ゆかりごはんの縁結び -読書記録-

とにかく面白い小説が読みたい…!

2024年5月 1週目 読んだ本まとめ『[映]アムリタ』『砂漠』『ある日、爆弾がおちてきて』『夜行』

どうも、ゆかりごはんです。

今年のゴールデンウィークは、友人達と会うために大阪から東京まで縦横無尽に駆け巡り、非常に忙しい毎日だった。そのため、計画していたよりも本を読む時間が取れなかった。そんな中でも、なんとか読めた4作を今回は紹介していこうと思う。

 

『[映]アムリタ』野﨑まど

芸大の映画サークルに所属する二見遭一は、天才とうわさ名高い新入生・最原最早がメガホンを取る自主制作映画に参加する。
だが「それ」は“ただの映画”では、なかった――。
TVアニメ『正解するカド』、『バビロン』、劇場アニメ『HELLO WORLD』で脚本を手掛ける鬼才・野崎まどの作家デビュー作にして、電撃小説大賞にて《メディアワークス文庫賞》を初受賞した伝説の作品が新装版で登場!
貴方の読書体験の、新たな「まど」が開かれる1冊!

「私たちの作る映画はとても素敵なものになりますよ」

東京池袋のジュンク堂にてようやく手に入れた、野﨑まど6部作シリーズの1作目。僕が住む田舎町では、どの本屋を回っても新品が手に入らず、新品で集めるのを半ば諦めていたシリーズである。やはり東京は全てを解決する…。

本作は、ライトノベルという皮を被っている、超絶弩級の劇薬本である。何を言ってもネタバレになってしまうため、とにかく読んでとしか言いようがない。青春であり、コメディであり、ミステリーであり、ホラーであり…ジャンル不明の超傑作だ。

本作を前情報ほぼナシで読めたことを非常に嬉しく思う。とんでもないモノを読んでしまったという鳥肌必至のモゾモゾとした読後感を、皆さんにも是非味わってほしい。さぁ、皆も天才映画監督に振り回されようではないか。

 

『砂漠』伊坂幸太郎

仙台市の大学に進学した春、なにごとにもさめた青年の北村は四人の学生と知り合った。
少し軽薄な鳥井、不思議な力が使える南、とびきり美人の東堂、極端に熱くまっすぐな西嶋。
麻雀に勤(いそ)しみ合コンに励み、犯罪者だって追いかける。
一瞬で過ぎる日常は、光と痛みと、小さな奇跡で出来ていた――。
明日の自分が愛おしくなる、一生モノの物語。

「砂漠に雪を降らせたいんだよ」

ユニークな大学生たちが織りなす少し不思議な青春物語を描く今作。砂漠という名の社会に出るまでの猶予期間、大学生活というオアシスを描いた傑作である伊坂幸太郎節全開で、読んでいて非常に心地よく、また、ワクワクさせられる。

飲み会、ボウリング、合コン、麻雀といった大学生活の代名詞ともいえるイベントはもちろんのこと、通り魔探しや超能力対決などの少し不思議なイベントまで描かれる本作。読んでいるだけで、大学生に戻りたくなってくる。あの頃は楽しかったなぁ。

ただ、社会人になった今だからこそ言いたい。砂漠もそんなに悪いところじゃないぞ!………なんてことは、まるでない。

 

ある日、爆弾がおちてきて古橋秀之

奇才・古橋秀之の不朽の名作が、書き下ろし短編を加えて復刊!

「私、爆弾なんです」--ある日、空から落ちてきたのは、高校時代に気になっていた人とそっくりな女の子で……。奇才・古橋秀之が贈る、すこしふしぎなボーイ・ミーツ・ガール。書き下ろし短編を加えてリバイバル!

「人間じゃなくて"爆弾"」

約20年前に出版された不朽の名作SF短編集の新装版である本作。時間軸をテーマとした、少し不思議なボーイミーツガール短編8編を収録している。ちなみに、題名にもなっている「ある日、爆弾がおちてきて」は、2013年に世にも奇妙な物語で実写ドラマ化もされている。

本作では、作者である古橋秀之先生の卓越したアイデアセンスが爆発している。時間×ボーイミーツガールという縛りがあるにもかかわらず、全ての話が異なる切り口から描かれており、それら全てが超絶名作である奇跡の短編集だ。本作が時を超えて愛されるのも納得である

 

『夜行』森見登美彦

僕らは誰も彼女のことを忘れられなかった。

私たち六人は、京都で学生時代を過ごした仲間だった。
十年前、鞍馬の火祭りを訪れた私たちの前から、長谷川さんは突然姿を消した。
十年ぶりに鞍馬に集まったのは、おそらく皆、もう一度彼女に会いたかったからだ。
夜が更けるなか、それぞれが旅先で出会った不思議な体験を語り出す。
私たちは全員、岸田道生という画家が描いた「夜行」という絵と出会っていた。
旅の夜の怪談に、青春小説、ファンタジーの要素を織り込んだ最高傑作!

「世界はつねに夜なのよ」

天才・森見登美彦デビュー10周年記念作品として発行された本作。「夜行」と題する連作版画を巡っていくホラー作品である。ただ、単純にホラーと呼んで良いのか少し悩む作風である。

本作は、とにかく綺麗で摩訶不思議で奇妙奇天烈である。脈絡のない描写が連発されるため最初は非常に戸惑っていたが、最終章で驚愕&納得した。頭の中が?で埋まるような奇妙なシーンが多いのにもかかわらず、物語の中に読者を引き込んで離さない筆力はさすがである。

僕の夜はいつ明けるのだろうか。読了後、不思議とそんなことを考えている自分がいた。この本でしか味わえない何かがあることは確かだ。間違いなく名作である。

 

以上。また来週。