ゆかりごはんの縁結び -読書記録-

とにかく面白い小説が読みたい…!

2024年4月 4週目 読んだ本まとめ 『エヴァーグリーン・ゲーム』『失はれる物語』『地雷グリコ』『天使の囀り』他4作

どうも、ゆかりごはんです。

つい先日、久々に出会った読友たちと「生涯最高の作品Top5」について酒を飲みながら語り合った。めちゃくちゃ楽しかった。やっぱり、読書を趣味として続けていくにあたっては、本音やネタバレ全開で好きな小説を語れる友人の存在は重要だと思う今日この頃である。

それでは今週も、読んだ本を読書ノートがてらまとめていこうと思う。今週読んだ本は以下の8作だ。

 

エヴァーグリーン・ゲーム』石井仁蔵

「王様のブランチ」で紹介後、大評判!!
【選考委員、絶賛の嵐! 第12回ポプラ社小説新人賞受賞作!!】
世界有数の頭脳スポーツであるチェスと出会い、その面白さに魅入られた4人の若者たち。
64マスの盤上で、命を懸けた闘いが繰り広げられる――!

「勝つために治せよ、絶対に」
小学生の透は、難病で入院生活を送っており、行きたかった遠足はもちろん、学校にも行けず癇癪を起してしまう。そんなとき、小児病棟でチェスに没頭する輝と出会う――。
<年齢より才能より、大事なものがある。もうわかってるだろ?>
チェス部の実力者である高校生の晴紀だが、マイナー競技ゆえにプロを目指すかどうか悩んでいた。ある日、部長のルイに誘われた合コンで、昔好きだった女の子と再会し……?
「人生を賭けて、ママに復讐してやろう。」
全盲の少女・冴理は、母からピアノのレッスンを強要される日々。しかし盲学校の保健室の先生に偶然すすめられたチェスにハマってしまい――。
「俺はただ、チェスを指すこの一瞬のために、生きている。」
天涯孤独の釣崎は、少年院を出たのち単身アメリカへわたる。マフィアのドンとチェスの勝負することになり……!?

そして、彼らは己の全てをかけて、チェスプレイヤー日本一を決めるチェスワングランプリに挑むことに。
チェスと人生がドラマティックに交錯する、熱い感動のエンターテイメント作!

「チェスは、俺の、人生だ」

来た来たァ!!!今年読んだ初見本の中では最強の小説!!エンタメ性No.1!!!ガチで面白い!!!!うおぉぉぉぉぉおおお!!!!!

ふぅ…。少し興奮してしまった。落ち着こう落ち着こう。本作は、チェスに人生を救われてきた4人の若者たちが、文字通り命を懸けて日本一を決める全国大会に挑む熱血物語である。本作の素晴らしい点を挙げればキリがないのだが、あえて1つ挙げるとすれば、登場人物にめちゃくちゃ感情移入できる点である。主人公となる4人の若者は以下のような事情を抱えている。

・200万人に1人の難病を抱えた男子小学生

・いじめを止めようとして報復にあった男子高校生

・生まれつき全盲で、母親から見捨てられた少女

・少年院を出て、アメリカのマフィアグループに属する男性

そして、彼らが生きる支えとしているもの、それが「チェス」なのである。

1章から4章までは、1人ずつ彼らの人生を緻密に描いていき、5章で全員がチェスワングランプリで激突する。彼らが背負っているものを考えると、本当に全員に勝ってほしい。そう思わざるを得ない。しかし、勝負の世界は甘くない。すべての試合において、ちゃんと勝敗は決する。最後は誰が勝つのか、緊迫感や興奮や緊張が頭の中でグチャグチャになり、読んでいる間は脳汁が止まらなかった。

本作は「チェスってあんまり知らないんだよね~」という方にも超絶おススメできる超傑作である。本当に面白い創作物の前では、ゲームの知識の有無などどうでも良いことだ。それは『ヒカルの碁』が証明している。安心して本作を手に取ってほしい。

 

『失はれる物語』乙一

乙一の里程標(マイルストーン)として屹然と立つ短篇集!

事故で全身不随となり、触覚以外の感覚を失った私。ピアニストである妻は私の腕を鍵盤代わりに「演奏」を続ける。絶望の果てに私が下した選択とは? 珠玉7作品に加え書き下ろしの「ウソカノ」を収録!

「ごめんなさい、ありがとう。」

独特の世界観を構築する天才:乙一による、切なさの余韻を感じさせる傑作短編集。全ての物語において、決定的な何かが失われていく。とにかく切なくて、読んでいて苦しい。それにもかかわらず、読後感は決して悪いものではなく、心が満たされた感じがする。そんな不思議な作品である。

個人的に好きだったのが、空想上の携帯電話が他人と繋がってしまう「Calling You」、事故で指以外を一切動かせなくなった男の苦悩「失はれる物語」、事故物件で幽霊と交流する不思議な体験「しあわせは猫のかたち」、彼女がいると嘘をつき続けた非モテ男子同士の友情「ウソカノ」だ。その他の短編ももちろん面白い。外れナシで非常にお得感のある短編集だった。

文体も柔らかく、スラスラ読める作品となっているため、読書初心者にも自信を持っておススメできる傑作である。是非読んでほしい。

 

『地雷グリコ』青崎有吾

ミステリ界の旗手が仕掛ける本格頭脳バトル小説!

射守矢真兎(いもりや・まと)。女子高生。勝負事に、やたらと強い。
平穏を望む彼女が日常の中で巻き込まれる、風変わりなゲームの数々。罠の位置を読み合いながら階段を上ったり(「地雷グリコ」)、百人一首の絵札を用いた神経衰弱に挑んだり(「坊主衰弱」)。次々と強者を打ち破る真兎の、勝負の先に待ち受けるものとは――ミステリ界の旗手が仕掛ける本格頭脳バトル小説、全5篇。

「次のターンで一発逆転します」

天才女子高生がオリジナルゲームに挑む、本格頭脳バトル小説。まず1つ言いたい。僕は頭脳バトル作品が大好きである。小学生の頃に爆ハマりした『ライアーゲーム』を皮切りに、『カイジ』『嘘喰い』『賭ケグルイ』と頭脳バトル漫画を渡り歩いてきた。しかし、最近は頭脳戦作品から離れていた。それは何故か。先に挙げた作品たちがあまりにも素晴らしすぎるからだ。僕の中では、何を読んでも『カイジ』や『ライアーゲーム』の二番煎じに感じてしまい、ロジックを語る主人公のドヤ顔を冷めた目で見るようになってしまったのだ。

そのため、正直なところ、僕は本作をあまり期待せずに読んだ。そして、ハマった。のめり込んだ。超面白れぇ。それが素直な感想である。

本作の良いところ、それはルールが理解しやすい点だ。グリコ、坊主めくり、じゃんけん、だるまさんが転んだ、ポーカーといった、誰でも知っている遊びをベースとしたオリジナルゲームで戦うため、ゲームのルールが頭に入ってきやすい。それなのに、どのゲームも奥深く、読んでいてヒリヒリする。

特に僕が心を掴まれたのが、三本目の「自由律じゃんけん」だ。正直、前二作のグリコと坊主めくりのタネは想定の範囲内であったため、ふーんという感じで読んでいたが、このゲームで完全にやられた。トリックに気づいた瞬間、うおおおぉぉ!!と叫んでいた(心の中で)。久々に脳に血が通った感じがした。最初のゲームにハマらなかったとしても、自由律じゃんけんまでは読んでほしい。いやー、騙された。

シンプルなのに奥深い、ルールの裏をかきまくる熱い攻防戦に心を震わされた。続編が出ればすぐにでも読みたい。頭脳バトル作品の良さを再認識させてくれた、素晴らしい名作。

 

『AX』伊坂幸太郎

最強の殺し屋は――恐妻家。

物騒な奴がまた現れた!
物語の新たな可能性を切り開く、エンタテインメント小説の最高峰!

「兜」は超一流の殺し屋だが、家では妻に頭が上がらない。
一人息子の克巳もあきれるほどだ。
兜がこの仕事を辞めたい、と考えはじめたのは、克巳が生まれた頃だった。
引退に必要な金を稼ぐため、仕方なく仕事を続けていたある日、爆弾職人を軽々と始末した兜は、意外な人物から襲撃を受ける。
こんな物騒な仕事をしていることは、家族はもちろん、知らない。

「カマキリの斧を甘く見てるなよ」

人がとにかく死にまくるでおなじみ、伊坂幸太郎殺し屋シリーズの第三弾。いやー、安定して面白いね。

前二作は本当に殺しをエンタメとした殺戮バトルがメインだったが、今作は少し毛色が違う。家族愛溢れる殺し屋:兜の苦悩を綴った作品である。

一応、連作短編という形を取っており、前半は非常にコミカルな作風、後半はしんみりする作風となっている。笑いあり、涙ありの心温まる物語だ。

先の読めない急展開と、ラストの怒涛の伏線回収は本当にお見事としか言いようがない。安心と信頼の伊坂クオリティである。早く続編である『トリプルセブン』が読みたいと思わせてくれた。間違いなく名作。

 

『天使の囀り』貴志祐介

北島早苗は、ホスピスで終末期医療に携わる精神科医
恋人で作家の高梨は、病的な死恐怖症だったが、新聞社主催のアマゾン調査隊に参加してからは、人格が異様な変容を見せ、あれほど怖れていた『死』に魅せられたように、自殺してしまう。
さらに、調査隊の他のメンバーも、次々と異常な方法で自殺を遂げていることがわかる。
アマゾンで、いったい何が起きたのか?高梨が死の直前に残した「天使の囀りが聞こえる」という言葉は、何を意味するのか?
前人未到の恐怖が、あなたを襲う。

守護天使が、やって来たのだ」

四度目の再読本。貴志祐介黄金期に書かれた伝説のエンタメ全振り本。個人的には貴志祐介作品No.1の傑作である。決して他人におススメはできないが…。

正直に言って、本作は絶対に一般受けしない。ただひたすらに気持ち悪い。ホラーというジャンルではあるものの、恐怖よりも生理的嫌悪が勝る。うげーとなるシーンがかなり多いのだ。それでも、物語にグイグイ引き込まれ、気づけば徹夜で齧り付いて読んでしまう。罪深い小説である。

にしても、「天使の囀り」という表現は本当に貴志センスが爆発していると思う。普通思いつかんて、こんなイカれた比喩表現。こんな激ヤバ作品を多数生み出しているクセして、貴志祐介本人は、自分は虫も殺せないほどの小心者だと語っている。嘘つけ。

 

『罪人の選択』貴志祐介

2年半の沈黙を破り、満を持して世に放つ貴志祐介ワールド全開の作品集。
最新SF「赤い雨」は、パンデミックが起きたときあらわになる人間の本性を描いた、今読むべき一作。
表題作は、著者自身が「ここまで強いテンションを維持した作品は、書いたことがありません」と断言する手に汗握るミステリー。
人間の愚かさが絶望で世界を塗りつぶすとき、希望が一筋の光となって未来を照らし出す。

「素直に考えればいいもんを」

はい、名作。なんたってエンタメの神:貴志祐介が書いたのだから。面白いに決まってるじゃん。とりあえず、一作目から読むかー。………???????????

↑これは、僕が本作を読み始めた時の気持ちを文字に起こしたものである。正直に言おう。一作目の「夜の記憶」は完全にワケわかめ作品である。マジで何が言いたいのかがわからなかった。調べてみると、本格デビュー前に書かれたSF作品だそうだ。それならば納得だ。ふぅー、危ない危ない。貴志祐介でなければ一作目の時点で読むのを止めていたかもしれない。

しかし、残りの三作は神作である。さすがは貴志祐介、めちゃくちゃ面白い。「呪文」「赤い雨」は非常に完成度の高い超エンタメSF作品としてまとまっているし、「罪人の選択」も貴志祐介らしい、人間の愚かさを描いた名作だった。

 

『死神ラスカは謎を解く』植原翠

この出会いは偶然か必然か――

管轄内で連続通り魔事件が起き、連日働きづめで疲労困憊の刑事の霧嶋秀一。
休憩時間に公園でパンを食べていると、近くでカラスたちがエサの取り合いをしていた。
エサの取り合いに負けた小さいカラスを不憫に思い持ってたパンをひと欠片投げ与えると、カラスがお礼を言ったのだった!?
疲れて幻聴が聞こえたと思った霧嶋は次の休みは病院に行こうと決心し、何事もなかったかのように仕事に戻る。
その夜、新たな通り魔事件が起き、霧嶋が現場検証を行っていると「ここは殺された場所じゃない」という全身真っ黒な服を着た不思議な青年が現れ…?

一年前に罪を犯し罰を与えられた死神と一年前に妻を亡くした刑事が事件を解決していく異能力ミステリー。

「あんた、やっぱ性格が悪いな」

警察と死神が手を組んで、数々の事件を解決する異能力ミステリ作品。会話のテンポが心地よく、読んでいて微笑ましい気持ちになった。登場キャラも魅力的で、特に、死神なのに人間よりも人間臭いラスカはめちゃくちゃ僕好みだった。続編も出ているとのことなので、近いうちに読みたいと思っている。読書初心者におススメの作品。是非、手に取って読んでみてほしい。

ちなみに、どうでも良いことではあるのだが、本作の感想をXにてポストしたところ、なんと作者様本人から感謝の引用リプライが飛んできた。それに気づいた僕、焦る焦る。どうしようの五文字で頭の中がパンパンに膨れ上がり、パーン!という音と共に僕の脳は機能を停止した。そして、気づけば僕は、反応に困るであろうコミュ障爆発の駄文を作者様に叩きつけていた。本当に死にたい。何をやっているんだ僕は。作者様が良い人で本当に良かった。誠に申し訳ありませんでした。

 

『小説 葬送のフリーレン 前奏』八目迷

本編にないフリーレンたちの前日譚を小説化

TVアニメも大ヒット中の漫画『葬送のフリーレン』の原作者・山田鐘人氏の監修のもと、本編では描かれていない、フリーレンが“人を知るため”の旅に出るその少し前の物語を、作家の八目迷氏が前日譚として小説化!
フリーレン、フェルン、シュタルク、ラヴィーネ&カンネ、アウラ、それぞれのキャラクターを主人公としたエピソード5編からなる短編小説集。

「今死ぬのは勿体ないと思いますよ」

僕がアホ程ハマっている傑作漫画『葬送のフリーレン』。個人的墓まで持っていく漫画作品10選に堂々ランクインしている。アニメは3周しているし、ポスターや限定グッズは部屋に飾っているし、フリーレン展やフリーレンカフェはGW期間で友人と参戦する予定だ。

本作は、原作のキャラと世界観を舞台にした、原作の内容を補完する前日譚小説である。原作では出番の少ない、ラヴィ×カンコンビやアウラ様が活躍する話もあり、すごく楽しめた。フリーレンファンであれば必読の一冊。

 

今週は以上である。それでは、また。