、正気に戻った頃には最後のページに辿り着いていることだろう。そういう呪術がこの本には込められている。読まなきゃ損ですよ、本当に。
7位:エレファントヘッド/白井智之
本格ミステリ大賞受賞の鬼才が仕掛ける、空前絶後の推理迷宮。
精神科医の象山は家族を愛している。だが彼は知っていた。どんなに幸せな家族も、たった一つの小さな亀裂から崩壊してしまうことを――。やがて謎の薬を手に入れたことで、彼は人知を超えた殺人事件に巻き込まれていく。
謎もトリックも展開もすべてネタバレ禁止!
前代未聞のストーリー、尋常ならざる伏線の数々。
多重解決ミステリの極限!
時間遡行×並行世界×本格ミステリ
トンデモ設定、容赦のないエログロ、畳み掛ける多重推理。狂気を煮詰めた大胆な世界観の中に繊細な伏線が散りばめられており、終盤で完膚なきまでに叩きのめされる。マジで何食ってたらこんなイカれた本格ミステリを思いつくのだろうか。
余りにも酷過ぎる悪趣味な展開がノンストップで繰り広げられるため、序盤は常軌を逸した不快感が込み上げてくるが、その倫理観の欠如がクセになり、中盤からは心地良さすら感じるようになる。絶対に読書初心者にはオススメ出来ない癖強変態作品だが、本格ミステリ好きは必読の超絶大傑作。
6位:アリス殺し/小林泰三
大学院生・栗栖川亜理は、最近不思議の国に迷い込んだアリスの夢ばかり見ている。ある日ハンプティ・ダンプティが墜落死する夢を見た後大学に行ってみると、玉子という綽名の男が屋上から転げ落ちていた。次に見た夢の中でグリフォンが生牡蠣で窒息死すると、現実でも牡蠣を食べた教授が急死。そして不思議の国では、三月兎と頭のおかしい帽子屋が犯人捜しに乗り出していたが、なんとアリスが最重要容疑者に……。悪夢的メルヘンが彩る驚愕の本格ミステリ!
悪夢×メルヘン×本格ミステリ
クッッッッッッソ面白い。人を不快にする描写を書かせれば右に出る者はいない変態作家:小林泰三先生が紡ぎ出す、『不思議の国のアリス』の不条理な世界観をベースとした殺人事件ミステリなんて面白くない訳がない。
全編通して繰り広げられる意味の通じない堂々巡りな会話に辟易してしまうかもしれないが、そこで本作を見限ってしまうのは余りにももったいない。後半に差し掛かると物語は急激に加速し、半端ないグロテスク描写を撒き散らしながら衝撃のラストシーンへと収束する。原作『不思議の国のアリス』を予習していなくても楽しめるので、敬遠せずに読んでほしい大傑作。
5位:キャンプをしたいだけなのに 雪中キャンプ編/山翠夏人
死にかけたにもかかわらず、またソロキャンプをしようとする斉藤ナツに周囲は呆れていた。行くなら安全な場所へ、と紹介されたキャンプ場で出会ったのは、寡黙な老人、謎の少女、不審な動画配信者。ここ、本当に大丈夫か?
不安に駆られる中、懐かしい人物と再会を果たすが……なんだか様子がおかしい。
過去と恐怖が交差し、怪異と殺人鬼が入り乱れる!
最後まで先が読めないノンストップサバイバルホラー!
シュールでポップでヒトコワな傑作ホラーミステリ
大傑作ホラー小説『キャンプをしたいだけなのに』の続編にして、数多のホラーミステリを過去に置き去りにした究極の神本。幽霊も殺人鬼も当たり前のように登場する血みどろ作品だが、コメディとホラーとミステリのバランスが絶妙で、ニヤニヤしながら最後まで楽しく読めてしまう。
前作も感じたのだが、やっぱり本作の魅力の大半は主人公:ナツにあると思う。どれだけ窮地に立たされても決して諦めずに、全力で命を燃やして立ち向かうナツの強さに憧れを抱かざるを得ない。ハラハラドキドキする描写、思わず涙が零れてしまう展開、鮮やかで見事な伏線回収。最後までエンタメたっぷりで非の打ち所がない超絶大傑作。ホラー小説初心者にも全力でオススメしたい。
4位:ようこそ、ロバの目の世界へ。/岩城裕明
ハイパーシュール&ハートフルな幽霊奇譚!
幽霊と呼ぶにはあまりに奇天烈な“何か”が見える僕が、夏休みに巻き込まれたとんでもない事件とは?ちょっとシュールで最高に心が温まる友情全開ファンタジー。
さぁ、微笑ましくも悍ましい非日常の世界へ
今年最大の伏兵にして、僕の感性にブッ刺さった大傑作非日常ホラー。軽妙な文体で紡がれるのは、"奴ら"が見えてしまう少年の夏休みを軸とした非日常の世界。焦点の合わない不安定な展開が繰り広げられるが、岩城先生お得意のハイセンスな語り口により、ストレス無くサラッと最後まで読めてしまう。
めちゃくちゃ怖いのに、思わず笑ってしまうという奇妙な読書体験を味わえる、唯一無二の大傑作。生理的嫌悪を催す描写や猟奇的なグロ描写もあるにはあるが、それ以上にコミカルな雰囲気が全体を覆っているので、ホラーが苦手な人でも楽しめるんじゃないかな。単行本は入手が難しいため、kindle版でどうぞ。
3位:Y田A子に世界は難しい/大澤めぐみ
世界は難しくて、ときどき不思議で愛おしい。
ありえないほど賑やかな日常で、人型ロボット・瑛子が踏み出す大きな一歩。
突き抜けるほどハイテンションで、
ちょっぴりセンスオブワンダーな青春AI家族小説!
自我を宿したAI内蔵人型ロボット・瑛子は、わけあって和井田家に居候中。家族の勧めで高校に入学し、目に映る景色が変わっていく。孤独な少女・風香との出会いや、いつもなにかと騒がしい家族との日々。友情とか親子とか、検索しても正解のない世界を、ロボットならではのフリースタイルで瑛子は突き進む。鬼才のエッセンス全開のハイテンション青春AI家族小説!
AIだって青春を謳歌したい!
まず言わせてほしい。本作は青春小説の頂点に君臨する超傑作であり、人間になりたいと願うAIに襲い来る残酷な現実をストレートに書ききった究極の神本である。ロボットが周囲の人々と触れ合う中で、自分の不完全さを自覚する過程が鮮明に描かれる激重作品ではあるが、AI女子高生:和井田瑛子のノリが奇天烈なアッパー系であることが幸いし、爆笑必死のドタバタ青春コメディ作品に仕上がっている。
ロボット視点から見ると、不条理で非効率なことだらけな人間社会。友達を作ってみたり、アルバイトをしてみたり、部活動でバレエに挑戦してみたり…。不器用ながらに"女子高生"らしさを身に着けようと奮闘する瑛子の姿に、特大級の笑いと感動が押し寄せる。全編通して未来に対する希望と羨望に満ち溢れており、最後まで晴れやかで暖かな雰囲気に包まれている超絶大傑作。これまでも、そしてこれからも、普通で退屈で魅力的な日々を大切にして生きていこう。
2位:保健室登校/矢部嵩
転入生の彼女は、非常な疎外感を味わっていた。級友は間近に迫った旅行の話でもちきりなのだ。だが、待ちに待った出発の日、転入生が見た恐るべき光景とは? 普通の学校生活が恐るべき異世界へと変わる瞬間を描く。
気持ち悪さが癖になる、問題作揃いのホラー短編集
まず目次の時点で異常。『血まみれ運動会』だの『殺人合唱コン(練習)』だの、普通に生きていれば目にするはずのない単語の組み合わせが並んでいる。そして、舞台となる中学校の名前が「人殺し中学校」とかいう悪ふざけ甚だしいクソみたいな名前であることが判明した瞬間、僕はこの読書体験が素晴らしいものになることを確信した。
とにもかくにも登場人物が全員バグり散らかしており、最高に不条理で理不尽でグロテスク。常に誰かしらゲボを吐いているし。駅子、床子、テレコムさんとかいうキラキラネームの枠に収まらない変な名前の奴らしかいないし。とにかく訳が分からん。そんな無茶苦茶やる作風のくせに、所々ハッとさせられる趣深いセリフが飛び出してくるのがズルい。ホラー小説ファンは必読の奇書にして、矢部嵩先生の唯一無二の世界観を堪能できる神傑作。
1位:わたしはあなたの涙になりたい/四季大雅
これは、涙で始まり、涙で終わる物語。
全身が塩に変わって崩れていく奇病「塩化病」。その病で母親を亡くした少年・三枝八雲は、小学校の音楽室でひとりの少女と出会った。
美しく天才的なピアノ奏者であるその少女の名は、五十嵐揺月。鍵盤に触れる繊細なその指でいじめっ子の鼻を掴みひねり上げ、母親の過剰な期待に応えるべく人知れず努力する。さまざまな揺月の姿を誰よりも近いところから見ていた八雲は、我知らず彼女に心惹かれていく。
小学校を卒業し、ますます美しく魅力的に成長した揺月は、人々の崇拝と恋慕の対象となっていった。高校に進学する頃、すでにプロのピアニストとして活躍していた揺月はイタリアへと留学してしまう。世界を舞台にする揺月と、何者でもない自分との間にある圧倒的な差を痛感した八雲は、やがて小説を書き始める。
揺月との再会はある日唐突に訪れた――その再会が、自分の運命を大きく変えるものになることをその時の彼は知る由もなかった。
これは、涙で始まり、涙で終わる物語。
小学館ライトノベル大賞で5年ぶりの大賞に選ばれた作品であり、僕的今年No.1の座に輝いた至高の神本。四季大雅先生、これほどまでに美しくも悍ましい物語を書いてくれてありがとうございます。心の底から感謝の念をお伝えしたい所存であります。
本作の特徴は、最初から最後まで予想外なことが一切起こらないことである。何を言ってるんだ?と思ったそこのあなた。本作のあらすじを目にしたとき、ある程度予想した展開があると思います。それがそっくりそのまま書かれています。本当です。本作は、最初から最後までテンプレ通りの展開しかありません。
では、なぜ本作が今年No.1作品と成り得たか。それは、本作は人の死を「物語」という商品として消費してしまう大衆の愚かさを、「テンプレ通りに人が死ぬ物語」を通して読者に訴えかけることに挑戦した、余りにも狂気じみた一冊であるからだ。作者が抱いているであろう安易なコンテンツ化への嫌悪感がパンッパンに詰め込まれた、超絶ド級の爆弾である。
そんなドロドロとしたグロテスクな感情を鮮明に描きつつも、全体としては溢れんばかりの"優しさ"に包まれており、本作を読んだ人間の背中を後押ししてくれるような美しく素敵な作品に仕上がっている。本作以上に、優しさと不気味さが共存している作品を僕は知らない。四季大雅先生は本物の天才だ。
なんか小難しく紹介文を書いてしまったため、まるで複雑で難解な作品であるかのように思われるかもしれないが、決してそんなことはないので安心してほしい。本作の大筋は人生賛歌であり、あくまでも幸福に生きることの素晴らしさを説いてくれる作品であるため、生きることに理由を見いだせずに、無気力感に苛まれながら日々を過ごしている人にこそ読んでほしいと思う。生きる希望と頑張る勇気をもらえますよ。
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